坂爪圭吾

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    怒涛に生きると書いてドトール。

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    家なし生活(2年間)の日々をまとめました。

  • その星は肉眼では見えない

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  • 【壇珠×坂爪圭吾】『男と女の往復書簡』

    • 167本

    壇珠×坂爪圭吾

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ホームをレスした話(1)

2014年のバレンタインデーに、私は、ホームをレスした。 当時、私は東京の渋谷界隈で彼女と同棲をしていた。この日、彼女から「話がある」と言われ、私は「バレンタインデーだから、チョコかな?」などと呑気に構えていた。が、彼女の口から出た言葉は「あなたとの未来が見えない。だから、別れたいと思う」という、チョコよりもビターな別れ話だった。小一時間程度の話し合いを経て、私たちは別れることになった。私は、渾身の哀愁を漂わせながら「じゃあ、俺が家を出るよ…(ふっ…)」とワントーン低めのボ

    • 生きててよかったと思わせてくれ。

      ドトール新宿南口店にいたら、埼玉から来た女性H様が「悩み相談を聞いてくれ」と身の上を語った。家族や友達には話せないことを、私にだったら話せると言って話した。好きになった相手がいて、その人は既婚者で、自分も既婚者で、リップサービスに乗せられて好きになってしまったのだけれど、いざ会うと逃げられる。その人のことばかり考えてしまって仕事や家庭にも影響が出てしまっている。H様は、そのようなことを話した。 恋や愛と依存や中毒は違う。多分、あなたはその男に支配されていると思うと言った。人

      • 人間は捨てたもんじゃない。

        地下鉄でiPhoneをなくした。慌てた。安心安全を求めた。駅員さんが優しかった。必死に探してくれた。日本最高と思った。結局見つからなかった。神田駅で女性R様に会った。R様は「いつもありがとうございます」と書かれた封筒をくれた。中には一万円札が入っていた。所持金が一万円になった。漫画喫茶に行き、会う予定のあった人に連絡をしようとしたが無理で、ログインできたSNSから「奇跡的にこれを見ていたら、17時30分にハチ公前に来て!」と投稿した。ハチ公前に行くと、女性N様から「坂爪さんで

        • 幸せになることをやろう。

          新潟の実家に行ったら、玄関の鍵が閉まっていた。チャイムを鳴らしたら、家の中から「けいごか!?」と叫ぶ声が聞こえて、バタバタと足音がした。ガチャと玄関の鍵が空き、扉を開けたらパンツ姿の母がいた。母は「一人きりだから、こんな格好で過ごしていたよ」と笑った。俺はこの母親から生まれたんだなと思った。母親は異様に明るく、この前も趣味のボーリングで190という比較的高スコアを叩き出した。成績表を見せながら「すごいだろ!ダブルだ!ターキーだ!奇跡が起きたんだ!」と言った。 母親に会う前は

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        ホームをレスした話(1)

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          心配よりも信頼をしよう。

          誰かのためとか言い始めたら1アウト。こんなに頑張っているのにとか思ったら2アウト。やりたいからやっていますと言えなくなったら3アウト。チェンジ。生き方を変える合図だ。誰かのためは、簡単に「誰かのせい」になる。よかれと思ってやることで、よくなった試しはない。心配をするのは、相手のためではなく、自分のため。相手を信じていないからだと思う。 神奈川在住の女性R様から「伊東の温泉旅館を取ったのだが、連れがキャンセルになったので空き布団がある。よかったら来ませんか?」と連絡をもらった

          心配よりも信頼をしよう。

          そんなことは気にするな。

          真っ白な高級車に着物姿で女性A様が熱海に来た。最初、夜の帝王が来たのかと思った。時間ができたから、熱海の家でのんびりさせて欲しいとA様は言った。私の正しい使い方である。到着早々、A様は畳の上で横になった。邪魔をしちゃ悪いなと思って、お茶を淹れたり、料理をしたり、掃除をしたり、私は私のことをやった。居間の方から、涙をすする音が聞こえた。A様は泣いていた。涙の理由は聞かなかった。誰だって、人知れず涙を流すこと、自分でも原因のわからない涙があふれてくることがある。 二時間くらい何

          そんなことは気にするな。

          心配は最悪のエネルギー。

          不登校支援をされている方が、不登校のこどもを「学校に来れなくなっちゃったこども」と表現した。その言葉が強く印象に残った。その言葉を聞き続けたこどもたちは、自分はダメな人間、自分はできない人間、自分は可哀想な人間なんだと思うのではないだろうか。事実、不登校支援をされている方は、こどもたちのことが心配だと言った。誤解を恐れずに言うと、心配は最悪のエネルギーだと思う。心配だから何かをやる、こどもたちのために何かをやる、よかれと思って何かをやるのは、よかれと思っている分だけ、根深い、

          心配は最悪のエネルギー。

          感謝をすると奴隷になる。

          会いたいから東京に来いと言われた。金がないから交通費をもらえたら行けると答えた。その人は五千円で足りるかと聞いた。バスと新幹線を使うと八千円かかると答えた。八千円出すから来いと言われた。東京に行き、その人に会った。八千円渡された時に「ありがとうございます」と言ってしまった。違う。ここはありがとうございますじゃない。どういたしましてだ。本来、どういたしましてと言うべき場面で「ありがとうございます」なんて言ってしまうと、自分が狂う。自分がズレる。とても反省した。 感謝をすると奴

