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広報が担うべき「正直」と「誠実」、それぞれの違いとは?

「正直」と「誠実」。その違いを私はこんなふうに整理しています。

「正直」は行動に言葉を合わせること。「誠実」は言葉に行動を合わせること。私の定義する広報の役割はまさにここにあります。広報とは経営の「正直」と「誠実」をバックアップする仕事であると言えます。

少し詳しく説明しましょう。

「正直」は行動に言葉を合わせること

「正直」である、ということは、広報の仕事ではファクトに基づいて首尾一貫した姿勢でアウトプットすることを指しますね。ウソを言ったらアウトであるのは言うに及ばず、基本中の基本でしょう。

ただし、それだけなら広報は要りません。大事なのは、それを分かりやすくアトラクティブなストーリーに乗せられるかどうかです。ニュースの発信についてもストーリーが必要で、それを常にやり続けることで、顧客や株主など、メッセージの受け手は、その企業に対する理解の窓を開きます

「誠実」は言葉に行動を合わせること

一方、「誠実」である、ということは二段構えです。

まずは「私たちはこうやります」と表明すること。これは、企業理念だったりビジョンだったり経営方針だったり、あるいは中期経営計画だったり、表現する手法や機会はさまざまです。

毎期の業績予想もしかり、あるいはコーポレートガバナンス・コードもしかり。これらにも、「正直」と同様にストーリーが必要です。

そして二段目は「言ったことと行動との整合をとる」こと。宣言してそれを行動(商品やサービスなど事業活動)で実際に表現していくことは、ブランディングの基本です。また、客観的目線で自社の活動を見ることは、自己統制にもつながります。

「正直」であること、「誠実」であること

「正直」にも「誠実」にも必要とされるストーリー、それをつくることが、つまるところ広報のもっとも大切な仕事ということになります。そこで、どうしても押さえておかなければならないのが、そのストーリーの核にあるのは経営者の想いだ、ということ。これが私の首尾一貫した主張です。

広報は透明性とガバナンスを担保する機能

このように考えていくと、「正直」とは透明性であり、「誠実」とはガバナンスであることに気付きます。ウソを言わないことがすなわち透明性ということであり、言ったことと行動との整合をとるのがすなわちガバナンス=統制を意味すると考えています。

つまり、広報の本質とは透明性とガバナンスを担保することといえます。そして、この両者を経営者の想いを核にした魅力のあるストーリーに乗せて世の中に伝えることが経営広報だと思うのです。


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