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会社における経営企画の役割を考えながらハッピーに仕事をするための心構えについて考える

「経営企画にいきたい」という相談を時々受けることがある。

そんな人に「経企にいってどんな仕事がしたいの?」 と聞いたときには明確な答えが返ってきたことなあまりない気がする。 

これはこれで立派な動機ではあるが、現状の部門から単に脱出したいという思いや、 上司がアホすぎてやってらんないとかがメインの理由だったりする。それでもたまに意識が高くて勉強している子もいて実践で試したいと思っている人もいることはいる。そんな人は適しているような気もするが、経営企画を美化していてかっこいい仕事だと勘違いしている気もする。

あとたまに”キャリアの箔がつくので”という人もいるけど、そういった人はいい仕事をしてくれる人はなかったり、エゴが途中で露呈してしまって、うまくいかなくなったりするのでそういった人にはぼくは心のシャッターを降している。

今日は「そもそも経営企画の役割ってなんだったかな・・・」ということを自分なりに振り返り、どんな人が経営企画にきたら合っているだろうかということについて考えてみることにした。いろいろな会社の経営企画の人に会う機会があるのでぼくの会社だけの話ではないと思う。

■ エリート的なイメージがあるけど実際そうなのか

そういう面はあるかもしれないが、それは一面であって全然そうではない人が大半。見込み違いの方や、意識が低い方もかなりの数いる。 この辺は経企にその人を引き上げた人の目利きの問題と、 どういう人を経営企画部に入れるか、 人選をしている社長であったり上司の目論見によってどういう人が 集まるかが決まってくる。

だいたい経営企画に配属されるよくあるパターンは3つくらいだと思う。

1つ目はゴリゴリ改革していきたいという社長や部門長であればそういったことができるヤツを集める。

2つ目のパターンは意見を言わずに指示したことを迅速に処理 できる人がほしければ腕利きのスペシャリストか、 ただの中身のないYESマン集めになる。

3つ目のパターンとしてどこにも引き取り手がなく、 扱いに困っているひとをとりあえず置いておくという場合もあり、 こういった人は数年たったらまた別の人と入れ替わり要員として「 一定期間経企で勉強した」という箔をつけて( そんな箔は社外ではくその役にも立たないが) 出してあげるという機能もあるにはある。

—— 〻 ——

経営企画は社長のスタッフである場合が多いので、人選は基本的に社長メインで決めてい ることが多いが、人事部の担当役員が人を送ろうとしたり、 出そうとしたりする場合もある。

じゃあ経営企画はエリートか?という問いについては僕の答えとしては「たまにそういう将来背負っていく人は確かに何人かいる部署だが、それ以外はちょっと考えることが得意な普通の作業要員か普通の指示待ち社員の集まり」という感覚がある。

たまたま配属されたことを機に会社に提案しよう、 貢献しようと思って取り組むか、 ひたすら処理技術を高めてファイナンスやリーガルのスペシャリス トを目指すために一時的な経営の勉強の場にするのか、 普通の会社員として言われたことをきっちりやるのか、 上司に調子を合わせて次の異動を待つために流して仕事をするのかは捉え方次第という面も大きい。

■事業部門やスタッフ部門からどう思われているかを受け止める力が必要

なにかと批判されることが多い経営企画部門。そういった外部の意見や皮肉を広い心で受け入れられることは経企での仕事ぶりを大きく左右する。

事業部門からしたら、「部外者」、「社長の手下」、「 面倒事をもってくるヤツ」という扱いを少なからず受ける。

「自分たちの苦労もしらないくせに」ということは言わるし、雰囲気を感じることは多々ある。「正論ぶってんじゃないよ」とか「だったらおまえやってみろ」というスタンスを感じることもある。

よくあるのが「経営企画という仮想敵国」を作ると現場が団結できるので自分も被害者として自分の部門をまとめ上げることができるので、そういった使われ方も裏でされているということは知っておいた方が良いし、別に悪いことではないと思った方が良い。

もちろん、そんな扱いばかりをうけるではない。経営企画部門の大変さはわかっている人はわかっているので、あまりアホな人や心がせまーい人は相手をしないで無視しておけばいいだけの話。

それでも自分は会社のためにやることをやるんだ!!!という気持ちで仕事をしていればそんなことは言われなくなるし、恐れられるかもしれないけど頼られて周りの見る目もかわるから真摯に仕事に取り組むだけだ。

—— 〻 ——

余談だが、ぼくは結構社内でもエグイ、過酷な事業部門に長年いたこともあって、「その部門にいた」ということをいうと結構理解をしてくれる人が多く、事業ではないスタッフ部門から経企にあがってきた人と比べるとだいぶ甘めに見てくれているところは結構ラッキーなところではある(当時は病んで死んでいましたが)。

