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燕三条オープンファクトリー訪問記 20240524-0525


5/24金・25土、地元の昭和信用金庫の「しょうわビジネスクラブ」主催の視察で、新潟県の燕三条を中心とする中越エリアに行ってきました。とくに記事にする予定もなかったので、メモもとらずちゃんと写真を撮っていなかったところも多いのですが、とても学びが多かったので、私にとってのニュースということで、ときどき解説の1記事として記憶を記録に残しておこうと思いました。

5/24金の視察先

朝8時24分東京駅発の上越新幹線で、10時過ぎには燕三条駅に到着。東京からだと、名古屋と同じくらいの感じですね。隣り合わせた初対面の方とあれこれ話している間に、着いてしまいました。

燕三条駅改札内の巨大ハサミがお出迎え

巨大ハサミ(実はナイフ&フォーク)の横、スワローズのつば九郎は、燕市PR隊鳥(長)だそうです。

燕三条地場産業振興センター物産館

最初の訪問先は、燕三条地場産業振興センター物産館。燕三条駅からバスに乗りましたが、、、数分で到着、駅近の立地で、道の駅にもなっています。三条信用金庫の皆さんに迎えていただいて、中に入ってみると、、、燕三条の特産品である「洋食器・刃物」がずらーーーっと並んでいました。これがうわさに聞く燕三条か、という感じですが、あまりに品ぞろえが多くて、一通り見るだけでも結構な時間を要しました。後で調べて、この「地産センター」の重要な役割を知ることになりますが、それはまた後で。

ここでは、コーヒー1杯用のドリップポットを購入しました。実際に使ってみると、湯の出口が超細口なので、思いのほか、お湯が出ない!ので、じっくり抽出され、じゃばじゃばお湯を注いでいた今までとは、同じ豆でも味わい・香りが変わりました。

スノーピークのFIELD SUITE SPA HEADQUARTERS

バスに乗って丘を登っていくと、広々とした草地のキャンプ場、その一角にスノーピーク社の本社がありました。なだらかに波打つ丘陵地を背景に、コンクリート打ちっぱなしの直線・四角の建物は、くっきり輪郭が際立ち、その前にたたずむ4頭のトナカイ(のはく製)が目を引きます。

それを横目に見ながら通り過ぎて、昼食をいただいたのがレストラン雪峯。写真を撮りませんでしたが、、、地元、下田(しただ)のお米や野菜を中心にしたメニューを美味しくいただきました。

食後、キャンプ場で一休み。「自然界隈」な感じで。ちなみに紙袋の中身は、昼食で食べた下田産のコシヒカリをお土産に買ったものです。

お箸のマルナオ

ここからが視察の本番。最初にお邪魔したのはお箸のマルナオ株式会社。黒檀や紫檀を基本材料とする高級箸を生産・販売しています。ルーツは大工道具の墨坪車だったとのこと。1cm角くらいの細長い棒材を、手作業で削って、磨いて、美しい箸に仕立てていく工程を見学させていただきました。

お求めの方は、、、こちらからどうぞ!

爪切りのスワダ

続いての訪問先は、爪切りの株式会社諏訪田製作所。釘の頭を切るための「喰切」(くいきり)と呼ばれる道具づくりがルーツとのこと。今でいうところのニッパーのご先祖。エントランスに、いかにもアメ車な感じのキャデラックが展示されていましたが、これはジャイアント馬場さんの愛車だそうです。ハワイナンバーがついています。馬場さんは三条市ご出身ということで、縁あってここに展示されていますが、7月までだとか。

ちなみに車の横に、ベルトも展示されていますよ。上のベルトには、世界ヘビー級チャンピオンと書いてあります。下のベルトには、世界ヘビー級チャンピオン・ジャイアントベルトと書いてあります。私には価値がわかりませんが、見る人が見たら、「こんなところに、これが!」となるのでは?ファンの方は急いで!

さて、肝心の工場ですが、建屋の外観も内装も、スタッフさんのユニフォームも機械も、すべて黒一色で統一されています。マットな感じがまた、渋い。尋ねてみると、1つには、英語で鍛冶屋はブラックスミスというので、そのブラックから、もう1つは、研削・研磨する際に飛び散る火花がよく見えるように、黒で統一することにしたそうです。かっこいいんですね、これが。

さて、中学生のときから40年来、足の親指の巻き爪に悩まされてきた私としては、足専用の爪切りがお目当てでした。昭和信用金庫のご担当のIさんから事前に、「ここの爪切り、おすすめですよ!」と聞かされていました。刃先が曲線ではなく直線なのが特徴です。百聞は一見に如かず、といいますが、見てもわからないので、ショップで試し切りさせてもらったところ、通常の爪切りのパチン・パチンではなく、ブツ・ブツといった感じで、狙った通りに整えられました。はい、即購入!でした。

