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UFOの本がない!

 最近、書店で児童書のコーナーを眺めていて気づいた。なんと、今はUFOや宇宙人のことをテーマにした本がないのである。いや、UFOだけじゃない。妖怪や死後の世界、世界の魔境、UMA、そんな想像の世界をテーマにした本が一切ないのだ。

 じゃあ、今は児童書のコーナーに何が置いてあるのか?まず、一番目についたのは、『ざんねんないきもの』系の本。一見して、おかしな生物のイラストが描いてあるが、あくまで実物する生物を科学的に説明した本だ。生物の進化について楽しく学べるベストセラーな良書である。

 それから、『こども六法』
 なんと、いじめや虐待に備えて、子ども自ら法律の知識を身に着けて対抗しようという趣旨の本だ。内容も、六法を名乗るだけあって、刑法や民法などに分けて解説されていて、本当にためになる。これで論理武装する子どもが本当に出てくるかも!?

 続いて『失敗図鑑 すごい人ほどダメだった!』
 これは、過去の偉人を紹介する本なのだが、彼らがいかにその人生において失敗してきたかに重点が置かれて書かれている。実験で失敗ばかりシていたエジソン、引きこもりだった夏目漱石、人の話を聞かないフロイト。どの程度正しい情報かよくわからない部分もあるが、普段失敗を重ねているような人間も、どこでどう偉くなるかわからないという含蓄に満ちた、子どもに希望を与える素晴らしい本だ。

 そして『10歳の君に贈る、心を強くする26の言葉: 哲学者から学ぶ生きるヒント』
 いや、10歳から心を強くしないと生きていけませんか。何という世知辛い世の中。10歳の子どもが心を強く人生を生きていくために哲学者の言葉を学ぶという、実に勉強になる1冊。どうして勉強しなければならないのか、どうして本を読まなければならないのか、そして心はどこにあるのか。大人だってわからないような問題を次々と子どもに突きつける衝撃の1冊だ。まあ、大人になっても、毎日仕事がいやだいやだとこぼしているような人もいるから、子どものうちから覚悟を決めて生きていくのもいいかもしれない。なんか悟りを開いた若者ばかりになったらどうしよう。

 と、こんな感じで、今の子ども向けの本のコーナーには、総じて「ためになる」本ばかり置いてあるのだ。これは、子どもがそれを求めているんじゃなくて、親が求めているのがこういう本なのだろう。難しい世の中、大人ですら自分の人生がどうあるべきか見えない。その迷いが、子育ての最中に自分の子どもに与える本にも影響を与えているのだろう。

 今の子どもたちの世界には、アダムスキー型円盤も、ネッシーも、イエティもいないのである。

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