結構スタッフ部門あがりだと「現場を知らないくせに」とか言われやすいのは確かなので、そういう人がダメということではない。

協調していく姿勢、「上から指示していく」という目線ではなくモチベートして、自分もその事業に役に立とうとしながらも全体の会社の戦略を推進していくような姿勢さえあれば問題ない。

スタッフ部門だとそういったことをわからない人の比率が相対的に多いだけの話であって、逆にスタッフ部門なのにそういったことができたらその人はかなり重宝されるだろう。

■スタッフ部門は経営企画部門をどう見ているか

事業部門ではない財務部や法務部など業務範囲が固定されたスタッフ部門からは経営企画はどう見られているか。

彼らは「 面倒なことは経企に投げよう」「それは財務の業務や役割ではない」「 経企の判断に従います」「あくまで法務部としての見解ですが」 などと判断をゆだねる相手として経企は認識されている。
 
スタッフ部門はいつもラインの事業部門からいいように扱われたり、「あいつらスタッフ部門は暇そうだ」とか「誰が稼いでいると思っているのか(→これはやっかみ以外の何ものでもない)」と思われている面もあるので、判断をすること、事業内容に関与することを極度に避ける傾向がある。

自分たちは専門部隊として仕事はちゃんとやるけど「事業部の意見に従う」というスタンスを自然ととるようになる。

そうなると、スタッフ部門からすると事業部門では判断できないことに直面した場合に、「経企に判断してもらう」というのは至極当然の思考といっていい。

そんな彼らを味方につけるというのはとても重要だ。あくまでリスクをとるのは自分(経企)ですと一言いうだけで彼らは協力してくれる。

スタッフ部門の人たちも事業部門にいろいろ言われる一方、スペシャリストとしてのプライドがあったり、スタッフ部門とはいえ、スタッフ部門の立場から会社を良くしようと思っている人もいるので、そういう人と仲良くなりアライアンスを組むイメージで一緒に仕事すると頼りになることは間違いない。

「リスクは自分、意思決定をしていくのは経企です」というスタンスを伝えながら接していくだけで得られる協力はかなり大きいと思っていい。

■9つのサイトから考える経企の役割、経営企画部門のいろいろな定義

少し経営企画の役割についていろいろな方々がどう考えているかについて少し参考としてご紹介する。どれも正しいとか間違いとかではなく、いろいろな考え方があるということだけを念頭においていただき、いったいどういう役割が会社の中であるのかについて振り返ってみたい。

(※それぞれ参照サイトはリンクを貼っておきます)

1)「経営企画の仕事と役割とは?英語力は必要? 転職に役立つスキルや職種を解説!(参照:TECH:NOTE)

【経企の役割】
会社経営・事業計画のかじ取り役
中長期の経営企画立案、経営管理、単年度予算の編成
プロジェクトのマーケティングや競合調査も行う
データ分析力と実行力が重視される

[コメント]
経営企画は社長に次ぐ「ナンバーツー」 であり事業の維持と継続的な発展のために必要。 社長は既存事業の枠組みを超え、 新たな施策に注力するというような内容。ぼくもそう思う。どちらかというと役割として記載されているのは業務そのもの。

2)「経営企画部門の実態~874社に聞いたアンケート調査結果~」(参照:日本総研)

これは実際に企業にアンケートをとっているのでうまく集約された内容となっていて僕も見ていて違和感がない。

【経営企画部門の3大主管業務+α】
中期経営計画・ビジョンの策定、設定、管理、
単年度予算の編成・管理
特命プロジェクト推進
+過半数の経営企画部門が新規事業推進、組織風土改革、、 取締役会事務局、 CSR推進もやっているので広範で多様

[コメント]
個人的には上記に加えて生々しく書けば誰もやりたがらない問題処 理の仕事、表に出せない案件の処理などの仕事も多いが、 それは企業側はアンケ― トにかけないという前提があるから出てきていないと推測できる 。

3)経営企画部の役割と仕事内容・求められる資格やスキル(参照:Mayonez

【経企の役割】
経営管理
取締役会運営
IR・株式事務
内部統制  
 
[コメント]
確かに上記4つを担っている会社はあると思う。 僕の会社では戦略、新事業、M&A、 こんがらがった問題解決などをメインとした経企なので、 実は記載された4つはどれも経企ではやっていないような会社 。書かれた役割は実際は以下の部門が担当している。
 
経営管理 →財務部で業績管理(経企は報告受ける側)
取締役会運営 →総務(経企も参加)
IR・株式  →広報、法務
内部統制  →監査室や総部

4)経営企画の役割とは(参照:MBAJourney)

