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ダウンジャケットで喫茶店の朝

おはようございます。
今日も食日記ごっらん頂き、ありがとうございます。

最近喫茶店に行けていないのは、近くにないから。
恋しくなった今日という日に、とっておきの冬の喫茶店備忘録をエッセイとして残そうと思う(春が始まったという日に、冬の始まりの物語。すいませんが寛容な目で、、)




今日の食日記

はぁ〜凍える寒さになりつつあります、ここ数日。


最も大変なのは、あの朝の瞬間、布団からふっと気合を入れて身を乗り出した時に吹く病のような寒気の空気風。
あれはなんなんだろうか、と毎年忘れては思い出し嫌になるのをかれこれ23年繰り返してきている(きっともう慣れているとでも言えるのかもしれない)。

そんな朝、憂鬱すぎるため、とにかく朝ご飯を楽しみにするしかない。

お味噌汁のほかほかに顔を埋める瞬間や、香ばしいトーストの匂いを犬のように嗅ぐことだったり。そんな朝の何気ない楽しみがあるから、なんとか朝起き上がって来れるのだろう(カーテンを開けてたしかに日差しを確認すればもうこっちのものだ)。

冬の朝ご飯、喫茶店に出かける朝こそ、最も楽しみに布団から飛び出せるのかもしれない。
喫茶店の過ごし方で、冬のモーニングがなによりも心身に染み渡るから結局冬になると喫茶店の朝に入り浸るのだ(やめられない)。

朝布団から飛び出して、ダウンジャケット(ヌプシジャケット)を片手でひったくり一目散に店内へかける。
白い息を確認するまでは、ホッとできずに手のひらを擦り合わせて。

名古屋と言ったらボンボンでしょう。
ご近所ではないから時々の訪問になってしまうのだが、やっぱり味があっていい。
この日は工事をしていた関係で、レトロでクラシカルな外観を拝むことはできなかったが、このお店はどこもかしこも粋が詰まっているから喫茶店の親だ。


もうダウンジャケットを出してしまった僕は(とても冷え性なもので)、3月くらいまでは口癖のように寒い寒いと言うのだろうと思いながら、この日も相変わらず寒い寒いと嘆いてはボンボン喫茶にやってきた。




今日のお店

ガラッと開けると、元気な挨拶と共に、それはもわっと熱風が風邪となって吹いてきた。

ファンシーなボンボンの看板


なんともロマンチックな店内だ。
小洒落たアンティークにシャンデリア、昔ながらにゴージャスさが残り、色褪せない活気は今日も健在だ。

店内はもうクリスマスモード。席に案内されながら、そんなやんわりとした12月の浮足だった景色をぼんやりと眺めていた。


パキッと光る口紅のような赤色にドキッとしながら、まだダウンジャケットを脱げずにハラハラしている僕を少し笑いたくなった。

この時間が好きなのだ。
入店の凍える身に、一筋の光のようなこの店内の温もり。落ち着くどころではない、巨体のシロクマにでも抱きしめられたようなあたたかさが尋常ではないのだ。

そのタイミングでやってきたホットコーヒー。


びっちりとおにぎりを握るように手のひらをマグカップに当てる(冷めてしまう、、)。
この瞬間もはや鳥肌が立ってしまうほどに落ち着く。心からホッとするとはこのことだ。

息の白さは既になく、つま先まで体温が上がってきたのがわかる。
ホッとするのも束の間に、モーニングの朝が来た。

何の変哲もないモーニングとはこれ



想像を上回らない、普通なモーニングが愛おしくて。

ひっきりなしのお客様、ゆで卵はいつも出来立てで熱々なのが嬉しい。
2枚のこんがり焼いたトーストには、じゅんわりとバターの光沢を見つける。ついでにあんこも追加して、最初はバタートースト時々茹で卵。

ホクホクのあんこをつけて、あんバターは間違いないあまじょっぱさに感無量。いつになく知っている味で、珈琲が沁み渡り、とにかく喫茶店の朝を羨ましく思った(冬の朝は、毎日ここで始めたい)。

帰りにケーキを一周できるのもこのお店の素敵なところ。ちょっとお土産に、なんて時間も良い日の始まりだ。

外に出れば、相変わらず寒くって。さっきまでのこたつに入ったようなオレンジ色の温もりに触れていたい。そう思いながら早歩きで店を出た。

さあ、冬よ。やってこい。

美味しいひと時に、ごちそうさまでした。
では、また次回。





今日のお店:ボンボン喫茶部(愛知県名古屋市東区泉2丁目1-22)



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