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「話を聴く専門家」として生きる覚悟を決めた話。

私はメンタルケアスペシャリストという
「傾聴のプロ」の資格を持ち
SNSを中心にお悩み相談やお話を聴く
「話を聴く専門家」として活動をしています。

そんな私が「話を聴く専門家」として
生きていくきっかけになった事のお話です。

私は、今年に入ってすぐ
お話聴く活動を少しお休みをする期間がありました。
それまでは1日に数件掛け持ちで
メッセージのやり取りをするなんて事も続きました。
しかし、今年に入ってすぐ
このままでいいのかな。そんな思いが芽生え、
少しお休みすることにしたのです。

ある少年との出会い

私がお悩み相談活動をお休みする直前、
多分2月くらいだったと思います。

いろいろな偶然、というか必然かもしれません。それが重なって、今年小学校に入学を控えた少年に出会いました。 

少年は大きな病気を抱えていて
四月の入学式を迎えられるかどうか。
そんな厳しい状況でした。

何とか入学式を迎えさせてあげたい。

そんなご両親や本人の意思もあり、医師や看護師さん達が努力を重ねていた時に、私はメンタルケアスペシャリストとしての活動を通じてその少年に出会いました。

メンタルケアスペシャリストとしての活動経験上、とても困難な、そして自分自身にも辛い結末が待っているのも理解していました。

でも、私は少年を放っておくことはできませんでした。 
メンタルケアスペシャリストとして
自分のできることをしよう。
どんなにつらくても、この子が笑って最後を迎えられるように。
そうして少年との交流が始まりました。

少年とパンダと私

この時既に、少年の体は病気に蝕まれ
無菌室でひとり過ごすようになります。

ある日、私は自分の好きなパンダの写真を看護婦さんを通じて少年に送りました。

すると、少年は自分のiPadに写真を入れてもらい、病室ではじめて見る動くパンダを食い入るように見ていたそうです。 

パンダがモリモリ竹を食べてる動画を見て

「僕も負けてられないぞ!」

そう言ってご飯を食べ、それまで落ちていた食欲もだいぶ改善したと聞きました。 

本当に嬉しくて、その知らせを受けてひとりでガッツポーズをしました。

それ以来、少年にパンダの写真や動画を毎日送り、交流をしていました。

このまま行けば
もしかしたら、入学式ができるかもしれない。 

でも、状態は相変わらず不安定でした。 

ご両親、病院側の意思もあり
1ヶ月早い入学式を行うことになります。

少し早かったけど、元気に入学式を終えたと連絡があり、あぁ良かったと安堵していました。

次はクリーンルーム(無菌室)から出るのが目標かな。
担当看護師さんともそんな話をしたのを覚えています。


数日後の朝。

いつものように動画を送り、返事を待っていると、看護師さんから連絡が。 


今朝、
お空に帰ってしまった、と。



あぁ、そうか。なるほど。

そうだよね、うん。



それ以上の言葉も出ず、
絶句とはこの事か、と。 


お空に帰る前、その子は私に手紙を書いてくれていました。


「パンダのおにいさんいつもありがとう。げんきになったら、パンダをみにいきたいです」


その手紙は今でも私の宝物です。 

「覚悟」

人の悩みを聴くと言うことは、

あなたが今、している事は

こう言うこともあるんだ。

命と向き合うという事なんだ。


それでも、

あなたにはそれができますか?
そう、神様から問われた気がして。


その時、私は覚悟を決めました


たくさんの人の心に灯火を。

元気を。一歩踏み出せる勇気を。 


それを一緒に見つけて行く伴走者として、暗い足元を照らす灯りを持ちながら。 


それに気付かせてくれたのがこの少年だったのです。

この出来事が無かったら
私は「話を聴く専門家」として戻らなかったかもしれません。

もしかしたら、この活動すらも
辞めていたかもしれない。 


なぜなら、
お休みする前の自分には
足りないものがあったからです。 


それは「覚悟」です。


人の話を聴く、心と向き合うことは
その命と向き合うことでもある。
上辺だけの繕う言葉では人の心は癒せない。
その人の心の奥底まで一緒に潜り
瓦礫をかき分け
いろいろな雑念、世間の目、周りの意見などに隠されてしまった
本当の想いを探しだす。
それはその人の「心の宝物」
痛みを伴ってもそれを一緒に探す覚悟。
私の使命と言ってもいいかもしれません。

それに気付かせてくれた少年には
感謝の想いしかありません。


実は少年の四十九日を迎えた時に
自分の気持ちの整理を一区切りする意味も込めて、この記事を書きました。
数ヶ月前の事です。

noteをはじめたので
たくさんの人に知ってもらいたくて
こちらにも再編集して投稿しました。

最後まで読んでいただき
ありがとうございます。
この記事を読んで何かを感じてもらえると嬉しいです。 

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