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日本の銀行の問題について解説してくれるnote

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「銀行の現状と未来」について「面白い」「わかりやすい」「新しい視点だ」といったnoterの皆様の記事をピックアップしています。
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銀行が抱える不良債権リスク再び 金融庁検査で明らかになる実態は?

先日、銀行にとって衝撃的なニュース記事がアップされました。 私は、このニュースは新たな金融危機の火種となりうるかもしれないと感じました。 なぜなら、ニュース記事のような粉飾決算先を多くの銀行が抱えているかもしれないからです。 金融庁が全国の銀行を対象にした検査が再び始まりました。金融庁の検査の結果次第では、日本の金融システムに再び警鐘が鳴る可能性があります。 日本銀行の長期にわたるマイナス金利政策と、新型コロナ禍における特例融資によって「ゾンビ企業」と言われる企業が存

本部経験が長い「意識高い系」の銀行員が地方銀行をダメにする

銀行本部の「意識高い系」の行員と、現場経験が豊富な行員。彼らの間には大きな隔たりがあります。 データと理論に基づく意思決定は確かに重要ですが、それが現場の実情から乖離していることは少なくありません。 一方で、顧客との接点を大切にする現場行員は、その経験から得た知見を活かし、実践的な改善策を提案しますが、大局的な視野を欠くこともあります。 この記事は、約23年間、地方銀行の本部も営業店も経験した筆者が、銀行内で生じるこのような問題を具体例を交えながら解説し、両者のギャップ

噂で銀行が倒産?豊川信用金庫事件から考える「なりすまし広告」対策

金融における「信用」は極めて脆弱だと私は思っています。 そのため、わずかな噂が大きな騒動を引き起こすことも珍しくありません。 この記事では、約50年前に起きた豊川信用金庫事件や、最近ニュースとなった有名人を騙る広告詐欺の事例を取り上げ、未確認情報や不正確な広告がどのようにあなたの運命を左右するかを考えてみます。 人はなぜ簡単にデマやフェイクニュースに騙されるのか。 この問題を探求するため、心理学の視点から私たちがどのように情報を処理し、どうして間違った情報に踊らされや

メガバンクの中途採用について

1年ほど前に、日本のメガバンクが、伝統的な「新卒一括採用」から、徐々に「中途採用」にシフトしつつあるという話についての記事を書いた。 そうした流れは、その後も、停滞することなく、それどころか、今や新卒採用を上回る勢いであるという。 もともとが、「新卒一括採用」というのは、日本固有の文化みたいなものであり、「終身雇用制度」「企業別組合」「年功序列制」という、「三種の神器」とリンクして、「JTC」、すなわち「Japanese Traditional Company(伝統的な日

できなかった手続き💦

昨日は長電話に疲れて書き忘れていましたが(^_^;) 手続きのため、信用金庫にも行ってきました。 母はカードを作っていないため、必要があってお金を下ろすとき、 いちいち窓口に行かなくてはなりません。 そこで妹から、 「今後のことも考えて、カードを作っておいた方がいいんじゃない?」 と言われていたので、母の了解も得て作ることにしたのです。 先日母を病院に連れて行ったとき、 カード発行の申込書に記入してもらったので、 通帳と印鑑も持って信用金庫へ向かいました。 申込書を出

スマホになにもかも集めすぎるのは一見べんりなようだが場合によってははるかにリスキーだと思った

はじめに このところなにかとスマホを経由することがふえた。あきらかに街ぐらしをはじめて以降、銀行に立ち寄ることはさらに減った。年に1回あるかないか。そろそろ事業をとじる段階でそれらの口座などを整理していこうとかんがえている。 現在も地元の方々との取引でつかう地方銀行の口座のスマホからの照会がスムーズにいかない。ネット口座の稼働状況の確認をしておかないと、いざ使うときに困ることがたびたび。 わたしの認証の設定がおぼつかないせい?らしい。スマホにあまりに頼る設定にしてしまう

銀行の裏側:労働組合は出世の手段になっている

今回の記事は、「銀行の労働組合」をテーマに取り上げます。 さらに、専従組合員と一般組合員の違いを解説していきます。 この記事は銀行業界と銀行の組合活動に長く携わった、私独自の見解に基づいていますが、皆さんにとって参考になるかもしれません。 本記事では、銀行の組合がどのように機能しているのか、従業員にとってどのような影響があるのか、そしてこれからどうなるべきなのか、考察しました。 銀行の組合とはまず銀行の組合について基本的なことを確認しておきます。 銀行組合は、銀行の

休眠口座の行方:使っていない銀行口座のお金はどうなるのか?

