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読書感想文 ソウアイの星を読んで

ソウアイの星。
相愛の星。
お互いに愛しているのに、お互いにお互いを星のように光輝いていると思っているのに、それが交わりそうで交わらない、ふたつの星。
傍から見ればじれったいけど、それが成長のためだと割り切り、離れることの出来る2人。
しかし、しっかりと心は繋がっていて、お互いを必要としていて、常に存在を感じ、尊敬し続けている。そんな一定の距離で居続けることの出来る2人。

朔也が一番輝く瞬間はステージにあることを知っているからこそ、距離を保って接していた。同い年で、親しい関係にあっても、決して踏み入ってはいけない領域を意識していた。

ソウアイの星⑨話より


また、主人公、琉香の中にはもう一人の人物、ルナがいて自由に意志を持ち、自立している。琉香の気持ちは、ルナとの会話で深く伝わってくる。推し、朔也との関係の迷いや決意もそこから読み取れる。
そして朔也は、琉香の心に触れているからこそ気づくルナの存在。

ただ、流香はたまに流香じゃない・・・・・・ときがあった気がして、なんだったんだろうって

ソウアイの星⑨話より

ルナは自分をタルパマンサーだという。二重人格ではないんだ、と私は思わずググッてしまった。
タルパマンサー。想像上の友人を大人になっても生みだす人のこと。
この、タルパマンサーを生みだす琉香の過去が明らかになれば、もしかしたら物語はもっと深くなるのかもしれない、と感じた。
でもしかし、物語の内容がブレるかも。。。とも。

朔也のいるグループCALETTeは朔也の体調によりライブ中止、活動休止となり、手術を前にした朔也の不安な様子、それを見守り支えようとする琉香。期待に応えようとする朔也の葛藤。そしてやっと行動できた琉香としての、琉香自身の正直な気持ち。

「銭湯で髪を乾かさない、石鹸の香りを全身に纏った人に会いたいと思ってたから」

 朔也は笑った。



「いる? そんな変なやつ」

 朔也の眼差しは穏やかで、優しくて、無垢な素直さを持っていた。



「いるよ。わたしの大好きな人」

ソウアイの星⑭話より

そして、術後初めて書いた新曲の作詞。
琉香を詞にのせた。

 『ソウアイの星』

 カクテル二杯で
 クッションの海に 沈んだ


 星も見えない ブルーグレーの空
 夜の池 眺めながら歩く
 目を閉じて バラード
 六月のアコースティック・ナイト
 
 星はいつも見えてる
 強い光を放つ キミ
 ソウアイの星


 遠回しに
 当たり障りないこと 話す
 恐る恐る 
 上目遣いな キミ
 
 人は自分の光 見えないから
 ソウアイの星
 一等星みたいに 光ってた

ソウアイの星⑭話より

そこで結ばれるのかな?と期待したが、しかしそれでも尚、ファンとしての立場を貫く琉香。
本当にじれったい。

でも、コレが本当の推しとファンの姿なのかもしれない。と、推しのいない私にはそう感じた。

一言で言えば「美しい」

きっと今でも朔也は毎日、

一本一本、ただその日のステージを大切にしたい。そこに全力。余力が残らないくらいに集中できたらいいな

ソウアイの星⑮話より

この言葉の通り、一つ一つに全力を注いでいるのだろう。


相思相愛。
ソウアイ。
お互いの光しか見えないふたつの星。

毎日更新された⑯話。
あらすじからあとがきまで足すと19話。https://note.com/aomame_nono/n/nddfa5815ef3c

物語は2万字という。
毎日少しづつ読んでいたら気づかなかったが、改めて最初から一気に読んでみたら結構な量だった。
大作だ。

初めて読み終えた直後に感じた、中学生、高校生の宿題である、読書感想文というものがまだあるのなら、この『ソウアイの星』を題材に書いて欲しい、という気持ち。この気持ちに確信を持った読み返しだった。

ぜひ、読む時にはLUNASEA『LUCA』を聴きながら読んで欲しい。


若い人に読んで欲しい。きっとまた、別の感動があるはずだから。

青豆ノノさま、お疲れ様でした☆。.:*・゜

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