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フラットな関係性のプロボノは、マネジメントスキルの修行にピッタリ!

社会人のスキルを活用したボランティア「プロボノ」は、無報酬のものが大半です。

ただ、金銭的な報酬がないだけで、実は無形資産が貯まると考えています。

無形資産とは、その人の中に蓄積されるスキル、知見、経験、人的ネットワークなど、目に見えない財産のことです。

特に、マネジメントスキルを伸ばすには、プロボノはうってつけの場だと思います。

ビジネスの現場では、たいてい何かしらの力関係があります。

クライアント>外注先、上司>部下、部長>課長>係長>平社員、親会社>子会社などなど、何かしらの力の不均衡があるものです。

力が強い方は弱い方を、その力の強さに応じて、命令したり、封じ込めたり、無理を通したりすることもできます。

圧を受けた方は嫌だと思いつつも、「売り上げが欲しい」「失注したくない」「出世したいから耐えよう」「にらまれて冷遇されたくないから」と、不満を飲み込みがちです。

不満があっても、実際に持っている不満の大きさと同じ声の大きさで喚き散らすことなんてまずなく、裏で小声で文句を言うか、黙って従うか…なんてことが多いと思うのです。

個人的には、無理やり従わせるなんて暴力的で嫌ですが、多かれ少なかれビジネスの現場では「力にものを言わせる」やり方が通用してしまうのです。

だから、部下をマネジメントするスキルや、社外の関係者をディレクションスキルがあっても、そこに「会社の看板」「役職の看板」の威力が乗っていて、実際のスキルよりも強い影響力を持ちがちなのだと思います。

しかも、本人はそれが看板のお陰だとはなかなか気づきません。

看板を外した状態で、マネジメントやディレクションをしたことがないからです。

「強く言えば周囲が言うことを聞く」のに慣れてしまったせいで、まるで自分が万能の力を持っているように錯覚している人のなんと多いことか!


(なんだか、今日は表現が辛辣な感じですみませんね。

この話を書きながら思い出したことがありまして。

とある大手メーカーの若手社員とお会いしたとき、「この会社を選んでよかったことは?」という質問に対して「大手なので、下請けの会社のベテラン経営者がペコペコしてくれるし圧をかければ無理が通るところw」と言っていて、「最低な考え方だな!」と憤ったのですが、悲しいけれどビジネスシーンだとそう珍しくはない話なのだと思います。

これを思い出して腹が立ってきたので、ツンケンした表現になってしまいました。そういう人間に、なりたくないよね…!)

そんな感じで、私は力関係を利用して支配する/されることを嫌う人間なので、NPOなどプロボノが集まる場所に行くと、風通しのよさに心底うれしくなりました。

志だけで集まった多様な人たちが、フラットに意見を出し合う。

なんてすばらしい!

会社ではどんなに偉くても、偉くなくても、プロボノ同士として会えば対等な仲間です。

一方で、やっかいなこともあります。

プロボノは、フラットゆえに強制力がないのです。

持ち帰りの宿題を出したり、納品日を決めたり、ミーティング日時を設定しても、「できませんでした」「行けません」の一言で白紙に戻ってしまうことも。

会社なら、「指示通りにやれ!」と怒ってやらせることもできますが、プロボノ相手にはできません。

命令や強制を試みるのは自由ですが、「嫌だ」と思えば人が去ってしまいます。

報酬や契約で相手を縛れないからこそ、「やりたい」というモチベーションを喚起すること、「できる」ことを正確に見極め仕事を配分することが必要です。

本業の合間を縫って短い時間でなるべく高い成果を出してもらうには、的確なディレクションが必要です。

バックグラウンドと常識が違う人達を束ねるのも大変です。

自分が相手に合わせたり、相手に歩み寄ってもらう必要があれば調整したり、プロボノ同士の衝突が起こらないようにすり合わせたり。

会社で必要なマネジメントとは比べ物にならないくらい、きめ細やかなマネジメントが必要になります。

「看板がないと、こんなに人は言うことを聞かないのか!」と衝撃を受けると思います。

普段、波風を立てずマネジメントできている方にとってはショックな体験かもしれませんが、「波風が立っていないだけで、自分の見えない水面下で実は不満や不協和音があったのかも」という敏感さを持ちやすくなるのではないでしょうか。

ビジネスシーンでは、時には強引に物事を進めることも必要です。

関係者全員が満足して誰も傷つかない、ということを最優先しては仕事が進みません。

ただ、自分が力を持っていることに無自覚で、水面下の人の心に何も気づけないと、トラブルや溝が表面化して大事になってはじめて気づくことになりかねません。

フラットな関係性でのマネジメントを体感することで、上下関係がある場でのマネジメントにおいても「人の心の変化に気づくセンサー」が働きやすくなると思います。

それに、人は強制されたことより自ら熱意を感じて取り組んだ方が、高い成果やコミットメントを発揮します。

プロボノ相手にモチベーションを喚起させるようなマネジメントスキルを磨くことで、ビジネスの現場でも有機的で人間味のある組織運営ができると思います。

「お金が絡まないから簡単」どころか、実はマネジメントスキルが最も試され磨かれるのが、プロボノの現場です。

今日はネガティブな表現がちょこちょこ出てきて、陽気なノリを求めて読んでくださっている方には申し訳なかったのですが、私は常々日本の「縦社会ノリ」の弊害を感じていたので、そこについて書きたかったんですよ。

日本だと、部活でもサークルでも縦社会が当たり前なので、上下関係の中で命令する文化に染まりすぎている気がしています。

命令、強制、圧力に囲まれて過ごすのは、ストレスも増えるし、いきいきと働くことが阻害されてしまうと感じています。

今いる組織を離れて看板を背負わない「一個人」に戻る場所として、プロボノ活動がもっと注目されてほしいなと思います。

パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名

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