経営者が持つべき、3つのコミュニケーション・スキル
地方創生、まちづくり、地方企業も東京のベンチャーも、人がいるところには必ずマネジメント・コミュニケーションがつきまとう。根っこの問題は同じで問われるのは経営者のコミュニケーションスキルです。自戒の念を込めておさらいを。
自分が経営をしてきて、どちらかというとうまくいかなかった時を振り返った原因がこれでした!から抽出した3つが ①聞き出す ②対話する ③伝える です。
人が辞めていくときに感じた「もっとゆっくり聞いとけばよかった」
チームがうまくいかない時に感じた「フラットに意見を交わす習慣をつけとけばよかった」
そして、こちらの意図通りに動いてくれない仲間に対し感じた「もっと丁寧に伝えとけばよかった」
1 聞き出す
「社員の話を聞く」ことを否定する経営者はいないし、大なり小なり、みなさん聞いてると思います。
ただし、”聞く”と”聴く”の違いと言われるように、”聞く”の種類はいくつかあるので、自分なりの整理が必要です。
僕が経営で一番大事だと思ったのが”聞き出す”です。
なんとなくの自分の整理で、”聞く(hear)”は直属のマネージャーが、聴く(Listen)”は人事がやれることだと思ってます。
経営者がやるべきは”聞き出す(ask+α)”かなと。
まずは自分が聞きたいことではなく、相手が話したいことを聞き出すこと。これは簡単なようで難しいですよね。どうしても自分が知りたいこと、聞いちゃいますからね。僕も日常はほとんど自分の好奇心満たすこと優先気味と反省。
しかし、経営していくための判断材料を得るには、自分の仮説を検証するために聞いてもしょうがなく(意味ある時もありますが)、自分と違う立場での感じ方、考え方を取り入れていかないと客観性が高まりません。
なので、相手主語で聞いていかないと、と実体験ベースで感じてます。
もう一つは相手が考えてから答えるようなことを聞き出すこと。
単に即答できることレベルでは、あまり深まりません。相手にそれほど負担をかけないギリギリの範囲で考えてもらうからこそ、フレッシュな情報が手に入るのではないかと思います。
話が少しそれますが、これって企画の時の情報収集にも応用できます。
Google先生で検索できる情報はほとんど企画価値のない2次情報。
必要なのは1次情報、とよく言いますし、自分も一番大事だと思い、可能な限り、直接当事者のところに行って情報を集めるようにしています。
さらに効果が高いのは0.5次情報です。
直接当事者のところに行って聞くまでは1次情報と同じですが、その場で対象者本人も考えてなかったことを考えて聞き出せた意見は、確実にこの世にない情報なのでより価値が高いかなと。
という意味では、どうやって相手に考えてもらえるか、もっと言うと考えたくなるような問いかけができるかがスキルということになります。
このスキル、かなり難易度高いので、僕自身も現在進行形で鍛錬中。一番客観的にまとめているのは、僕をUDSという会社に紹介してくれた人材紹介のプロでもあるクロスロード株式会社の辻口寛一さんです。
スキルアップしたい方にはおすすめです。
2 対話する
これも聞き出す同様、経営に不可欠なコミュニケーション・スキルです。
聞き出すだけだと、下手すると取り調べ、尋問で上からになるし、後述の伝えるだけだと一方的なプレゼンテーターで終わります。
社員を巻き込み、動機づけて一緒にアクションを起こしていくような組織には対話が不可欠です。
とはいえ、これも単におしゃべりしててもなんら意味は見出せず(仲良くなること自体のプラスはありますが)
僕がこれまで経営してきて感じるコツは、1人称で話すってことです。
社員と話していると、気がつくと2人称、3人称になってたりしませんか?「会社は」「事業部は」「私たちは」。
対話は1対1のぶつかり合い(雰囲気は楽しく)なので、ちゃんと個で話さないと深まりません。
手柄を建てたときは1人称になるけど、クレームとかになるとつい3人称になるのが人の常。
責任ある1人称で話すことが、対話の第一歩かなと。
あとは2往復、3往復するように努めることが大事。
普段あまり話さない社員とか、社長とはいえバリバリ相性あるのであまり相性良くない社員と話すときはどうしても質問して答えて終わり、の1往復の連続になりがち。
前述の聞き出す力で紹介した0.5次情報を引き出すためにも、1つの論点で2往復、3往復する対話力は身につけたいものです!
3 伝える
”伝える”は個人的に、これまで一番エネルギーを注いできました。経営者として、自分の考えや方針を社員に伝えない限り、経営が始まらないと思うからです。
そして、これが面白いぐらいに伝わらない(届かない?)
メールで一度出しても、ほぼスルーだと思った方がいいですよね。相手がよほど興味ある内容でない限り、かつ、個人宛のメールでもない限り見ないですよね。(少なくても逆の立場的にいうと僕はそうです、すみません。。)
経営で必要なのは、市場を先読み、自社資源を分析、優先順位を決めて戦略にしていくわけですが、それも十分難しいけど、それ以上に難しいのがこの戦略をどう伝えるか?だと思ってます。
いきなり戦略部分を言ってもまず伝わらないし、やはり背景や行間まで含めて丁寧に説明していかないと相手には届きません。
かつ、相手の知識・情報量は個人差あります。なので、全社員宛メールなど、出してもほぼ効果はないと思ってます。
結局、相手が小学生だ、ぐらいの認識を持って、本当に必要な情報は丁寧に伝えていくしかないようです。つまり手間がかかる、ということです。言い換えれば、手間をかければより伝わりやすい、という単純なこと。
なので、自分の場合は、伝わらなくて誤解されて軌道修正する手間より、最初の説明にかける手間の方がなんか前向きでいいな、と思って時間を使ってます。
どういうコミュニケーションをとっていくかは経営者の個性だし、わかりやすい経営方針だと思いますので、どれがいい、という類の話ではありませんが、社員の個性を尊重したり、新しいことをつくろうとする組織には必須のスキルではないかなと思ってます。
フィールドは東京から1万人の町に、組織は1,000人から10人以下と、経営の対象は大きく変わりましたが、やることは変わらないと思い、これからも日々研鑽です。
同じような問題意識をお持ちの経営者の方がいらっしゃいましたら、是非とも状況や情報を交換しながらマネジメント、一緒にがんばりましょう!
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