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意外と忘れがちな気候変動の「適応」の話

気候変動の話が出てくると、「脱炭素」「再エネ・電気自動車」などの排出される二酸化炭素をできるだけ減らす「気候変動の緩和」に関することが多いように思う。
ただ、それだけでは気候変動に立ち向かうことはできない。なぜなら、今までに排出された温室効果ガスは大気中に(数年〜数千年)残り続け、2050年には1.5度以上上昇してしまうからだ。

気候変動への「適応」

そこで、重要になってくるのが、この避けられない温度上昇に「適応」しなければならないことだ。適応の話は、SDGsのゴール13にも書かれている。

SDGsゴール13: 気候変動に具体的な対策を

13.1
すべての国々において、気候変動に起因する危険や自然災害に対するレジリエンスおよび適応力を強化する。

指標
13.1.1 10万人当たりの災害による死者数、行方不明者数、直接的負傷者数
13.1.2 仙台防災枠組み2015-2030に沿った国家レベルの防災戦略を採択し実行している国の数
13.1.3 仙台防災枠組み2015-2030に沿った地方レベルの防災戦略を採択し実行している地方政府の割合

このように、二酸化炭素排出量を減らす「パリ協定」を考えるだけでなく、世界各地で災害に対して適応力を強化する「仙台防災枠組み2015-2030」も考えて行かなければならない。

増え続ける災害、減り続ける死者数

実際に、気候変動により災害の数は多くなっている。日本でも、2018年に西日本豪雨でかなりの被害が出たし、毎年のように土砂災害のニュースを見ているようにも思える。しかし、悲観的なことばかりではない。
世界の人口が指数関数的に増え続けていても、100年前に比べると災害による犠牲者は世界で1/4になっている。つまり、災害によって死亡する確率は格段に下がってきている。

ただ、考えなければならないのは、日本のような先進国は大丈夫でも、気候変動の影響を受けやすいと言われている途上国での死者数はまだまだ多いということだ。日本は防災システムが発達しており、災害による被害額が多くても死者数は(比較的)少ない。一方で、途上国では被害額が少なくても死者数が多くなってしまう傾向にある。

気候変動に対して一人一人にできることは、沢山ある。その中で、消費者として環境に良いものや環境負荷を低減する仕事を選ぶだけでなく、気候変動の適応力を高める視点も大切なのではないだろうか。

参考文献
・FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
・日本の防災、世界の災害: 日本の経験と知恵を世界の防災に生かす

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