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旅のエッセイ:京都

京都錦小路 (2015年8月10日)

しばらく来ないうちに、京都の中で一番様変わりしてしまったのは、この通りかもしれない。昔、京都の街中の人は、美味しいものを食べたいと思ったら、ここへ買い物に来た。「おでかけどすか」「へえ、ちょっとそこまでぇ〜」と、内容のない会話をかわして、昼から買い物かごを下げて「かいもん」へ出かける。季節によってハモやグジ、水菜に菊菜、置いているものは変わるが、店構えは何十年(いや、100年)も変わらないまま、、、市井の人々がそんな初物をいち早く手にする場所だった。

ところが、買い物客より観光客が圧倒的に多い今。晩ご飯のおかずを買うところというよりは、観光客を見に行くところ、、になってしまった。置いているものも、お土産品が多くなっている。値札も、商品名も英語や中国語。これじゃあ、京都の生鮮版秋葉原じゃないか、、、。淋しい思いをしながら歩いていると、魚屋の景気の良いだみ声が聞こえてきた。「さあ、さあ」「サーモン、サーモン」「安いで、安いで」「フレッシュ、フレッシュ」「フィッシュ、フィッシュ」「グッド、グッド」

京都の人は何でも2回連呼する。こうして京都の錦市場もまた、新しい時代の波を感じ取りながら、取り込み、昇華して進化しようとしている途上なのかもしれない。
「ええやん、ええやん」「がんばりよし、がんばりよし」

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