サステイナビリティ半世紀の成果と可能性をどうみるか? 20230622解説
「1個しかない地球」における人口と経済の「成長の限界」を認識して、サステイナビリティの議論が始まったのは、およそ半世紀前。この間、どれだけの成果があったのでしょうか?なかったのでしょうか?
事実(データ)
まずは1970年から2021年の51年間の、①世界人口、②世界経済、③1人当たり(②÷①)、④地球への負荷総量の変化をデータでみてみましょう。
世界人口
世界経済
実質GDP(2015年価格、米ドル)
※ちなみに名目GDPだと約3.4兆ドルから約96.7兆ドルへ、28.3倍。ついでながら、調べ方は→https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/sna.pdf。
1人当たり実質GDP
世界平均の1人当たり実質GDP(2015年価格、米ドル)
地球への負荷総量
世界平均のエコロジカルフットプリント(地球何個分)
つまり、51年で・・・
成果はあったが、十分ではない
人類が地球に与える資源エネルギー利用及び廃棄汚染に伴う環境負荷(以下、負荷総量とする)は1.7倍に増えたが、人口の伸び(2.15倍)に比べれば、ある程度抑えられてきた(0.79倍)と評価できるし、GDPの伸び(4.79倍)に比べれば大幅に抑制できた(0.35倍)と評価できる。
でも本来は、人口が2.15倍になっても負荷総量を地球1.00個分にとどめるとするなら、1人当たりの負荷は1.00÷2.15=0.47倍未満に抑える必要があったが、現実には0.79倍にまでしか抑えられなかった。同様にGDPが4.79倍になっても負荷総量を地球1.00個分にとどめるとするなら、GDP当たりの負荷は1.00÷4.79=0.21倍未満に抑える必要があったが、現実には0.35倍にまでしか抑えられなかった。
したがって、人類は毎年、おおむね8月以降は将来世代からの「前借り」で暮らしている状況。
ここにSDGsの存在理由がある、と私は考えています。
さて問題は、将来に向かって、負荷総量を地球1.00個分以下にできると考えるのか?できないと考えるのか?
(地球への負荷総量1.00個分で、サステイナブルと言えるかというのは別問題ですが)
議論
最近、対照的な2つの記事がありました。
斎藤幸平「資本主義とテクノロジーが、気候変動の危機を解決すると考えるのは非現実的」
渋澤健氏が語る「新しい資本主義」 「外部不経済」どう取り込むか
資本主義は何をどうやっても所詮資本主義で、その枠内ではこれまでも・これからもどうにもならないと考えるのか、それとも新しい資本主義といった形で、資本主義の枠内にありながら過去できなかったことをできるようになるのか。
ポーカーにたとえるなら、前者は「手札全とっかえ」、さらにいえばポーカーというゲーム自体をやめるのか、後者は「なるべくよい手役をつくる努力をする」ことでポーカーというゲームに勝とうとするのか。
あなたはどっち派?私は・・・
過去51年の結果は、事実(データ)のところでみたように、0(まるで成果なし)でも100(カンペキ)でもなく、その間でした。世の中、だいたいそうです。
できなかった部分に目を向けるのか?できた部分に目を向けるのか?によって、未来に対しての取り組み方は変わってくるでしょう。
皆さんは、どっちの考え方をとりますか?
私は、、、過去を全否定するよりも、可能性を見出して伸ばしていく方がよいだろう、と考えています。
コメンテーター紹介
サステイナブル歴30+3年の「眼」
設立20周年SDGs研修特別キャンペーン
SDGs/ESGに関連するキーワードを勉強するならこの本で
増補改訂作業に入りましたので、一時的に販売停止しています。
1回目:キーワード解説集として読む。基本的に、1キーワード3論点でまとめてあります。問題は解かずに、解説を読んで内容を理解する。それから、「どこを問題にしたのかな?」と問題文の選択肢と、解説文を見比べる。そして、不正解肢はどれで、解説文のどこをどう変えたかを確認する。
2回目:知識の定着度を確認するために、問題を解いてみる。そのときに、1回目の思考のプロセスを思い出す。
3回目~:実際に銀行業務検定試験を受ける方は、全問正解になるまで繰り返す。