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創業の思いを広げていく難しさについてマクドナルドのフランチャイズ展開から考えてみる

マクドナルド。

それはぼくにとっては子供とおもちゃ目当てに時々いくところ。もしくは海外出張で途上国に行ったときに看板をみるといざとなったら食べられるものがあると安心する存在だ。

安売りしまくってた頃ぼくは高校生だった。そのあとに高級路線になり、カフェのターゲットを狙う戦略に移行したあとに、またファミリーにターゲットを戻して復活してきたという最近の流れまで、多くの人がマクドナルドの紆余曲折や進化というのを目の当たりにしているはずだ。

そんなマクドナルドをみるとフランチャイズ展開の業態について考えさせられる。ぼくはBtoBのメーカーに勤務しているので消費者へのダイレクトな商売についてはド素人だ。

そんな僕にとってマクドナルドは元祖フランチャイズということを思い出す存在だ。マクドナルドをメガチェーンに拡大したのはレイ・クロックという一人のセールスマンだったこととセットで客商売について考えるときに思い出す。

■マクドナルドのフランチャイズ展開を成功させたクロック

マクドナルドを実際に創業したのはマクドナルド兄弟という実在する兄弟だったが、それを広めたのがクロックという人だった。彼がマクドナルドを手掛けたのは50代に入ってからというから驚きだ。それまで彼は正直あまりおもしろくなさそうな紙コップやミキサーの営業マンだったらしい。

50歳を超えてもなお、世の中にイノベーションを起こしたのだ。しかも自分がゼロから作ったビジネスではなく、自分のビジネスの嗅覚をもとにチェーン展開で大きくしたというビジネスセンスはすごいなあといつも感じる。

アラフォーにだんだん近づいてきたぼくでもまだまだできるのだろうか。そんなことを彼の自伝である「成功はゴミ箱の中に」という本を読むたびに感じるところだ。(※ここのゴミ箱の表現は彼が競合分析するなら他社のごみをあさって分析をすれば良いと言っていたことからきている)

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彼ははじめは機械のセールスマンとしてマクドナルドのお店の噂を聞いてお店を訪れたのがきっかけだった。

彼はマクドナルド兄弟が経営する今までのレストランとは全く違った今の原型となる形態で商売をして繁盛しているのをみて「これはいける」と思った。

彼はお店に通い、マクドナルド兄弟からいろいろなビジネスの秘訣を教わった。マクドナルド兄弟はおいしいハンバーガーを安く清潔なお店で均一な味で提供するというイノベーションをすでに起こしていて、そこに目を付けたのがクロックだった。

彼はフランチャイズ展開を提案し、徹底的にフランチャイズにするためにマニュアル作りを行い、とにかくオペレーションをシステム化した。

フランチャイズ化することでオーナーがお店を経営する形態にして、結果的に爆発的に広げていくことができた。各店舗の品質維持のための研究も行ったり、認定制度や作業時間に関する管理方法など、作業の標準化を徹底して大成功を収めた。

彼のすごさはすぐれたビジネスモデルを体系的に標準化し、それをフランチャイズ展開するところまでもっていったというところに他ならない。

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本にも書いてあることだが、彼はマクドナルドのフランチャイズのオペレーションに頭脳や学歴は一切不要と断定している。

彼はマクドナルドの店舗運営に必要なのは「徹底したオペレーションとマックに対する情熱と覚悟」ということを伝え続けて見事にビジネスを軌道に乗せたのだ。

余計なことを考えず、マニュアルにして全店舗で同じ品質を展開することがいかに大変だったか本には色々かいてある。色々メニューや作り方を変えてしまうフランチャイズのオーナーが出てきたり試行錯誤の末、彼は体系的にマクドナルドという一つのチェーンを作り上げたのだった。

これは余談だが、次第に彼はマクドナルド兄弟が邪魔になって、細かい調整が不要なように一切の権限を破格のお金で買い取ったうえで、彼らがマクドナルドという店名すら使えなくさせて、彼らのお店の目の前にマクドナルドを出店するようなこともしているのだから並みの情熱ではない。

