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あのひとは春の空色

『薄い空色は桜がよく似合う 彼女の言葉 蘇る朝』


桜を見ると 彼女を思い出す。

「桜が咲く頃の空の色は、薄い水色なんだよ。
この色は桜に似合うから、きっと神様がそうしたんだね。」

彼女の言葉が、私の中に残っている。


私は彼女とずいぶん仲が良かった。

いろんなことがありすぎて、今は疎遠になっている。

彼女は若い頃、とても可愛らしくそこそこきれいだった。
男性からモテていたが、天真爛漫なので男友達は多かった。
無邪気で人懐こく明るい性格だけど、
相手の立場を考えることもなく、その場の雰囲気を読むこともなく、自分の思ったことや感じたことを素直にズバズバ言うから、女友達とはよく口げんかになっていた。

「だって、本当のことだもん!」

子供のようなケンカをよくしていた。
(私はケンカをしたことがなかった)

彼女にとってみれば、
「素直に言っただけなのになぜ怒るの?」
という感覚だったかもしれないが
相手にとってみれば、
「なんて失礼なことを言うの!」
グサっと胸に刺さり腹が立つ言葉だということを彼女は全く気がつかない。

そう言うことが繰り返し起こり、
彼女の周りにいた旧友たちは一人ずつ離れていった。

だが、人当たりもよく、おしゃべり好きなので、新しい友人がすぐにできていた。

私も、彼女の言葉が グサっ グサっ グサっと
何百本ものナイフが胸に突き刺さり
もうこれ以上耐えきれないと感じ、離れた。

先日、彼女の友人だった方にばったりと会った。

「あの人はいい人なんだけど、反省しないのよね。」
と、こぼしていた。私も大きく頷き、

「それを許せない私は、心が狭いのです。」
と俯くと、

「自分を大切にしなさいね。」
と優しく私の肩をなでてくれた。

今まで、彼女のことを言葉にできないでいたが、
こうしてnoteに書けるようになったと言うことは、
桜に映える空色のせいなのか、
私の硬かった心の一部が少しずつ溶け出してきているのかもしれない。

私は小さいなぁと自分でも分かっているけど、
今はまだ、心の中で彼女を想うだけにしておきます。



私の中の彼女は
〈桜に似合う空のように 雲一つない 薄い水色〉

少し冷たい空気だけど、明るい日差しが桜をきれいに見せてくれています。

彼女が元気で過ごしていることを、心より願っています。