子どもの自分が知りたかった宝石の秘密!「世界のレアな宝石たち」小学生講座を開催
宝石は大人になってから?
こんにちは。カラッツ(KARATZ)代表の小山(おやま)です。
宝石鑑定士をしております。
ところで皆さんは、宝石をご購入されたことがありますか?
初めて宝石を手にしたのは何歳の頃でしょうか?
多くの方は、大人になってからだと思います。
でも、子供時代から宝石の名前をたくさん知っていたような気がしますよね。
ダイヤモンド、ルビー、サファイア…。
宝石の名前を聞けば、それぞれ色が浮かんできます。
もちろん、今の子どもたちに聞いても「ルビーは赤!」と教えてくれます。
でも、子どもはどこでそれを知るんでしょうか?
私は、漫画やアニメ、ゲームの世界に、宝石の名前がたくさん出てくるからだと思っています。
漫画のキャラクターの名前に使われていたり、アニメの必殺技として目にしたり、ゲーム内のアイテムとして登場したりと、色々な場所で、宝石の名前に親しむ機会があるんですね。
そして、いつの間にか「ルビーは赤」「サファイアは青」と覚えてしまいます。
でも、本物のルビーを目にしたことのある子は?
ほとんどいないと思うんです。
『本物の宝石と出会うのは、大人になってから』
これって、とても残念な話ですよね。
「もっと早くに知りたかった!」というお客様の言葉
宝石商としてお客様と宝石のお話をしていると、
「知らなかった~」
「もっと早くに知っていれば……」
という言葉をよく聞きます。
大人になる前から宝石に興味がある子はたくさんいるのに、慣れ親しむ機会がなかったんだな、としみじみ思います。
実は私、創業80年の質屋の生まれ。
子どもの頃から宝石は身近な存在でした。小学生時代には、見よう見まねで宝石鑑定を始めたくらいです。数々の石と出会い、その魅力に惹かれて宝石商となりました。
いまは、個人でも情報発信できるし、少し調べれば色々な情報を知ることができる時代です。ルビーやサファイアの写真だけでしたら、検索すればたくさん出てきます。
宝石を好きになった子どもは、有名な宝石だけではなく、ペリドットやアメシスト、タンザナイトやルチルクォーツなど、ゲームや漫画に出てこない宝石があることを調べられます。
でも、『本物の宝石』と出会う機会がどれだけあるでしょうか?
私はそのことを、いつも残念に思っていました。
アメリカで「子どものための宝石講座」を発見
「何かできないかな?」と思っても、その「何か」が浮かばない日々。
子どもが宝石店に行くのは簡単ではありませんし、宝石を買う機会もないでしょう。それに『本物の宝石』はたくさんあるので、なるべく色々見せてあげたいとも思います。
「難しいなあ…」
そう思っていましたが、なんと、ヒントはアメリカにありました。
渡米した際、ロサンゼルス博物館で、子ども向けの宝石講座が開催されているのを目にしたのです。
「なんで博物館?」
と思われるかもしれませんが、鉱物について教えるのは理科の授業でもあるんですね。
アメリカの子どもたちが目をキラキラさせて、石に触ったり、光を当てて楽しんだり……どの子も本当に楽しそうでした。
「やっぱり、子どもも宝石が好きなんだ」
「自分が小学生のとき、こんな専門的な授業を受けたかったなぁ」
感心すると同時に思いました。
「ぜひ日本でもやってほしい。いや、自分で開催しよう!」と。
私には、宝石鑑定士としての経験があります。単なる知識を勉強する場ではなく、『本物の宝石』を見て触って楽しめる時間を作りたいと思いました。
コンセプトは、『子どもたちが飽きずに楽しめる宝石講座』です!
日本の子どもたちに『レアな宝石』を教えたい!
最初の企画は小学1年生向け。
「騙されない!本物!?偽物!?ダイヤモンドの見分け方」でした。
(こちらの詳細は次回のnoteにて)。
そして、2年生向けの講座は「世界のレアな宝石たち」。今回のnoteではこの講座の様子をお話しします。
さてさて、どんな宝石が「レア」だと思いますか…?
・アレキサンドライト
・ハイアライトオパール
・ブラックスターサファイア
今回の講座のために、普段はなかなか見ることができない石を集めました。子どもたちが自分でペンライトで照らしたり、光学効果を体感できるように選りすぐったレアな宝石たちです。
宝石の質、光による変化、地球のどこで採掘できるのか、など話は尽きません!
