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アルコホリック・ブルー

二日酔いで最低の気分になるたび「もう絶対に飲まない」と誓いを立てる。
でもその誓いは、染髪料が頭皮を通り抜けて脳みそまで染みてそうなパッパラパーなギャルの「ズッ友」の誓いくらい軽く、不確かで。

今日も今日とて、新しい瓶の栓を抜く。
翌日には、また守られることの無い誓いを立てることになるのに。

はじめはとにかく甘くて口当たりが良いのが好きだった。
酔いが回って初めてアルコールだったと気付くような。

次はビールをよく飲むようになった。みんな飲んでるから。
「にがい」を「うまい」と言わないとみんなが大人だと認めてくれない気がしたから。

したり顔で蒸留酒へのこだわりを、聞きかじった誰かの言葉で語ってみたりもした。他の人にはわからない素材本来の味ってヤツが、自分にはわかるフリをした。

どうせ最後はトイレに流すだけなんだから、酔っぱらわせてくれればなんでもいい。
誓いを何度か反故にして、体を流れる赤い液体のアルコール度数がシャンパンくらいになった時、そう気付いた。

だから私は今日も今日とて、新しい瓶の栓を抜く。
別に貴方がどんな人でも構わない。
どうせ最後はトイレに流すだけ、酔わせてくれればそれでいい。

きっとまた誓いを立てることになる。
そして、それもまたきっと守らない。


おわりー、どうぞよろしく、よろしくどうぞー


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