【経営企画部門の役割】
企業経営、事業に関する情報の収集、 メッセージの創出など、マネジメントの意思決定を支援すること
事業部門における活動の最適化を支援すること
マネジメントと事業部門の間をシームレスにつなぎ、 迅速で精度の高い意思決定を支援すること

[コメント]面白い表現で、結構適格だと思う。こちらは表向きに役割書などで定義されているような内容ではなくて、どういったファンクションをしているか? ということにフォーカスして解説してくれていて、 とてもいいところついてくれている。経営企画が会社のステージによって変わるという解説を後半の方で しているのでご興味がある方は見ていただきたい。 4象限で分けて解説してくれている。

5)企業参謀!?あなたの会社にもある「経営企画室」 本来求められる仕事とは?(参照:Leverage Labo

経営全般を「全体最適」でマネジメントする仕事
経営者の意思決定をサポートする仕事
収益構造をコントロールする仕事

[コメント]
このサイトでは上記に加えてプロデューサー的な役割が重要と書いてあるところは特に共感する。 各専門部署の垣根を越えて何をつくっていきたいのかというのを考えてリードしていく役割が重要で、 経営企画単独でやれることはほぼ無いということを認識できている と「上から目線」とか言われることはないだろう。

 6)経営企画部門の役割(参照:JobQ転職支援サイト)

【経企の役割】
経営管理と経営企画立案・実行
企業としての業績をデータとして分析し、 それをもとに業務目標を設定し、 そこから各部署における目標設定、それに対する施策を行う。

[コメント]
このサイトに限らずデータ分析、KPIの設定、 管理という面を説明しているサイトが結構あった。 確かに重要なミッションの一つですが、 計数管理や経営管理的な業務のほうがイメージとしてあっていて、 経営企画では上記が仕事のすべてではないという印象を受ける。

どちらかというとデータ分析やKPIはやるけど、 課題設定の方が大事で分析や管理はその検証のためにやる前提みた いな扱いかなと思う。「 僕らは今何をしなければならないのか、 どういう課題があってどういうことをすると良い方向にいけるのか 」というのを考える方にウェイトを置いている。

7)経営企画部は花形のエリート部隊って聞くけれど、 どんな仕事なの?(参照:外資系投資銀行への道標)

【経企の役割】
会社経営のかじ取り役
M&Aやアライアンス
予算作成
経営管理

[コメント]

この4つで言えばM&Aやアライアンスは僕は普段やっている。事業と一緒にそういった仕掛けを作っていく役割だ。予算作成と経営管理は僕の会社では財務がやっている。

最初のかじ取り役というのはそういう意識でやっているが、実際にできているかは別問題だが、経企の業務全般を表してくれている言葉だと思う。

このサイトでは経企は出世コースという記載があり、 上記で書かせていただいたとおり一般的にはそういうイメージがあるし、 実際に経営企画部を経験した人が上に上がることが多いのも確か。社内の他部門からのイメージと違って、 だからといって全員がエリートではないという点は覚えておいたほうがよい。

8)株式会社 IWNC「経営戦略の実行と経営企画部門の役割」(参照:Bizteria)

[コメント]
どちらかということこのページでは経企の心もちを説明してくれていて、 計画を立てて投げるだけではなく現場でちゃんと動かす大切さを説明してくれている。 いいっぱなしではなく実務に入っていくという考えは私も共感できるところ。

9)JT、リクルートの若手エースが語る、経営企画部の意義(参照:NEWSPICKS)

[コメント]
これは面白かった。 経営企画部はジョブディスクリプションが明確な海外と違って日本特有なファンクションという説明がある。 確かにそういう面はある。

また、リクルートの方は「 組織にとって不十分な要素は何かについて、 外側から提案する機能、 定常飛行している組織では対応できない事態に対応する機能」 を上げておりこれは経営企画の重要な側面を説明している。

欧米ではトップダウンで決まることを日本では経営企画部が拾って 形にしていくという説明をJTの方がされていて、これも同意見。 社内外でアンテナをはって社内外でウロウロすることが大事という ことも僕は共感できるし、 実際にうろうろして現場を歩くようにしている。

■会社の規模によって違う経営企画部門の人数

日本総研の調査結果では、 売上高100億円未満だと平均2-3人、1,000億円~3, 000億円だと平均8-9人ということになる。

あまり違和感がある数字ではなく、 だいたいこんな感じだろうというのが僕の自分の会社や、お使いしている会社の方々をみていて思う率直な感想だ

それぞれ規模別にどういった役割を経企が担っているかというと結構違いがあるので3パターンに分けてみた。
 
1)数億~数百億規模の会社やベンチャー

最近上場した会社の経営企画の方に効いたら500億円規模で2人で回しているというから相当キツイだろうなと感じた。 

そういった会社は育てている余裕はないし、 新卒で入った人はラインでそのまま活躍していくしかないので外部から来た2人でやっているということだが、 日々が忙しいということもあり、 かなりコーポレート系の話は現場は非協力的なようだ。

