そもそも、サステイナブルってなんでしたっけ? 20220221解説
SDGsのSは、Sustainable。持続可能と訳されています。
では、持続可能ってどういうこと?
というと、そこはスルーされているのがマスコミやネットで見かけるSDGs「ネタ」のように思います。
そんなSDGs「ネタ」に対して、なんかおかしいよ、そんなのおかしいよ、という言説も増えていますが、そう批判・否定する側も、持続可能ってどういうこと?をスルーしているように思います。
辞書を調べてみると
そもそも、サステイナブルという言葉自体、なんとなくよさげな、明るい未来につながりそうな意味合い一辺倒で使われているようですが、語義をみると、必ずしもそうでもありません。
サステイナブルは形容詞、その元は動詞のsustainです。
sustainの語義、オックスフォード・ディクショナリーの1番目は、こんな感じ(和訳は、こんな「感じ」ということでご容赦ください)。
2番目は、こんな感じ。
3番目は、こんな感じ。どっちかというと、よくない感じです。
ちなみに、1番目の語義の太字にしたところ:to continue to live or existは、survive(生き残る)の語義の1番目とまったく同じです。
surviveを名詞にしたsurvivalはこう。
以上からすると、サステイナブル(サステインできる)は、サバイバル(生き残り)の必要条件だ、と理解するのが妥当ではないでしょうか?
なお、私がサスイテイナブルと出会った1990年当時、サステイナブルの訳語として、持続可能のほかに、永続可能や維持可能という訳語も見られました。
永続可能はさすがに言い過ぎで、維持可能というのが適訳だったように思います。
環境問題の分野で使われるようになったのは・・・
サステイナブル(持続可能)が、環境問題の分野で使われるようになったのは1969年のことで、sustainabilityは1972年の人間環境会議(ストックホルム会議)の主題であったと、IUCNの報告書に記されています。
https://portals.iucn.org/library/sites/library/files/documents/Rep-2006-002.pdf
上記の報告書の表紙に、宇宙に浮かぶ青い地球が使われていますが、ストックホルム会議のキャッチフレーズは"Only One Earth"でした。
これ、日本語では「かけがえのない地球」と、だいぶ意訳されて定着していますが、ストレートに、「地球は、1個しかありません」とした方が、本来の問題意識が明確に伝わるでしょう。
先に引用したsustainの語義の1番目の、somebody/somethingのところを、human beingとすると、どうなるでしょうか?
"Only One Earth"は、地球に2個目はないし、地球のおかわりはできないよ、その1個しかない地球をこんなに痛めつけて、人間はどうしたら生きていけるの?という問いかけだったわけです。
そして、その問いに対する答え、これなら生きていけるんじゃないか、がsustainabilityだったわけです。
sustainableを名詞にしたsustainabilityの語義の1番目は、こうなっています。
そして、より一般的な意味が2番目に来ています。
ストックホルム+50
さて、その後。
ストックホルム会議から15年経った1987年に、国連ブルントラント委員会で、Sustainable Development(SD)=「持続可能な開発」の定義が確立されました。
それからさらに28年経った2015年に、国連総会で2030アジェンダが採択され、SDにGsがくっついて、SDGsができました。
さらにさらに7年経った今年2022年。
15年+28年+7年=50年です。
というわけで、ストックホルム+50という国際会議が開かれます。
そう、1972年人間環境会議から50周年、再びストックホルムで環境について話し合う会議が開催されます。そのHP冒頭にはこう書かれています。
「地球は、1個しかありません」
この問題意識は、50年前から、変わっていないのです。
また、ことの来歴からして、サステイナブルという言葉と、環境は切っても切れないのです。
ときどき、これからはSDGsの時代だから、環境は古い、やらなくてもいいんだ、という意見に出会うことがありますが、、、SDGsのSの字の由来、知ってほしいと思います。