銀行員は損益ではなく、キャッシュフローを調べよう!(新入行員向け)
銀行員として、取引先の信用分析を行う際には、損益計算書だけでなくキャッシュフローの調査は欠かせません。
この記事では、財務分析の初心者や新入行員に向けて、営業、投資、財務の各キャッシュフローがどのように企業の財務健全性を示すかを解説します。
本記事を通じて、実際の現金流れから企業の財務状態を読み解き、精度の高い信用判断を下すためのアプローチを学んでください。
銀行員としてのスキルアップを図りたい新入行員にとって、見逃せない内容にしています。
キャッシュフローの基本
キャッシュフロー(CF)とは、企業の現金および現金同等物の増減を示す指標です。
この分析には主に「営業キャッシュフロー」「投資キャッシュフロー」「財務キャッシュフロー」の三つの部分が含まれます。
営業活動による現金流入と流出を示す営業CFは、企業の基本的な収益性を反映します。
一方、投資CFは企業の将来の成長に資するための設備投資などの現金の動きを、財務CFは資金調達や返済の動向を示します。
企業の実態を映し出すキャッシュフロー
キャッシュフローは、損益計算書の数字のように調整するのが困難で、企業の真の経済状態を正確に反映します。
粉飾決算などの会計操作が損益計算書では行われることが時々ありますが、キャッシュフローにはそのような操作が出来ません。
そのため、CF分析は企業の財務健全性を判断する際に非常に重要です。
タイプ別のキャッシュフローについて
企業のキャッシュフローを分析すると、そのタイプは8つに分類されます。
以下に簡単にまとめてみました。
取引先の分析をする際に活用してください。
8つのキャッシュフロー
健全型
営業CFがプラスで、投資CFと財務CFがマイナス。この状態の企業は安定的な成長が期待できます。積極型
営業CFがプラス、財務CFもプラスですが、投資CFがマイナス。これは事業拡大を積極的に行っている証拠です。安定型
三つのCFがすべてプラス。現状維持を望む企業で、不採算部門の整理や資産の売却を行っていることが多いです。改善型
営業CFはプラスですが、投資CFもプラスで財務CFがマイナス。借入金の返済を積極的に行いながら、必要な資産売却を進めています。ベンチャー型
本業からの収益は少ないものの、将来性を見込んで投資を行い、財務CFがプラスです。リストラ型
営業CFがマイナスで、財務CFもマイナス。事業の縮小や資産の売却を進めています。事業見直し型
営業CFと財務CFがマイナスで、投資CFもマイナス。事業の再構築を図っていますが、厳しい状況にあることが予想されます。救済型
営業CFがマイナスで、財務CFと投資CFがプラス。借入等による資金調達をしなければ、事業が継続できない状態です。
キャッシュフロー分析を通じて、銀行員として精度の高い提案や支援を行えるようになってください。
適切なキャッシュフロー分析に基づくアプローチは、企業の持続可能な成長に寄与する重要な要素になるはずです。
タイプ別の提案表
8つに分類できたあとは、タイプ別に以下の提案をするのがよいでしょう。
タイプ別の提案表を作成してみました。
参考として、ご覧ください。
まとめ
キャッシュフロー分析は、単なる数字の羅列を超え、企業の経済活動を理解するためのツールです。
企業の未来を正確に予測し、適切な戦略を立てるためには、キャッシュフロー分析が不可欠です。
分析によって、企業が直面する可能性のあるリスクを事前に把握し、効果的な対策を講じることができるように、提案してあげましょう。
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