見出し画像

【1】公務員をやめて、スウェーデンまでサステナビリティを学びにいったのに、 最初の授業が哲学だった話

2017年の夏。
公務員をやめて、スウェーデンの小さな街にいた。
首都ストックホルムから南に約6時間、コペンハーゲンからは東に約3時間の海辺のまち、カールスクローナ。すんごい田舎でもなく、すんごい都会でもない。人口、50000人くらいのまち。穏やかな海に囲まれていて、森と海が徒歩圏内にあった。日本でいったら瀬戸内海のような感じだろうか。

画像3


学校の名前は、ブレーキンゲ工科大学。工科大学の中に、サステナビリティとリーダーシップを学ぶコースが開設されていた。

1990年代、コースの開設者は「ナチュラルステップ」という国際的なNGOとともにサステナビリティの概念を、100数十名の科学者の協力や王室の応援のもと、国中に広めることができた。その後、2000年ごろに、「概念はあっても、その概念を取り扱うリーダーは足りているのだろうか?」という問いのもと、コースが開設された。
U理論を扱うオットー・シャーマーに「こんな学校がアメリカにもあったらよかった。」とベタ褒めされたり、サステナビリティを扱う大学ランキングでも中々のところにいるらしいっていうことはあとから知った。

サステナビリティを扱うってことは、様々な文脈や考え方を扱うことになるので、多様性が大事にされていた。その象徴として、世界27カ国からいろんな人種の50名が集まってきていた。

画像4

スウェーデンの学校が全部かわからないけど、教授みたいな立ち位置の人がいません。(正確にいうと、いたんだけど。これはまた後ほど。)
代わりに、コースディレクターがプログラムを統括していて、ディレクターやスタッフが授業を進めていく。講義自体も、ワークショップスタイルが基本で、参加者が主体的な学びを促されていて、のびのびと学ぶことができる。


オリエンテーションが一通り終わって、さぁ授業!っていうとき、自分の心は、誰も知らないまちで、外国。右も左もわからない状態。友達できるかな〜、とか。英語不安だな〜、とか。サステナビリティとリーダーシップのマスターだから、まずは環境とかの話をするのかな?とかリーダーシップの概論みたいなところからスタートするのかな、どうなるんだい、いろんなことが頭を巡って、緊張や不安もピークに迎えていました。




D(ディレクター):「世界は、デカルトの世界観でうめつくされてしまった。まずはその見方から見直さないといけない。」

え、デカルトですか?

え、え〜と。あの「我思うゆえに、我あり」っていった人?

その世界観を見直すってどういうこと??

と目をパチクリさせました笑
あれ、公務員辞めてきたけど、
あれ、哲学専攻だったけ、
はてな、がたくさん出たんです。

さて、これってどういうことか、最初にわかりやすい構造で説明すると、性善説と性悪説ってあるじゃないですか?
どちらが物事の前提になるかで、変わってくることがありませんか。
例えば、性善説に基づくと、鉄道で改札を設けなくても不正乗車はないっていうふうに考える。(ヨーロッパはこのタイプが多かった。)性悪説だと、改札を設けたりね。

この構造と同じで、デカルトの考え方が前提となって表出してることったくさんあるよね〜っていうことだったんです。サステナビリティとリーダーシップの学問領域は、そこからスタートだったのだ。

あ〜、哲学じゃなくてよかった!んだけど、疑問は残るよね。
(ま、哲学でもよかったんです。たぶん、混沌とした世の中には、何をするかよりも本質を考えるチカラが必要。鍵カッコの声は2021年の声)

サステナビリティと
リーダーシップを
理解する上での前提の前提
「氷山モデル」 by エドガーシャイン

この領域のことについて知りたい人ようにちょっと詳しく書きます。わかりやすい説明がないので順序よく、復習もしながら。

まずはデカルトの考え方が表出するよねっていう構造から。

M I Tのエドガーシャインを一番はじめに聞いたんですが、氷山モデルっていう考え方があります。(多くの人がいっていておおもとがよくわからないっていうことは置いておいて笑 厳密にいうとエドガーシャインの場合は、組織開発の文脈だったかな)

スクリーンショット 2021-06-08 14.31.55

目の前でおこっている事象は、掘り下げていくと人が持っている考え方や価値観、そのもとになっているパターン、パターンを作り出している世界観(見てる世界)が深くにあるんじゃないっていう考え方。

例えば、犬が好きです!って言葉や行動をしている人がいたら、犬は家族だ!とか犬は可愛らしい生き物だ!とかっていう価値観を持っている。その価値観を作ったのは、何回も犬を愛したり、可愛いなって思えるパターンがあった。そのパターンを作っているのは、犬好きの両親が犬を飼っていたとか、近所に犬を可愛がっていた人がいて仲良くしていたとか、犬がいるっていう「世界」があった。状況や環境といってもいいかもしれない。
そんな世界を経験してきて、可愛い!っていう体験を何度も目の当たりにしたら、「犬が好き!」ってなる。

文脈によって、価値観・パターン・世界って別の言葉になったり、上下したり項目が増えたりするけど、大雑把にいうと、見える事象って見えない事象から生まれてるねっていうこと。

この氷山モデルの構造で、今の世界に溢れている事象や課題の根本には、デカルトの考え方が根底にあると、サステナビリティの領域では考える。

スクリーンショット 2021-06-07 15.07.42

じゃぁ、デカルトの考え方ってなんなの?
「還元主義」というアイデア

さかのぼること、、、、、中世
西洋の世界では、なぜ空は青いのだろう?という問いに対して、
回答は、「それは神が作ったからだ!!!!」という考え方だった。

神があったから、世界は作られているという世界観。

そこにデカルト登場。ぱ、ぱ〜ん!!!
「神が思うから、我がある」ではない「我思う、ゆえに我あり。」
世界は神が作ったのではない。理性を重んじ、科学的な考えを重んじよう。さすれば、世界の理が理解できよう。

デカルトはこうもいった「困難は分割して考えよ。」
世の中の仕組みや物質をどんどん分割、分解していけば、理がわかる、と。
この考え方を「還元主義」って呼ぶ。
例えば、生物学では、生命をどんどん分解していって小さなパーツにまで分ければ、それぞれがどんな働き方をしていて、どういった仕組みで動いているかわかるという機械論。還元主義が前提にあるアイデアは世界に様々ある。


Q:んじゃ、なんで還元主義を根本から見直す必要があるっていうの?

A:ちょっと長くなって情報量も多いので、続きは次回!!!



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?