なお、工場内には、いろいろなオブジェがあり、そのパーツがみな同じ、不思議な形をした細長いリング状の金属でした。実はこれ、材料を鍛造して、製品にする良質な部分を打ち抜いた後の端材(といっても、端材のほうが量が多い)でした。ライオンと盆栽をご紹介しておきますね。

泊りは弥彦温泉みのや

さて、オープンファクトリーをいくつか見させていただいて、うーむ、何やら統一的な意思というか戦略を感じるぞ、と思いつつ、その日の泊りは弥彦温泉みのやさん。温泉に入って、夜の宴、そして「夜間特殊訓練」、、、詳しくは書けません。

5/25土の視察先

弥彦神社

翌朝、朝食を終えて、宿から徒歩1分の弥彦神社にお参りに。越後一宮ということで、由緒ある神社です。日本各地の鶏が品種保護のために境内で飼われていました。

その鶏舎の前にたたずむ鹿2頭(これも飼われている。シンクロしていたのでパチリ。

拝殿に入る門の前にいる狛犬。阿吽の阿の方が、ゴジラっぽい感じがしますが、どうでしょう?

寺泊の魚の市場通り

2日目最初の視察先は、寺泊の魚の市場通り。さまざまな海産物が並んでいましたが、ちょっと、、、前日の「夜間特殊訓練」の影響が残っていたので、私は見学のみ。ここに向かう道が川沿いでしたが、実はそれが、信濃川の大河津分水路だ、とバスガイドさんからの説明がありました。この分水路による治水がなければ今日の新潟はなかったとのこと。2022年で通水100周年だったそうです。なんとなく通りがかっただけなら、わからない話でした。関東でいえば、利根川の付け替えのような大工事ですね。

いかにも米どころの、田植えを終えたばかりの水田が見渡す限り広がっていましたが、それは先人の努力のおかげなんですね。これぞサステイナブル・デザインです(はい、我田引水です)。

包丁の藤次郎

土曜ということで、機械を使ったラインの方はお休みでしたが、手作業の見学はできました。包丁の作り方には何通りあると思いますか?という問いからはじまった見学ですが、そう聞くからにはたくさんあるんだろう、100種類とかだったりして?と思っていたら・・・その答えはなんと、「2種類」。「打つ」か、「抜く」かで、「打つ」のが得意なのが三条、「抜く」のが得意なのが燕、藤次郎は「抜く」の方です、ということでした。

オールステンレスの、継ぎ目のない包丁がかっこいい感じ(いちばんの売れ筋がこちら↓)でした。今度包丁を買うときは、有力候補です。

TSUBAMESANJO BIT燕三条本店

燕三条最後の食事は、初日の地産センターに戻って、TSUBAMESANJO BIT燕三条本店にて。1日前にここで食事をしたとしても、普通においしいね、というだけだったかもしれませんが、いろいろ勉強させていただいたので、箸を見れば、ムム、これはマルナオか?照明の装飾を見れば、ヤヤ、あれはスワダの端材に違いない、などと、ちょっと見え方が変わったのでした。この後、ワイナリーに向かうので、ワインをたしなむ「練習」をしました。

カーブドッチワイナリー

新潟にワイナリーがあるとは、正直知りませんでした。しかも、1992年から、というからもう30年以上です。ぶどう畑は、花の季節が終わり、目を使づけてみると超小粒のミニチュアぶどうが!これが秋には隆々と立派なぶどうに育ち、ワインに生まれ変わっていくんですね。

で、バスを降りて建物に接近していくと、こんな案内が。いや、5mならもう看板いらないわけですし、後ろにはドアもあって、間違いようがないですけどね。

この一帯は砂地ということで、ぶどうの生育に適した土地柄だそうです。ぶどう畑とワイナリーだけでなく、宿泊施設も温浴施設もカフェもショップもレストランもあり、一帯が一種のテーマパークのような感じでした。米どころ新潟にあって、ここだけヨーロッパな雰囲気。

ここでは、昨年産の赤ワインを購入。これはオンラインショップでも購入できます。

そして、オンラインショップにはありませんが、もう1本、「アルバリーニョ」という初めて聞く品種の白ワイン、2022年産。なんでも、スペインの街のバルで出会った、砂地に適した品種なんだそうで、自社農園で栽培に成功してこうして製品化されています。ストーリーにひかれて購入しました。何かの記念の時に開けようと思っていますが、楽しみです。