アニメやゲームに登場する宝石たち
講座は、子どもたちに質問するところから始まりました。
「みんな、知っている宝石を教えて~!」
「アメシスト!」
「タイガーキャッツアイ!」
「ルチルクォーツ!」
むむ。この時点でなかなかマニアックな石が出てきました。
石に興味がある子たちに出会えて嬉しい限り。
「じゃあ、この石は知ってる?」
「知ってる!」
「見たことある!」
「わたし好き~♪」
「じゃあ、この石は何のアニメで使われているかな?」
「……えーと」
「これがヒントです」
「「「プリキュア!」」」
正解です。
今は、中高生向けだけではなく、低学年向けのアニメやゲームでも、宝石の名前がどんどん出てくるようになっているんです。プリキュアやポケモン、妖怪ウォッチなどですね。子どもたちにとって宝石の名前は、もう身近な存在です。
「今から、世界の色々な宝石について話していくね」
次は、本物の宝石に触ってもらう時間です。
世界のレアな宝石たち
これが実際に配った石です。
①と②、写真から名前がわかるでしょうか?
「これにライトを当てるとどうなるかな?」
「えー?」
「わかんない!」
「キラキラする?」
子どもたちは食い入るように宝石を見詰めています。こちらはライトを渡すだけ。照らし出すのは子どもたちが自分でやるのが一番です!
「色が変わった!」
「何か見える!?」
石の変化にどの子も驚いていました。
ちなみに、クイズの答えは――――
①はブラックスターサファイア。星の形が見える石です。
②はアレキサンドライト。光によって色が変わります。アレキサンドルというロシアの皇帝が名付けたことでも有名ですね。
次に、また別の石を配ります。
この2つの石は、見ただけで名前を当てるのは難しいと思います。ヒントは、「ブラックライト」と「文字」。ブラックライトは長波長の紫外線を放射する電灯で、宝石鑑定によく使われるものですね。
さて、何の石か、効果から当ててみてください。
「①の石にブラックライトを当てるとどうなるかな?」
「②の石をプリントの上に置いたら、文字はどう見える?」
「ぜんぜん違う色に変わった!」
「なんで?」
「文字がダブって見える!?」
「ヘンなの~」
実際にやってみた子どもたちは、不思議そうに石を見つめます。そう、この2つは「ブラックライトで色が変わる石」と「文字が2重に見える石」なんです。
ハイアライトオパールと、カルサイトですね。
「パイアライトオパールの中に含まれる成分がブラックライトに反応して、色が変わるんだよ」
「カルサイトの下の文字がダブって見えるのは、『屈折率』という物を曲げる力が働いているからだよ。これは小学5年生で習うんだけど、今日ちょっと早く勉強しちゃったね」
「ちょっとじゃないよ~!」
「まだ2年だよ!」
「学校の勉強で、こんなことまでわかっちゃうんだ!」
子どもたちは、宝石だけではなく理科にも興味を持ってくれたようです。嬉しいですね。
「そうなんだよ。今日紹介する宝石は、世界の色々な場所で発見されたものなんだ。日本だけじゃなく、世界に目を向けるともっと楽しいことが待っているよ。だからもっともっとこれからも勉強していこう」
「わかった~」
「だからもっと宝石見たい!」
「じゃあ次は―――」
こんな風に、和気あいあいと進んだ授業。
楽しい時間はあっという間に過ぎていって、講座の時間は終了です。
講座が終わってみれば…?
実は講座が終わってからも、「もっと宝石について教えて!」と子どもたちからたくさんの質問が飛んできました。まだ幼いと思っていた年齢の子どもたちから、好奇心や熱量を感じて、ちょっと感動してしまいました。
この年代の子どもたちの学習意欲は凄い!
思えば私が子どもの頃、授業は教科書を見ているばかり。何のために勉強しているか、当時の自分はわかっていませんでした。だからこそ、今回の講座を開きたいと思ったんですね。子どもの頃の自分にも教えてあげたい。もちろんできないんですが、「もっと学びたい!」という子どもたちの熱量に触れて、当時の自分の気持ちが救われたようにも思います。
実際に物を触り、またその道のプロが専門知識を教える。
それが子どもたちにとっても「こんな仕事があるんだ」「自分もプロになりたい」「だから勉強しよう」と感じ、将来を考え始めるきっかけになればと思います。
次回の講座開催は?
今年も小学生向け宝石講座を開催する予定です。「この地域で」「このテーマで」などご要望がありましたら、お気軽にnoteかTwitterまでご連絡ください。ちなみに大人向け宝石講座も増やしていきます。
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