ペルソナは要らない、“あなた”のために全力を尽くす
意外かもしれませんが、パラレルキャリア研究所は「ペルソナ」を設定していません。
ペルソナとはマーケティングの手法の一つで、サービスを届けたい人の人物像を詳細に設定したものです。
ターゲットが「20代、女性、東京在住、ネイルサロンに毎月通う」くらいだとしたら、ペルソナは「28歳、女性、彼氏あり独身、大田区在住、千代田区勤務、ネット系広告の営業職、ネイルサロンに毎月通うが決まった店でなくホットペッパーで安いクーポンを探して予約する、情報収集するのは女性ファッション誌とインスタグラム、よく読む雑誌はOggi」…くらいの細かさで描写するのが特徴です。
自分の名前で仕事をしよう、と思ったときに、「どんな人にどんな価値を届けよう?」と考えるはずです。
でも実は、フリーランス、副業で仕事を開始する序盤には「ペルソナ」は向いていないのではと思っています。
ペルソナが効果を発揮するのって、関係者が多い時だと思うんですよ。
複数の関係者がいると、「ターゲット」という大きなくくりに対して、解釈のブレが出てしまう。そこに明確な共通認識を描き出すのが、ペルソナの役目だと思います。
でも、1人なら、自分が把握できていればそれでいい、とも言えます。
そして、「ペルソナ」だと実在しないので、特に経験が少ない時点ではリアルな存在として意識しにくいと思うのです。
ターゲットをリアルに思い浮かべるためのペルソナですが、実際に顧客との有形無形のコミュニケーションの経験が乏しいうちは、「リアル」を実感できていないので、ペルソナがリアルかどうかも確信を持てないのではないかと思います。
だから、駆け出しのころにやってほしいのは、ペルソナの設定よりも「たくさんの顧客と会って話すこと」だと思います。
そして、「この人のこんな悩みに寄り添いたい」「この人の役に立ちたい」という、明確で強烈な、リアルな情熱を燃やすことです。
顧客とのコミュニケーションを持てば、「役に立てるかな?」という想像よりも、はるかに解像度が高い「役に立てるポイント」を見つけることができます。
ECサイトやYoutubeなど、顧客と直に話さないものでも、「口コミ」「コメント」「インサイト」などから、顧客の満足度や求めるものは浮かび上がってきます。
想像で考え出したペルソナより、実際の顧客に教わる情報量の方が断然多いものです。
だから、私も企業さんと協業するときは、関係者も多いのでターゲットやペルソナを設定することもありますが、自分だけで主導できるものは「目の前の人のために」を徹底しています。
パラレルキャリア研究所の講演や講座は、すべて「私が5年前に聞きたかった話」「お客様からの質問が多い話」をベースに組み立てています。
リアルな悩みを持ったリアルな人に、いつも届けたいと思っています。「あなたの役に立ちたいんだ!」という熱量は、言葉の外でも伝わると思いますし。
「自分のサービスの顧客はどんな人たちなんだろう?」という段階でモヤモヤしているなら、まず試作品でいいので商品やサービスを世に出してみてください。
そこでの反応が、一番のヒントです。
そして、その人たちのために、よりよい改善を続けていく。それが、本当に価値あるものを届ける第一歩だと思います。
パラレルキャリア研究所代表 慶野英里名(けいのえりな)
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