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海外プロダクトリサーチにはファクトがある

こんにちは。ミニッツの山本圭樹です。
海外渡航が難しいコロナ禍において、英語も喋れない人間がどのように国内から海外プロダクト及びユーザーにアプローチしたかをまとめました。
(具体的なケースは書きづらかったので興味ある方は個別アポください🙋‍♂️)

海外プロダクトリサーチの重要性

そもそも海外プロダクトのリサーチがどうして大切なのか。それはアイデアではなくファクトが存在するからです。自社のアイデアと似たファクトを知り、その差分からアイデアの確度を上げていくことは非常に重要です。ただ、海外プロダクトは国の文化や歴史などのバックグラウンドの違いによる影響も大きく、そのままトレースしても上手くいくかは分かりません。海外プロダクトのリサーチはファクトから学習ポイントを特定し、バックグラウンドの違いを理解した上で自社プロダクトに反映する作業だと考えています。

自社(ミニッツ)での実践

1.流入経路含め詳細に調べる

僕らは海外のライブコマースプロダクトにおいては、視聴、コメント、購入を行い、配信販売者になるための導線は触れる範囲で全て行いました。また、外部からのプロダクト流入経路を把握するために利用者のプロダクト外のアクションも調査しました。例えば、USだとIGストーリーにおける拡散が中心でしたが、日本国内のトレカ領域においては圧倒的にTwitterの方が機能しています。この差分にはどういう背景があり、Twitterで同じ再現がされるかなどは注目していました。
流入経路の特定はその国の流行やそのプロダクトのどういうポイントがユーザーさんに刺さっているかが分かるので大切にしています。

インスタストーリーを用いてユーザー獲得していた事例多数

2.リサーチ結果を社内に体験動画中心に伝える

調査の経験を自分だけに閉じ込めないためにも、画面録画やドキュメントの作成を行い、社内に共有しています。
主な調査担当を非エンジニア・デザイナーが行う場合、メンバーに正しく伝わるようにビジュアルで届けること、自分なりの解釈を共有することは大切にしていました。そうすることで、調査担当者以外にもできるだけ自身の体験に近い状態をトレースできるようになり、自分ごと化した議論ができるようになりやすいと考えています。

画面録画まとめ。配信種類を把握するために100本くらい撮影。

3.未知の海外リサーチこそ泥臭くN1インタビュー

海外プロダクトのN1インタビューは、英語が話せない、N1の探し方がわからないなど諦めやすい傾向にあると思います。ただ、未知なことが多いからこそ情報を引き出し、自社プロダクトがPMFするようにN1にアクセスすることが重要です。自分達は島国の極めて閉鎖的な独自文化に生きていることを自覚すれば、より海外N1インタビューの必要性は感じます。

海外プロダクトのN1対象の見つけ方は、実際のプロダクト利用者のアカウント名を全てリスト化し、InstagramやTiktokといった外部SNSで検索をしてヒアリングリストを作成しました。その際、できるだけレスをくれるように対象者が興味を持ちそうなIGアカウントを作成。具体的には日本を全面に押し出し、ドメインに詳しいと思われる訴求。(アカウントを消してしまいましたが、tokyo_card_boy的な名前で国内トレカを並べていました)
ちなみに僕は英語は喋れないので、ほとんどがDeepL翻訳に助けてもらっています。

海外プロダクト利用者とのやりとり。200件程営業DM。約30人のプロダクト利用者と対話。

4.仮説のズレにフォーカスを当てる

リサーチ前との仮説が大きくズレることもありますが、仮説のズレこそが発見であり、一番喜ぶべきポイントです。正直、インタビュー直後は悪魔の囁きによって仮説のズレを覆い隠し、自身の仮説と合っていたものにフィーチャーを当てがちです。
正しい情報を伝えることは当然と思うかもしれませんが、インタビューは一人でやっていることも多く、無意識に自身の都合の良い情報に向きあいがちというバイアスに注意すべきと思っています。
さらに海外リサーチの場合、外国語を都合よく解釈することにも注意です。そのためにも「自身の仮説を書き出しておく」、「ヒアリング相手の音声・テキストをそのまま開示する」ことは重要だと思います。
自身のメンツ(仮説の正しさ)ではなく、ズレにフォーカスを当てることを大切にしています。

盛大に初期仮説は外れてました

5.仮説のズレを自身のユーザーさんにアラインさせる

得た情報を整理し、自社プロダクトの想定しているユーザーさんに海外プロダクトの実画面をその場で翻訳しながら意見をもらっていました。社内同様、ビジュアルで訴求できるので、具体的な意見が返ってきやすく良かったです。

最終的にはそこから自身のプロダクトに反映する際は、「海外プロダクトにアラインする」か「自身の仮説にアラインする」かは大きな分かれ目です。重要なことは自身のプロダクト対象のユーザーにアラインさせることです。この判断は非常に難しいですが、海外プロダクトの文化的背景とユーザーさんの意見を考慮した上で決めます。

ただそれでも決めたものが外れる可能性も十分にあります。あくまでこれまでのリサーチは予想の難しさを和らげてくれただけと割り切り、そこから先は自身が最前線に身を投じて誰よりも早く体感し、意思決定していくことが大切だと思っています。ミニッツの場合、リリース直後は自ら配信販売を行い、判断がミスっていたものに関しては即座に修正を加えました。

感想

正直、海外リサーチから学んだことを自社プロダクトに反映したとしてもリリース直後に判断が間違っていたと思うことはありました。ただリサーチが仮説通りであることを満点とせず、不確実性を1%でも下げるものと捉えれば十分な発見がありました。
また、不安になった時や意思決定に迷った時など、想定と違うタイミングでこの調査から学んだ文化的な背景の違いや共通点が役に立つシーンも多く、海外検証は行って良かったなと思います。

詳細なお話もお気軽に!

この記事にはどういう仮説と結果だったかまでを書くことはできないですが、個別の場ではお話できることも多いので、もし何か興味を持っていただけた方はお気軽にご連絡ください。


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