見出し画像

COP26の”COP”ってなに? 20211101解説

2021年10月31日からはじまった”COP26”(コップ26)。しばらく、ニュースなどで見聞きする機会が多いでしょう。では”COP”って、何なんでしょう?

○○条約の締約国会議

COPとはConference of Partiesの略です。
Conferenceは会議のことですね。Partiesというのは、この場合は「条約に参加している国々」ということで、「締約国」です。
で、今話題のCOP26は、「気候変動枠組条約の26回目の締約国会議」ということですが、気候変動枠組条約だけに締約国会議(COP)があるわけではありません。
ただ、日常の一般向けニュースで見聞きするのは、ほとんど、「気候変動枠組条約の締約国会議」=COPです。

COP3@京都


COPという3文字言葉が有名になったのは、1997年のこと。京都で開催されたCOP3のときです。
このとき、「京都議定書」という合意文書が成立し、それにもとづいて、初めて先進国のCO2削減目標が設定されました。排出権取引の制度ができたりして、それで今、CO2のオフセットができています。

ただ、8%削減目標のEUは、「EUバブル」と称してたくさんの国で1つの目標を設定していいことにしました。ベルリンの壁崩壊で、西側諸国が経済的に立ち遅れた東欧諸国に投資すれば、エネルギー効率が改善し産業も発展する、いいとこどりです。

7%削減目標のアメリカは、民主党のゴア副大統領がさんざんいいこと言っていたわけですが、共和党のブッシュ政権が議定書から離脱したので、この目標は、なかったことになってしまいました(その離脱を決議する上院の議長がゴアでした、「不都合な真実」にも描かれています)。

そして開催国の日本は、1990年比プラスマイナスゼロが限度ですよ、70年代・80年代にさんざん省エネして、もう雑巾絞っても1滴も出ませんわ、のスタンスで臨んだわけですが、、、結局は6%の削減目標をのまされてしまいました。それで、環境省のチームマイナス6%キャンペーン、とか始まったわけです。

当時世界最大のCO2排出国アメリカと、それを抜く勢いだった中国が参加しない京都議定書は、何とか発効したものの、実効性がないよね、ということでだんだん評判が悪くなり、期限も来たので「はい、やり直し、仕切り直し」でできたのが2015年のパリ協定、というわけです。

2度から1.5度へ

このパリ協定では、IPCCの当時最新の第5次評価報告書の科学的知見にもとづいて、産業革命前からの気温上昇を2度以内に抑えることをコンセンサスとし、できれば、がんばって1.5度以内にしたいよね、だから先進国だけでなく途上国も削減目標立てて、報告してね、という仕組みになりました。

しかし、それから5年がたって、最初の各国の報告を並べてみたら、、、ぜんっぜん、削減目標が低いということがわかりました。
一方、2021年の夏にIPCCの第6次評価報告書が出て、2度では足りなくて、1.5度は「マスト」だよね、が、コンセンサスになってきているのです。

ちなみに、日本ではいまだに「温暖化防止」と言っていますが、もはや「防止」はできなくて、どこまで「緩和」できるか、緩和できなければどう「適応」するかが論点です。そこでギリギリのラインが1.5度だろうということです。

綱引きの行方は?

さて、今回のCOP26では、COP3のときと同じように、

「もう、これ以上減らせないよ、精一杯!」チーム
vs
「もっと、減らさなきゃ、やばいんだよ!」チーム

の綱引きです。一番の焦点が、「石炭火力発電所」をなくすのか、使い続けるのか。

日本は、先日出したばかりのエネルギー基本計画で、2030年の電源構成で石炭火力19%を想定していたわけですから、「石炭火力発電所を使い続ける」スタンス。またもや!「もう、これ以上減らせないよ、精一杯!」チームのメンバーになってしまいました。

半世紀前には省エネと公害対策の先頭を走っていたはずなのに、この四半世紀で、完全に周回遅れ、「抵抗勢力」です。失われたというより、損なわれた25年です。太陽光も風力も競争力なし、大逆転するには、水素・アンモニアに賭けるしかないのかなぁ。。。

一方、「もっと、減らさなきゃ、やばいんだよ!」チームの旗振りをしているのがCOP26の開催国イギリスで、2030年までに先進国で、2040年までに途上国でも、石炭火力発電所全廃を掲げています。

これから2週間、「COPの中の争い」、注目です。

サステイナブル歴30年の「眼」で書いてます(著者プロフィール)




この記事が参加している募集