2021年産はSOLDOUTですが、「アルバリーニョ」についての説明書きがありますので、ご興味のある方は読んでみてください。

というわけで、1泊2日の視察はこれにて終了。燕三条駅に舞い戻り、新幹線で帰路につきました。

燕三条の地域ブランディングについて

さて、ここからは逆反転学習(つまり、事前学習なしの復習)。そもそも、燕と三条は別の市。燕三条とセットで呼ばれるようになったのは、1982年に開業した上越新幹線の駅名からのようです。ちなみに、北陸自動車道のインターチェンジ名は三条燕です(新幹線の4年前)。三井住友/SMBCみたいな感じですかね(漢字では三井が先、横文字では住友が先)。バランスは大事です。

金属加工のルーツ

どちらも金属加工が盛んなことで有名です。ルーツは江戸時代の「和釘」づくりだったようですが、そこから燕市の方は洋食器へ、三条市の方は鍛冶の技術を生かした打刃物へと、違う方向性で発展してきたようです。

オープンファクトリー

今回はいずれもオープンファクトリーを見学させていただいたわけですが、路傍の看板とか、見学を前提とした建物の設計とか、どうも、たまたまそんなことをやっている工場が燕三条には多くてね、という域を超えた、「何か」統一的な意図や戦略を感じる、という話は前の方でも書きました。調べてみると、燕市も、三条市も、そして新潟県も、オープンファクトリー「推し」なわけです。

そして、最初に訪ねた燕三条地場産業振興センターには「燕三条ブランド推進部」があった!・・・いやいや、これは行く前に知っているべきでしたね。。。

燕三条プライドプロジェクト

さて、もうちょっと詳しいことがわからないかと、同行していただいた昭和信金のMさんにお尋ねしたところ、下記の情報を教えていただきました。

平成21年4月に財団法人新潟県県央地域地場産業振興センター(平成22年4月に現在の公益財団法人燕三条地場産業振興センターに改称)内に燕三条ブランド推進室が設置され、同年8月に燕三条プライドプロジェクトプロスペクト(将来ビジョン)が策定され、明確なミッションステートメント、コンセプトが定められました。

このプロジェクトの名称が、ブランドでなく「プライド」なわけですが、これこそ、行く先々で感じた「何か」だったんですね。そう、工場でも、レストランでも、ショップでも、説明してくださる皆さんの立ち居振る舞いから、静かだけれど確固たる「プライド」がにじみ出ていたように思うのです(完全に後付けですが)。「燕三条プライドプロジェクトプロスペクト(将来ビジョン)」そのものは、こちらをご参照ください。

https://www.tsjiba.or.jp/wp-content/uploads/2015/04/ALL-PRIDE-PROSPECT.pdf

で、この資料の日付をみると、2009年8月10日とあります。15年前ですね。この頃に何があった方といえば、、、アレです、アレ。

あ、阪神優勝ではないですよ。リーマンショックですね。下記新潟県の資料をみると、平成年間で、実質経済成長率が連続でマイナス4%超だった2008・09年(平成20・21年)こそ、もっとも景気が悪かった2年でした。

https://www.pref.niigata.lg.jp/uploaded/life/368315_693831_misc.pdf

この、「底」の時期に「プライド」を打ち出した地域ブランディングに取り組み始めた成果を、今回の視察では実感・体験させていただいたわけです。

まとめると

「美しく・かっこいい・たたずまい」

この視察の印象を総括的に、端的に表現すると、「美しく・かっこいい・たたずまい」の3点です。製品や施設だけでなく、人、さらにそれらが地域に収まっているさまから、そのように感じました。そしてこれは、燕三条の地域ブランディングについて調べる前に抱いた印象を言語化したものです。というより、そのような印象を抱いたのが、ちゃんと調べてみようと思う動機づけとなりました。その背景には「プライド」プロジェクトがあったことがわかりました。

Where there's a will, there's a way.

つまりそれが、燕三条wayなんですね。

御礼

今回企画をしていただいた昭和信用金庫さま、行程をともにしたしょうわビジネスクラブの皆様、受け入れ準備をしていただいた三条信用金庫さま、視察先各所のみなさま、宿泊先のみのやさん、バスの中越交通さん、添乗していただいた近畿日本ツーリストさん、にわか学習の報告にもかからず最後まで読んでいただたい皆さん、ありがとうございました!

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  • 2回目:知識の定着度を確認するために、問題を解いてみる。そのときに、1回目の思考のプロセスを思い出す。

  • 3回目~:実際に銀行業務検定試験を受ける方は、全問正解になるまで繰り返す。