皆さんは「使っていない銀行口座」があるでしょうか。 私は以前銀行に勤務していたので、複数の口座を持っています。その中には特に必要がないのに作った口座もあります。 銀行を退職する際に、整理したつもりでしたが、先日使っていない口座があるとの知らせが元の職場から届きました。ちなみに残高は約1.2万円です。 今から通帳を探してみますが、正直なところ、手続きするのが面倒という気持ちもあります。 しかも、銀行窓口の手続きは時間がかかることが多いです。私のように考える人は結構多いの

女性活躍推進の取り組みに違和感 キャリアの形は一つ?

銀行の女性活躍推進法への取り組みが、注目を集めています。 特に、管理職や経営職に女性を積極的に登用する目標が設定されている取り組みは目立ちます。 こうした取り組みが女性にとって本当に望ましいのか、「女性活躍推進」の「活躍」とは何か、考察してみます。 女性活躍は「キャリアアップ」の意味か?多くの銀行が管理職比率の向上に注力しています。ただ銀行で働く女性の中には「キャリアアップ推進」に対して異なる意見を持つ人も少なくないと思います。 管理職や経営職に就くことが「キャリアの

銀行の「目利き力」について世間の誤解を解いておく

銀行に対する一般的な誤解は数多く存在します。 その中でも銀行員が高度なリスクを見極め、成長企業を見極める能力に長けているというのは、実際の業務内容と大きく乖離しています。 この記事は、銀行の「目利き力」の実態と、その背後に潜む問題点に焦点を当て、銀行員の業務とリスク評価の手法に対しての私の見解を述べます。 銀行員の真の役割は? 銀行の「目利き力」は、貸し出した資金とその利息が確実に返済されるかどうかを意味しています。 貸借対照表や損益計算書、キャッシュフローなどの財

マニュアルによって銀行のサービスが低下する理由

銀行業務は、変化する市場と顧客のニーズに対応するため、常に行員の生産性向上が求められています。 そのような環境の中、業務マニュアルは銀行員の生産性向上に重要な役割を果たします。 しかし、マニュアルがもたらす弊害は、銀行員が常に意識しておくべきテーマではないでしょうか。 本記事では、銀行のマニュアルについて考察します。 マニュアルの恩恵マニュアルは銀行に限らず、作業効率を高める重要なツールです。 マニュアル活用の恩恵として、作業の標準化、知識の共有、そしてミスの抑制と

地銀はマーケティングの本質を知っているのだろうか?

銀行業界では、マーケティングを単なる宣伝活動と捉える視点が根強く存在します。特に地銀では、その考え方が顕著です。 しかし、この伝統的な考え方は、デジタル化と顧客ニーズの多様化が進む現代社会においては、もはや時代遅れと言えるでしょう。 本記事では、マーケティングの意味を再定義し、地銀が直面する顧客ニーズの変化にどのように応えるべきかについて深掘りします。 マーケティングの本質マーケティングの本質は、顧客のニーズを深く理解し、それに応える製品やサービスの開発です。 このプ

銀行業務における行動経済学について

経済学という学問は、多くの大学で教えられていますが、その理論が現実の経済活動と合致しているかについては、常に議論の余地があります。 銀行員の皆さんにとって、経済学の理論が現実の顧客行動と乖離していることは、日々の業務で感じることかと思います。 そこで注目されているのが、「行動経済学」という分野です。 この記事では、行動経済学が銀行業務にどのように応用され、顧客サービスの向上に貢献できるのかを解説します。 経済学と行動経済学の違い従来の経済学では、「合理的経済人(ホモ・

地銀が保険を売る理由「顧客志向か収益拡大か」

地銀が保険商品を積極的に販売する背景はいったいなんでしょうか。私は、明確な収益追求の動機があると考えます。 経済がグローバル化し、金融市場が多様化する中で、地銀は従来の預金獲得や融資業務だけではなく、より幅広い金融サービスの提供によって収益の柱を多角化しなければいけません。 そのため、保険商品の販売は地銀にとって魅力的な収益源となっています。 しかし、このような地銀の戦略が必ずしも顧客の利益に適っているとは限りません。 保険販売の問題点 銀行員による保険販売にはいくつ