データ提供会社のProfessional Servicesを整理
本記事の想定読者
・弊社に興味関心がある方
・外資系ITスタートアップ企業の文化や働き方に興味がある方
・SaaS Professional Servicesに関心がある方
モバイル市場データを提供する米系企業に在籍して2022年5月で早くも6年数ヶ月が経過。最初の4年半は法人新規営業として働き、2020年10月から分析専門チーム(Professional Services、以下PS、とかThe Servicesと呼ぶ)に自ら手を挙げて社内異動をした。PSを約18ヶ月間やってきて、note開始以来、あまり自身の仕事内容を記していなかったので、備忘録的に記載しようかと思う。
The Services Team とは
グローバルの少数精鋭データ分析チーム(22年5月時点で8名のみ)
日本は僕だけで、北京・SG・ロンドン・NY・SFにそれぞれいる
ミッションや仕事内容は以下参照
The Services - VISION
会社全体のVISIONはあるけど、チームとしてもVISIONを整理して内外に発信する事で、自分等の存在意義、自分がなぜここで、誰のために働いているのか、要は楽しいのか・自分のキャリアのためになっているのか振り返る意味でも良いなぁとは思っている。
因みに、今年初めに社内でチーム対抗のビデオピッチ(チーム紹介・仕事内容・どのように会社に貢献しているか紹介)を行なった。PSチームのリーダーがShawnという名前なので、「Ocean's 8」をパロディして「Shawn's 8」として、最後にみんなで「O'Shawn!」というツッコミを入れるという映像を製作したら見事に優勝した。
Mission
他のEnterprise SaaSでも、PSを提供している会社はあるが、弊社の場合は極端にPS売上が少ない。SaaS(ソフトウェア計上)を最大化させる方針だ。それ故に若干肩身は狭い(苦笑)チームなんだが、僕はわざわざそんなチームに自ら跳びこんだ訳だ。
※他Enterprise SaaSのPSに関してはAppendix記事を参照すると良い。
仕事内容
#1は本当に何でも行うが、米系企業らしく「Global First」方針の元に、グローバル全体の営業推進に効果的な内容やGlobal ARRに最も寄与しやすいサポートを行う方針になっている。ToFマーケ活動で新規リードを獲得するようなサポート、新規営業/Up-sell/Cross-sellの新たな数字を作り出すサポート、Renewal/Churn-savingのマイナス数字を限定的に抑えるためのサポートなど多岐にわたる。営業チームと密に連携して動くため、営業マインドセットが必要になる。顧客が欲しているニーズと営業が目指している内容をそれぞれ理解し、ニュートラルアドバイザーとして両方を笑顔にできるような動きが必要なため、三度の飯よりデータ分析が好きですって人は弊社のPSには向かない。そのような方はプロダクトに関わるData Scienceチームの方が合っている。SaaSビジネスではCSM(カスタマーサクセスマネージャー)が非常に重要な役割になるが、弊社のPS担当はAE/AM/CSMの職種内容をカバーできる力量と、顧客満足に応えるだけの実践的な分析力・ノウハウ等もないと務まらないと思っている。
#2は記載の通りだが、Customer Firstの合言葉の元に有償コンサルを何でもする訳ではない。弊社ソリューション(データ)の有効的な分析例〜示唆を提供し、顧客の事業推進に役立ち、結果的に契約更新に繋がることをミッションにしているため、扱うのは弊社データのみだ。また、ポイントとしては、前述の通り、SaaS売上を最大化させたい(=ワンタイムの分析依頼を頂きPS計上が多くなる事は避けたい)ので、モバイルアプリの分析専門家として分析視点・示唆を導くアプローチを示して、次回からは自走できるように促すことも念頭としている。
#1:営業バックアップ的な分析テーマ
ToFマーケや様々な営業シーンで使えるようなコンテンツを作成しており、直近1年間では以下を作成した。
日本版のモバイル市場年鑑(State of Mobile Japan)
Z世代のモバイル利用動向
シニア世代に顕著に利用されるアプリ・利用傾向
注目のゲームアプリ「ウマ娘」深堀分析
注目のゲームアプリ「ROBLOX」深堀分析
BNPLと小売アプリの密接な関係
世界の従来型銀行・デジタルバンク・FinTechアプリ
モバイルアプリ側面から世の中の状況をキャッチアップして自身の仕事に役立てたい人のニーズや、弊社顧客が知りたいニーズを最大公約数的に考えている。それを時には公開ウェビナーとして、一部は弊社顧客向けの勉強会として提供している。
#2:特定顧客向けの分析サポート事例
非ゲームアプリのマネタイズ手法分類と成否考察
Connected Carアプリ動向とソフトに移行する自動車メーカー状況
日本のMaaS状況をアプリ視点から考察
日本の大手小売・流通系アプリから成功事例を考察
睡眠計測・健康促進系アプリ動向と成否考察
スマートホーム・IoT系アプリ動向と成否考察
オンライン診療・慢性疾患管理アプリの動向と成否考察
生理管理アプリのグロースアドバイス
小口融資系アプリ&FinTechアプリ動向と成否考察
自社IPライセンス付与のアプリ成否状況
分析内容をタグ付けした場合
上記10事例を見ると市場トレンド分析が多いように見えるが、実際には顧客の事業推進に役立つような示唆を提供する事が多い。アプリグロースの場合は、ASO/ASAを含む集客視点から継続利用向上・顧客満足向上に繋がるような視点まで含まれる。
昨今はアプリが主戦場ではない日系大手企業からの分析ニーズが高く上記のような事例になっている。
文字ばかりだとイメージ湧かないので、チラッとだけサンプルを貼り付けておくね。今後気が向いたら各事例など紹介する記事を書こうかな…
PSとして働く上で求められる事
弊社もご多分に漏れず、AI(人工知能)を全面的に押し出しており弊社データは全面的にAI Drivenな状況になっている。AI・Cloudが普通になり、世間が新しいトレンドで持ちきりな中で、自分で言うのもだが、上記のようなレポートは完全マニュアルで「おいおい、10年前かよ…」と思う事がたまにある。ただ、日本に限らず米国でもPSニーズはあり、顧客が欲しいのはAI生成されたデータやダッシュボードツールではなく、「経営や事業推進の意思決定に繋がる示唆・レコメンデーション」だよね…と顧客と対峙していると思う。
Python・SQLなど駆使してデータをゴリゴリする処はさっさと技術発展してくれることを期待しつつ、どちらかと言えば以下のような観点が大事になるのかなと、PSとして18ヶ月間やってきて思う。
まあまあ深い業界知識(興味を持って勉強できる好奇心)
新しいトレンドや技術を貪欲に追う姿勢
顧客を成功に導くためのヒアリング能力
顧客側でのソリューション利活用促進・SaaS売上も意識した動き方
社内外ステークホルダーのマネジメントやチームプレー
最終的には顧客ニーズに応える実践力(示唆提供力)
これは弊社PSの場合としてと記載したけど、ジャンルを問わずに様々なSaaS企業のCSM(カスタマーサクセス)も大事になる部分はあると思う。
Appendix
SaaSのPSに関心がある場合は以下も併せて読むと面白いです。
以上
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