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経営広報は、経営者が発する言葉に向き合う時、「黙って聴く」ことも必要

「広報が発信するメッセージの“核”には、経営者の想いや覚悟が据えられているべき。それがないと、メッセージはブレるし、結果として伝わらない。だからその想いや覚悟を、広報は必死につかまえようとするし、経営者と一緒になって創ろうともする」。

そのためにどんな行動を取ったら良いのか、それを7つの手順と35のベスト・プラクティスとして体系化しました。その全体像は、【経営広報の秘訣】の前回でご紹介した通りです。

軽くおさらいすると、まず経営広報 7つの手順とは、
 手順1 経営者に寄り添う
 手順2 経営者の意思をつかむ
 手順3 言語化する
 手順4 経営者の覚悟を引き出す
 手順5 首尾一貫したストーリーに仕上げる
 手順6 必要な各機能に接続する
 手順7 アウトプットの全体統制を図る
でした。

経営者に寄り添うとは、どういうことか

さっそく、「経営者に寄り添う」とは何ごと? と思われる向きもあるかもしれません。そうです。経営者と広報は、当たり前ですが組織上は上下の関係です。下位者が上位者に“寄り添う”とは、何とも不自然…。

しかし両者の間には、そういう一般的な理解とはまた異なる間合いが生まれるような気がしています。

経営者、すなわち唯一無二の孤高の人に対し、畏敬の念を抱きつつも、その言葉を聴き、姿勢を感じ取ろうとする経営広報の立ち位置。組織の上下関係などとうに超越し、人間として、個対個として、全身全霊で向き合う感覚。

僭越かもしれませんが、私はその気概が第一歩だと思ってやっています。

そして「経営者に寄り添う」を行動レベルで具現化するためのベスト・プラクティス①は、「黙って聴く…経営者は自身と対話している」です。

ベスト・プラクティス①
「黙って聴く…経営者は自身と対話している」

黙って聴く…経営者は自身と対話している

広報の仕事をしていると、日常の一瞬の隙間時間に経営者と向き合うことがありますよね。案件の相談が終わって、次の予定まで少し空き時間があるような場合がそうです。

そんな時、経営者はあれやこれやと問わず語りの言葉を投げかけてくることがありませんか?何かを聞きたいわけでもなく、指示するでもなく。そんなときはたいがい、経営者は自身と対話をしています。話しながら考える、口にしながら整理する、そんな感覚でしょうか。

こんな時、もちろん相槌は打つのでしょうが、基本的には黙してじっくり聴く姿勢が大切です。何の件なのか、どんな状況なのか、さっぱり分からないかもしれません。それでもしっとりと構えて、聞き役に徹することです。

経営者は途方に暮れるほど考えている

経営者は途方に暮れるほど考えている

私は経営広報として、この時間がとても好きですし、そしてとても大事だと思っています。何しろ経営者は途方に暮れるほど考えている。その広さと深さは、私たち凡人の想像を絶するレベルではないかと思います。この問わず語りの時間は、その一端に触れることのできる貴重なものです。

こういう積み重ねが、経営者の想いをつかむことに確実に繋がります。

慣れないうちは、「何だか間が持たないな」と感じるかもしれません。あるいは「これは自分に対する指示なのか?」と思ってしまうと、ついついすぐに動き出してしまいがちです。でもここはグッと我慢したほうが賢明でしょう。

それよりも、黙して聴く。その世界観を浴びる。言葉の向こう側にある“何か”に届きたいと願いながら。

特別な意向があるかもしれないし、ないかもしれない。次の仕事につながる示唆があるかもしれないし、ないかもしれない。それはどちらでもよいのです。この時間を楽しめるようになることが、経営広報の第一歩です。

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