見出し画像

会社の対応に傷つく人~Bさん

Bさん

とても優秀なBさんは、マニュアルをすぐに取り出して正しいご案内をします。お客さまを待たせないようにとマニュアルの整理も欠かしません。
そんなBさんもエスカレーション(上司やクライアントに質問して回答を待つこと)をしなければならないことがあります。
それは、マニュアルに書かれていないことを質問されるからです。

だからBさんは、問い合わせが来ること全てをマニュアルにしてほしいと思っています。
そして、それが叶えられずにいらだち傷つきます。

責任感

Bさんは責任感が強いので、上司からも信頼されています。
そして優秀なので、もっとマニュアルが増えてもすべてを把握して正しいご案内につなげられると思っています。

優秀で責任感の強いBさんにとって「分からない」「答えられない」は苦痛です。人に質問しなければいけないのも屈辱です。

本来であれば自分にはお客さまをお待たせする必要などないのに、マニュアルがなければ答えられるはずないじゃないか、と怒り、マニュアルを用意しない会社が悪いと考えています。
それは、会社がマニュアルを用意できる全能と考えているからです。

時間とお金は有限

1人の人に与えられた時間が1日24時間しかないように、会社が自由にできる時間も、従業員数×8時間しかありません。
そのうちの殆どはすでに使い途が決まっていて、挙がってきた改善案を実行に移す時間は限られています。

コールセンターに入った質問が資料になかったので、他部署なりに確認を取ったうえでお客さまに折り返し電話をかけるという手間は、本来であれば不要だと感じるかもしれません。
しかし、その折り返し対応を1割減らす資料を作成するために、他部署の手間を割くわけにはいかないという判断も決して不合理ではありません。

そもそも、どんな問い合わせが来るのかを正確に予測できるわけではない中でどんな質問にも答えられるような資料を作るとしたら、きっと一人の人間が扱えるキャパシティーをはるかに超えてしまうことでしょう。もし現実にそんなマニュアルがBさんの前に置かれたら、今度は「コールセンター用のマニュアルなんだから実際に来る質問だけに絞るべきだ」と腹を立てるかもしれません。
それも、会社がどんな質問が来るかを知っている全能と考えているからです。

これは、時間だけの話ではありません。
お金も同じです。無尽蔵にあるわけではありません。目の前で動く売上金額に対して、非生産部門の人件費や諸費用などを全て払った後に残る純利益はいったい幾らあるでしょう。

限られた時間とお金を一番大切なことに使わなければいけないのです。
使えるお金の量が個人で扱うものとは桁違いなので、自分の提案を実行に移すための費用なんて、ほんのはした金に感じてしまうかもしれませんが、それこそが会社なら何でもできると考える全能感です。

一番大切なこと、それは後になってみなければ分からない

では何が一番大切なことなのか。
誰しも、自分の目の前にいるお客さまへの改善が一番大切なことに思えることでしょう。
Bさんが「これこそお客さまのため」と感じたことが正しくて、他の改善に時間とお金を使った会社の判断のほうが間違っているという可能性だってあるかもしれませんね。そのときに改善をしていれば防げたクレームが山となって返ってくることだってあります。

後になってから、何が一番大切だったのか、その判断を誤ったと気付いても遅いでしょうか。

いえいえ、その判断をしたのも人間なんですから、間違えたっていいじゃありませんか。
自分が間違えたときに誰かがフォローしてくれたこともあるでしょう。
会社が判断を間違えてクレームの電話が殺到したら、私たちが会社をフォローしてあげる番です。

間違えたことがない人へ

「私は間違えたことがない」という人も中にはいるかもしれません。
でも、本当にそうか、思い返してみてください。

「私が間違えたんじゃない、マニュアルが間違っていたんだ」
「私が間違えたんじゃない、リーダーが私の質問を曲解したんだ」
「私が間違えたんじゃない、客がちゃんと質問をしなかったんだ」

こんな寂しい人になっていませんか。
コールセンターの仕事は一人の力ではできません。
その仕事の結果は、その仕事に関わった人みんなの責任です。

仕事とは、本来、やればやるほど優しくなれるものです。
(人のために困難を乗り越えていくのに成長しない人がいるでしょうか)
まず自分に優しくならなければ、人にも優しくはなれません。
そして、自分の責任から目を逸らすことは、自分からも他人からも、自身を疎外することです。そんなことをしていたら、どんどん心に壁ができてしまいます。

本当の意味で、自分に優しくしてください。
それは、自分の限界を受け入れること。そして自分の可能性を信じ続けること。

そして、ひとの限界を受け入れ、ひとの可能性を信じ続けられる人になってください。

それでは、また。

電話窓口の運営・管理でのお困りごとがあれば、一度、ご相談ください。
下記からのお申し込みで、ささやかですが500円OFFになります。

プラチナ先生 遠入のどか


世界や自分自身をどのような言葉で認識するかで生き方が変わるなら、敬意を込めた敬語をお互いに使えば働きやすい職場ぐらい簡単にできるんじゃないか。そんな夢を追いかけています。