■ フランチャイズの難しさと多様化

現在マクドナルドは日本に何店舗あるだろう。

マクドナルドは国内で外食部門で圧倒的に一位で2000店舗もある。ちなみに二位はどこだろう。

概算の数字なので正確な数字はそれぞれ会社のホームページなどで確認していただきたいが、二位はモスバーガーが約1350店、三位はサーティーワンで1180店、四位はCoCo壱番屋1080店、あとはドトール900くらい、コメダ700弱といった感じで続いている。ちなみにスタバはフランチャイズではなく直営店なので出てこない。

このような巨大チェーンを作り上げるのは並大抵のことではない。

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フランチャイズというとなんとなくシステム化、マニュアル化して標準化すればよいと思いがちだが、もっとも難しいのはその裏にある企業理念や哲学を伝えていくところにあるというのは見落としがちな会社もあるように見受けられる。

徹底した効率化や作業のマニュアル化はもちろん、均一な品質を提供するうえでは重要なことに変わりはないが、それを提供するのは結局は人なのである。

人はそれぞれ異なる考えや性格をもっている。人の出入りも激しい。それを設立当初のお客様のためにどんなサービスを提供したいか?ということを伝えた上で、マニュアルに沿ったサービスを提供するということがキーになってくる。

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スターバックスの社員に聞いたわけではないので読んだ書籍などからの情報でしかないが、作業マニュアル的なものはもちろんあるが、哲学などの研修を非常に充実させていて、何を提供するかということに関する教育を徹底しているようだ。

教育マニュアルより哲学を中心に教えるので店によるサービスもバラバラ、それぞれの店舗が自分たちで考えて自分たちのお客さんに対して最高のサービスを提供しようとしているのがスタバだ。こういったことはフランチャイズだとやりづらいので直営店にしているらしい。

マックのクロックさんの話は「成功はゴミ箱の中に」という本をおすすめしたい一方で、スタバの話しだったら「スターバックス成功物語」という本も企業の中がよく分かるので時々読み返していたりする。

昨年より話題のコンビニ、特にセブンイレブンのフランチャイズはどうだろう。社員が勝手に発注したり新製品のノルマや季節商品の展開などとにかくオーナーたちがいきいき働けているようには見えずWin-Winの関係には少なくともニュースを見ている限りは見えない。

設立当初、どういった気持ちでこのフランチャイズを立ち上げたのだろう。どういった理念をもっているかちゃんと伝えているのだろうか。売上やノルマ至上主義になっていないか。そんなことを感じる事例も起きている。社員を犠牲にした上で作り上げた利益にどれだけ価値があるのか、これからもっと問われてくる時代に突入していくことを感じさせる事例が非常に多い。

日本はただでさえ全てが過剰なので全ての店が11時に締まっても慣れればいいしお店の数だってべらぼうに多いことを海外生活が長かったぼくとしては感じるときがある。今の品質やサービスの状態を維持しようとすると人口減の中問題は起きるだけで無ければ無いなりに生活はできるのであまり僕は日本の未来を不安視していない。

■ 最後に

クロックさんのマクドナルドのフランチャイズ展開について少し振り返ってみた。

これから日本でもっと面白いフランチャイズチェーンがこれからドンドン出てきてほしいと思う。規模だけではなく、経営理念に共感して広まっていくようなサービス。外食に限らずいろんな思いが伝播していく。そんな明るい未来を期待している。

ちなみに改善は日本人の素晴らしい強みだ。毎日愚直に働き、お客様のことを考えてより良いサービスを提供とする考え。これはおそらく他の国には負けない強みであるという自信が僕にはある。「労働=コスト、なるべく効率的に」という考えがグローバルでは大半な中、「自分が損をできる」そんな人が多い国民は少ない。

一部ではオペレーショナルエクセレンス(徹底した磨き、改善など)はイノベーティブではないという見方があるが、ぼくはそうは思わない。

戦略的ではないようにうつるかもしれないが、真似できない強みとしてそれを武器にできる強みが日本にはある。

そんな日本企業の十八番をいかした新たなフランチャイズチェーン。

どんなサービスがこれから生まれてくるか楽しみだ。

Keiky.


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