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裁判の準備(任意開示証拠編)

刑事事件では、事実の認定は<証拠>によるとされています。

日本の刑事裁判では、全ての証拠を開示しなければならないという<全面証拠開示>の制度は現時点ではとられていません。

今回の私の裁判は<公判前整理手続>に付されておりますので、証拠の開示請求が可能です。

【用語:公判前整理手続】
初公判前に、刑事事件の争点や証拠を整理するための準備手続。刑事裁判の迅速かつ適正な進行が目的で、以下のような場合に実施されます。
・すべての裁判員裁判事件
・否認事件など、争点が多岐にわたるため事前の争点整理や証拠の整理が望ましい場合

捜査機関はのべ大多数の捜査員と多額の捜査費をかけて私を逮捕してきました。その彼らが安易と被告人に有利となる証拠を自分達から開示するわけがありません。
そこは百も承知ですので、我々は検察が<証拠調べ請求>したものから内容を細かく精査していくことになります。

証拠調べ請求とは検察側が裁判所に「これだけの犯罪証拠があるので、被告人を処罰してください」と申し立てる証拠のことです。要は私を起訴するにあたって、その根拠となる証拠を示しているんですね。

私の罪名は建造物侵入と窃盗。証拠の数は「45」ありました。
多いと思いますか?少ないと思いますか?
この45の証拠で私が有罪になるかどうかを裁判官に判断してもらうことになります。

さて、どんな証拠なんでしょうか。

きっと私が犯人という内容のものが並んでいるのではないかと、最初は不安です。
やってもいないことに対してドキドキする必要はないんですが、勾留中は随所で、犯行をでっちあげる動きが捜査機関にあったため、そこがとても心配でした。

弁護士先生と一緒にテーブルいっぱい証拠を広げてチェックしました。

弁護士先生はニコニコしてます。
それもそのはず。全ての証拠から私が間違いなく犯人であると指し示すものは1つもないのです。それでも犯行を推認させるストーリーがあれば、何となく私が犯人に見えそうな感じのものもあります。

弁護士先生から一通り説明を受け、実際に一つ一つ内容を精査し、反論箇所をまとめていきます。

ざっと見終わって、出た結論。「他の証拠も検証したいですね。」

検察側にはまだまだ沢山の証拠が眠っています。
全ての開示は不可能かもしれませんが、我々にも請求する権利はあります。

任意開示証拠は、こちらにとってあまり役に立つものではありませんでした。被告人側に有利になりそうな証拠は検察も開示を渋るのです。

気づけば逮捕されてから120日、起訴から早3ヶ月経ちました。

裁判の長期化を避ける公判前整理手続。
冬に逮捕され、初公判の日にちも決まらぬまま夏に突入です。
まだ、証拠開示も始まったばかりです。ここからが本当の公判前整理手続に入ると思いますが、任意開示証拠も開示内容に不満が残る結果でしたので、類型証拠開示(下記参照)を申し立てをしようとしているところです。

【用語:類型証拠開示】
証拠物、検証調書・実況見分調書、鑑定書、被告人や証人予定者の供述録取書等一定の類型に該当する証拠で「特定の検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であると認められる」ものについての開示制度である。

刑事訴訟法316条の5

それにしても、犯行を認めていれば既に裁判が終わっていたのかもしれませんが、否認していると裁判すらなかなか始まりません。

私はこういった刑事訴訟手続については、全くの素人ですが、薄々何かがおかしいという気がしてなりません。

保釈が認められていなければ、どうなっていたんでしょうか・・・。

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