          感謝をすると奴隷になる。

          最高以外はもう要らない。

          ほとんどの服とほとんどの本を捨てた。基準は「最高かどうか」で、好きだけど最高だとは思っていないものを全部捨てた。捨てながら自分の思想を知った。私は、どうやら、Tシャツが好きではないみたいだ。他の人が着るのは構わないが、自分が着るのは嫌だ。だが、便利だ。だが、最高ではない。結果、Tシャツを全部捨てた。Tシャツを全部捨てる日が来るとは思ってもいなかったのでドキドキしたが、一気に身軽になった。靴は三足、ジャケットは三着、パンツも靴下もタンクトップも三着、あとはセーターとパーカーが一

          最高以外はもう要らない。

          家族とポジティブに絶縁する。

          母親から不在着信があった。電話が来ることは滅多にない。家族の誰かが倒れたのだろうか。それとも、何か問題が起きたのだろうか。不信に思いながら電話をすると、母親が出た。母親は「お父さんが…」と言った。父が倒れたのだろうか。高齢の父だ。いつ、何があってもおかしくない。母親は続けた。お父さんがね、けいご(私)のアカウントでAmazonプライムを見まくっているんだけど、有料チャンネルに登録しちゃったみたいでお金がかかるのかって慌てているの。だから電話をしたと。私は「そんなことかよ」と思

          家族とポジティブに絶縁する。

          俺に惚れるな。自分に惚れろ。

          ストーカー被害に遭って困っている。なぜ、女をストーカーにさせてしまうのか考えた。おそらく、私が初めてを奪ってしまったからだと思う。ほとんどの女性が肉体的な処女は捨てて来る。だが、精神的には処女だった女性が、私に痛いところを突かれて「こんなのはじめて!」となり、初めての男認定される。誰も見てくれないところを、この人(俺)は見てくれる。誰にも見せていない部分を、この人(俺)にだけは見せることができる。そんな感じで、愛着が行き過ぎてストーカーになっている気がする。 だが、私は私の

          俺に惚れるな。自分に惚れろ。

          俺が来たから大丈夫だ。

          愛知県在住の男性T様が「自分を大事にできていないから、人のことも大事にできていない」と言った。誤解を恐れながら言うと、私は、こう言うことを言う人が好きではない。自分を深掘りした人で、魅力的な人を見たことがない。自分を深掘りする人は、自分に集中し過ぎるあまり、目の前の人間を無視しがち。目の前の人間を道具にしがち。くれくれになりがち。コミュニケーションがテンプレになりがち。嫌われたくないとか言いながら、いい人を演じがち。罪悪感を感じることで、何かをやった気になりがち。罪悪感に逃げ

          俺が来たから大丈夫だ。

          嫌いなもののために死ぬなよ。

          シングルマザーの女性M様から「息子の高校の入学式に来て欲しい」とご連絡をいただいた。学校が苦手な私たち親子に坂爪パワーを分けてくれと。よかろう。私の正しい使い方である。数億年ぶりに学校に行ったら「北朝鮮じゃねえか」と思った。軍だ。軍国だ。監獄だ。刑務所だ。何が憲法九条だ。絶賛戦時中じゃねえか。ロックンロールが大好きなM様は革ジャンで来るだろうと踏み、私は毛皮のコートで行った。他の保護者や教員を「やばい夫婦がいる」と戦慄せしむるのだ。鼻息荒く、のっけから戦闘モードで保護者席とい

          嫌いなもののために死ぬなよ。

          ちゃんと恋愛をしなさい。

          旦那以外の男と付き合ってみたいと話す新潟在住の女性K様にお会いした。学生時代に今の旦那と出会い、そのまま結婚をしたために男性経験がない。旦那は優しい。家族のために仕事も頑張っている。旦那に文句があるわけでも、離婚をしたいわけでもないのだが、このまま枯れて行くのは女としてどうなのかという思いもある。当然、夜の営みはない。そのようなことをK様は話した。話を聞くと、K様には幼少期から死にたい願望が強くあったことが判明した。笑顔で、柔和で、優しい雰囲気のK様だが、無理をしているように

          ちゃんと恋愛をしなさい。

          幸せになら一秒でなれる。

          知らない人に会うことは、知らない国に行くみたいだ。ハワイに呼ばれて、マウイ島に八日間滞在した。事前に決まっていたことは、朝晩三十分の瞑想だけ。それ以外は自由行動で、渡航費と滞在費は全額を出していただいた。ハワイに行く前、有り金をおはなに変えて東京で配った。女性A様から「おはなと旧米ドル紙幣を交換しませんか?」と連絡をいただいた。A様は化学物質過敏症で、なかなか遠出をすることができない。最近の調子はどうですかとお聞きしたら「実は今、人生で一番どん底の時期にいます」と言って、A様

          幸せになら一秒でなれる。

          もう、頑張らなくていい。

          バイク事故に遭って左半身がおかしくなり、歩くこともままならなくなってしまった。幸い命に別状はなく、昨日は喫茶店でお茶も飲めた。左半身を引き摺るように歩くために、速度も出ない。だから、健康な人に道を譲る。階段の上り下りが難しいから、よいしょよいしょと言いながら一歩一歩ゆっくりと上る。優しい人が、時折微笑みかけてくれる。体の自由が効かないことは不便だが、不幸ではないと思った。変な言い方だが、怪我人になったことで「もう、頑張らなくていい」と自分に言うことができたような気がした。もう

          もう、頑張らなくていい。