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目標を分解しないと集団主義に陥り現場のモチベーションが下がる・・・と知っててもあえて改善しない風土ってある

会社には色々な予算がある。

全社の売上と利益目標が予算として分解され、顧客や事業部、製品、担当者ごとに割り振られいる。個別の活動を足していくと会社が目指す数字になるというとてもシンプルな仕組みになっている。

だいたい会社の目標に対する状況というのは2つに分かれている。ある会社では目標というのは常に達成していくか、ギリギリ未達だったりする。一方で別の会社では常に未達が続いていくという状況だったりする。常に未達な会社は目標が高い一方で別に結果が達成しようがしまいが何も変わらないという状況である場合も多い。ぼくは結構日本企業は後者の方が多い気がしている。

また、進捗管理や予算と実績の管理は適切だろうか。どこをどう達成したら目標を達成できるかというところまでうまくブレイクダウンされているだろうか。それとも「売上と営業利益の達成」だけが声高に叫ばれて具体的な達成手段は個々人に丸投げされているような状態に近いだろうか。結構後者のような会社が多いのではないかと思っている。

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今回、この話がどこに帰結していくかというと目標のブレイクダウンって大事だよねという話になる。

うまく目標がブレイクダウンされていないことによる弊害というのは結構多くて、まずモチベーションが続かないということ。他にも根性論で「気合いだ気合いだ」という風になりやすいということがあげられる。他にもその数字を達成するために関わる部門が多すぎて他の部門の他責にしやしということも弊害として大きかったりする。やれ営業が悪いだの製造が悪い、技術が悪いと言い合えるのも目標が不明確であるからというのが要因の一つである場合が多い。

経営目標を現場にうまくブレイクダウンできていないことで、予算に対する「いった・いかない」の議論やひたすら対予算売上と利益で鞭を打つスタイルのマネジメントを継続してきており、目標に対する未達も続いてしまうという結果に結びつきやすい。

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ブレイクダウンの方法というのはとても簡単であえて説明するまでもないが、例えば会社のPLになぞらせてツリーを作っていけばいいというとてもシンプルなものである。


売上であれば数量×単価、売上原価であれば原料費×加工費。
販管費であれば販売にかかる費用をそれぞれ分解(人件費、運搬費、償却費・・・などなど)。管理費も同じくドンドン分解していく。分解が難しければ一定の配分ルールを決めて配分して分解していく。

こうして最初は売上と営業利益だった目標がそれぞれどういった部分がどういった影響をしあっているかが分かってくる。

もしいろいろな事業や品種などに分かれているのであればA事業、B事業、C事業と分解していけばいいし、品種やセグメントで分かれているのであればそれに応じて分けていくことになるし、顧客別や担当者別に分けていくということもできるのでさらに細分化していく。

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この時に大切なのは目標は額だけではなく%を目標として考えていくと事業間の違いもわかるのでぼくの会社では機能している。

例えば原料費で考えると単位あたり(kgでも枚数でも面積でも業界による)の原料費用を%で出せば数量のブレを排除してあくまで製品当たりの原料費という見方ができる。加工費も単位あたりの加工費にするという目標にすれば「前年比X%削減」とったことを達成する。

こういった数字の合計が一つの売上や利益目標につながっているようなエクセルシートを作れば、どこの数字をどういじったらどれだけ影響がでるかというところを認識しやすくなる。

また未達の時にはどこの項目が目標に達成したいから未達なのかが分かり、経営判断をする上でも問題個所が一瞬でわかるというメリットもある。

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こういった至極当たり前のことを書くと誰も知っているので真新しさは全くない。一方で本当にそれらの分解された指標で日々の活動が管理されていて目標がブレイクダウンできれているかというと案外そうではないものだ。

どうしても売上と営業利益の目標ばかりで上から下に指示がいくのである一つの分解された指標で目標を達成しようが”全体でどうか”ということに終始してしまう場合も多く、例えある一つの指標を担っている部門が目標を達成したとしても別に褒められるわけではなく、達成したことを言おうものなら”お前のところが調子いいからっていい気になるなよ”ということを言われたりする場合も多いものだ。

もちろん目標を適切にブレイクダウンされていない場合はそういった指摘はあってしかるべきだが、適切にブレイクダウンされていたとしても「問題の所在を明らかにしない日本企業の体質」が手伝ってそういった目標管理自体が合わなかったりするのだ。

やはり集団主義で成果も責任も曖昧にしていくというスタイルは変わりにくいので、目標管理(KPIとかKGIとか)といくら言ってもあまり重要視されない傾向が強く、少し間違うと”気合が足りない”とか根性論になってしまう。一応予算などブレイクダウンされているが形だけのものであったり、そもそもブレイクダウンが難しい非現実的な数字だったら達成不可能なものだったりしているのが現実だ。

そういった体質は実はいい面もあるのだが最近は悪い面ばかりが表に出ている気もする。

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目標のブレイクダウンについては例えば経営として売上と営業利益の目標は維持するが、より具体的な分解されたターゲットをいくつも部署などに合わせて設定して、全体目標を「受け手に伝わる目標設定」に変換することがとっても経営上大事だという点を忘れてはならない。

その上で現場への部分的な過関与は避け、大きな方向性だけを出して各事業の経営は信頼して任せて適切な管理指標を設定するということで、現場の自主性も高めながら、ポイントだけは押さえられるというマネジメントを実現することが最も良い方向性だと考えている。

最悪なのがこういった分析もせず経営トップや上層部から現場に間違ったポイントの指示をして現場がそれに努力した結果成果が行かず、さらには現場のせいにされるというループに陥ってしまう場合。こうなる危険性が高いのでやはり会社の計数目標は適切な分解が一番重要だと個人的には思うがなかなか曖昧にしたがる文化のせいでうまくいかない。

余談だが、仕事だけではなくダイエット、筋トレ、禁煙などなんでも目標が大きすぎると達成する気がなくなってしまうが、ちょっとずつ目標をブレイクダウンしていけば継続できることも私生活で多いものだ。

それを仕事でもうまくステップを踏んだり、目標を分解する大切さというのを思い出して、必要以上に気合いを入れたり、必要以上にプレッシャーを与えなくても済むように経営したいと常々思う。


Keiky.

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