2)数千億後半~数兆円

逆にホールディングズ制や巨大は何兆円という会社は経営企画は外部の専門家で固めて、新卒のラインの方はいかないような専門職的な会社もあるのも事実。そういった会社は元コンサルとかプロの集まりだが、事業のことを考え経営はしているとは思えない会社もあるのは事実。

どちらかというと経営者と株主のいうことをトップダウンで実行していくようなイメージかと思う。大きさゆえに事業のことはそれぞれの事業で完結していて、優秀な人もそろっているという前提があるからこういったことができるんだと思う。

3)数千億前半~中盤

私のいる数千億という規模の会社は上記2つの真ん中くらいのイメージ。事業企画的な仕事ばかりだけでもなくコーポレートの仕事もそれなりにあり海外拠点もいろいろあっていろいろな経営の問題が起きているような感じだ。

事業も複数の事業で構成されていることも多く、事業と一緒にやる仕事もかなり多い一方、全社的な仕事も結構ある。

■規模からいえる自分が向いている経営企画部のスタンス

上記のように、ある程度規模によって経営企画に求められる役割が変わってくるので、自分がどういった仕事をしたいのか、どういったスタンスで経営や事業とかかわりたいのか?という点については規模を一つの軸として考えると、例えば転職活動をするときには役に立つ。

実際に僕も転職活動をしたときに今の会社より規模が大きいところを受けたときには「事業との距離」を感じる一方、「より何かのプロ」を求められているような雰囲気をすごく感じた(結局合わないとおもって一度あって早々に辞退した)。

■経営企画部からみた会社の課題とは?

上記の日本総研の記事には「経営企画部からみた会社の課題」 に関するアンケート結果がある。 これはまさにぼくがnoteを始めて記事を書こうとしたきっかけでもあったので 、共感できる意見も多くぜひご紹介したい。
 
【経企が思っている会社の課題】
受け身型社員の増加
マネジメントと現場の乖離
コミュニケーション不足
セクショナリズム
前例踏襲主義
一体感の欠如
先が見えない不安
世代間の意義の違い
 
経企の皆さんは「そうそう、これです」って思う人も多いはずだ。

経営企画部の業務的な内容は上記にいろいろ書いたような仕事は実際に全てやっていることではあるが、 裏には上記のような課題が山のようにあり、 課題を掘り下げていくと経企メンバーがぶち当たる課題は全て上記 に内在しているといっても過言ではない。

■経企で働く心構え・面白さ・つらさ

上記のような、受け身型社員の増加、マネジメントと現場の乖離、セクショナリズム、前例踏襲主義、一体感の欠如、先が見えないなどの企業にとって本質的な課題を嘆いていては経営企画部としては二流であり、 普通の部門にいて飲み屋で愚痴を言い合っているのと変わらない。
 
そういった現状を踏まえてもなお、どう良くしていくか、 そういった問題を前提として考え続けて、 裏で施策を考えて実行していくという役割が本来の経営企画の役割 といえるとぼくは考える。

表(おもて)の仕事を見ていればかっこいい仕事も多いですし、実際僕もM&Aやグローバル展開、中計策定などを担当している。

なのでエリートとかそういった目でみられたり、嫌味言われたりするが、実際は超地味で泥臭い仕事ばかりで誰も助けてくれないから自分で自分のケツをもって仕事をするのが経営企画の実態だ。

—— 〻 ——
 
そういった意識で仕事をしていない経企メンバーが大半かもしれないが、それは嘆いても仕方ないし、価値観の違いなので一緒に仕事をしていく仲間としてやることをやっていけばいいだけの話。

人のことを意識が低いとかどうこういう資格も無いのだ。議論や熱い気持ちでディスカッションや深掘りした議論はできないかもしれないが、同僚としてそれぞれできることをやればいい。
 
経企を志す方は中計・ビジョン策定、 新規事業推進とかかっこいい雰囲気にミスリードされる面も多く、 経営企画部門の大きな苦悩があることは忘れないでほしいと思う。
 
そういったドロドロしたものを踏まえて、答えのない問題を考え続け、且つ、 他の部署からは良いように使われたり、 うがった目で見られることも逆に利用してやろうと思える人が経企に来てほしいと僕は日々思うのだ。 

ぼくができているかは別として、なにか特別な才能や得意分野がなくてもそういう人たちと働きたい。
 
そういう経企にしていきたいと思う。
 
読んでいただきありがとうございます。
また書きます。

keiky. 


[参考]



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