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I-REC 再エネ属性証明 20230131解説(になってるかな?)

「ないぞ知名度」のCMで名前だけ知っていたSCSKさんとご縁があって、新しく始まるI-RECという再エネ属性証明の話を聞きました。講演者も、質問者も、専門性がかなり高い話の応酬でしたが、私なりに理解できたところをなるべくかみ砕いてお伝えしたと思います。

電気には属性があり、それを証明する仕組み

I-RECとは、世界約50ヵ国(アジア、南米、アフリカ等)で発行される国際的な再エネ属性証書のことで、I:Internastional、REC:Renewable Energy Certificate。
要するに、1MWh(1000kWh)単位で、電気の属性を売ったり・買ったりすることの信頼性を確保する仕組みのことです。
要するに、と言われても、「電気の属性を売ったり・買ったりする」ってこと自体、???ですね。

どうやら、

電気の属性=エネルギー価値+環境価値+産地価値+特定電源価値

に分解されるらしいのです。

エネルギー価値

これは、電力はエネルギーですよね、ということです。
お湯をわかしたり、クーラーを動かしたり、照明をつけたり。通常我々は、電気のエネルギー価値を、1kWhいくら、で買っています。
これだけなら難しくない話です。

環境価値

エネルギー価値の観点でみると、どのように発電しても1kWhは1kWhで、違いはありませんが、環境への影響は異なります。

  • 石炭火力はCO2排出原単位が大きいので、やめろやめろと言われている。

  • 天然ガスも化石燃料ですが、石炭よりはCO2排出原単位が小さい。

  • 水力や太陽光や風力は、化石燃料は使わず、自然エネルギーを利用した発電方法で、再生可能エネルギーといわれ、CO2排出原単位はゼロ。

  • 原子力も化石燃料は使わないので発電時のCO2排出原単位はゼロだが、使用済み燃料の問題や事故時の被害が他の発電方式に比べてけた違いに大きいという問題を抱えている。

という具合に、発電方法によって環境価値は違うわけです。

で、うちが使っている電気は、「再生可能エネルギーで発電した電気(再エネ電力)」だよ、と言うには根拠が必要で、その根拠を与えるのが再エネ属性証書。で、その証書を発行する(世界では普及してはいるが、日本では今年からようやく始まる)仕組みがI-REC。

ちなみに、証書には、グリーン電力証書とか、非化石証書とかあるし、環境価値を主張するエビデンスはほかにもいろいろあるのですが、どんどん難しい話になるので、ここでは割愛(というか、説明しきれない)。
再エネ電力契約は、「エネルギー価値+環境価値」がくっついた形で売買されていることになります。

産地価値

これはその名の通り、どこで発電したかを示すもの。大間のマグロ、三崎のマグロ、地中海産のマグロ、、、産地が違えば価値が違うという話。
ただ、エネルギーの地産地消、って言われたりしますが、電線を通じてやってきて、今使っている電気は、実際のところ、どこで発電されたのかわかりません。
しかし、それが、うちが使っている電気は、「○○県で発電した電気」だよ、と言える。これも、IRECの証書で証明できる。

特定電源価値

再エネ電力といっても、先述したように、水力、太陽光、風力など、発電方法はいろいろあります。繰り返しになるようですが、今使っている電気は、実際のところ、どの方式で発電されたのかわかりません。
しかし、それが、うちが使っている電気は、「○○発電で発電した電気」だよ、と言える。これも、IRECの証書で証明できる。

ウォッシュじゃないですよ、と言える

で、それがどうしたの、ってことですが、脱炭素、あるいは、カーボンニュートラルの目標を達成するのに、再エネ電力を使う場合に、言ってるだけでなくて、ちゃんと再エネですよ、これだけ使ってますよ、と、第3者が認証されたデータを提供できる、というところに意味があります。

IRECの証書では、うちが使ったこの1MWhの電気は、「○○県の○○発電所で、○○発電で、いついつ発電された1MWh」だよ、というレベルで証明ができるという点で、いま、日本で使われている他の証書に比べて証明力が高いわけです。

つまり、グリーンウォッシュとか、SDGsウォッシュとかではないですよ、と言える強力な後ろ盾になるわけです。

値段は?

この後ろ盾、ただでは手に入れられないわけですが、数百円/MWh(0.00x円/kWh)で始まるようです。

けっこう、リーズナブルと思いますが、何と言っても、発電事業者側が、I-RECに乗ってくれないことには、需要者側は、買いたくても買えません。
こういう場合、市場原理では、価格は上がりますね。一方、買い手がいない市場には売り手は寄り付きませんね。

発電事業者側は、IRECで売る電力は他では売れないし、他で売る電力はIRECでは売れないので、どちらにするか、択一です。二股掛けはできません。

いつから始まるの?

今日から「発行申請」の受付が始まるということで、まずは発電事業者側から。需要家側が買えるようになるのは3月ごろからの見込。

で、再掲しますが、詳しい話は、こちらでご覧になってください。この記事を読んでからだと、少し、理解しやすくなるかも!今日開催されたウェビナーの録画も、公開されるようです。

そうそう、冒頭で触れたSCSKは、この話とどう関係するのかというと、証書を売り買いするプラットフォーム(まあ、WEB上の市場みたいなものですね)の運営主体になる、ということでした。

この記事を書いた人

サステイナブル歴30+2年の「眼」

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