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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 第29話 対外国資本編13

はじめに

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 この小説には暴力的表現、性的な表現が含まれています。
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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 29話

 「さって・・・よっと。お前ら今日が命日だ、覚悟しろよ。」
 聖奈と畠山が部屋から離れていったのを確認したオレは抑えていた感情を剥き出しにしてこいつらと対峙することにした。中山はマハルに押し付けていた銃を正面の敵に向ける。
 「人の女に手を出しやがった挙句、へし折り、殴り蹴り、あざまみれにしてションベンと精液ぶっかけてほっておくたぁ良い度胸を通り越して呆れたよ。オレを舐める連中は久々だ。」
 頭の中は煮立って煮立って湯気だけじゃ足りねぇ。噴火状態だ。だが、ここで闇雲に頭に血が登った状態で戦ったらオレが死ぬだけだ。燃やすところは燃やして冷ますところは冷ます。畠山が1人先に地獄へ連れてってくれたから相手の数も減って助かる。
畠山の頸髄を離断させる力技、おそらく第一か第二の頚椎がへし折れたんだろう。あっという間に呼吸が出来なくなってお陀仏、間違っても食らいたくねぇな。
 相手はさっきから何かいろんなことを口にしているが、通訳は絞め落とされて気絶。兵士の1人はお陀仏。オレの啖呵も相手の何かしらの脅し文句もお互いに何もわからねぇ。となると、シンプルな話だ。暴力こそが全てを解決する。それにコイツらは聖奈を好き勝手にした人間だ。同じ目以上に遭わせてやらねぇと気がすまねぇ。ハッキリ言やぁ、全員ぶっ殺す。金も関係ねぇ、純粋にオレたちの工場、従業員、妻を嬲りやがったコイツらを粛清しないとみんなが納得しねぇ。成仏できねぇ。報告できねぇ。
 オレは怒りの形相と鋭い敵意を4人の兵士にぶつける。アイツらは見た限り想像を超えた怒りと敵意に尻込みしている、伊達に裏社会で生きてきてねぇって話だ。精神的に優位に立ったら数の差のハンデキャップは一気に縮まる。ボスの女って聞いてても好き勝手しちまうほどオツムが弱くて精神的にも脆弱な『武装しているだけのカス』にはオレたちは負けねぇって話だ。
 こういう時は先制が効果的だ。渾身の右パンチを1番近くにいた兵士に浴びせる。周りのやつが動き始めたら中山の攻撃だ。
 パンっパンっ!
 乾いた銃声が響くと2人の男が足を抱えて崩れる。
 「敵からは目を離すな、基本中の基本すらも守れねぇのか、お前らはオレたちの相手じゃない。」
 中山からのありがたいアドバイスを聞いとけよ、部屋の中での発砲は跳弾だけが怖いが、中山はこの中でも角度計算して確実にオレたちが無事である角度で発砲してくれている。しかも撃ったのは膝付近の脚部。これならどんな人間でも片足で動くのがやっと、狭い部屋で闇雲に戦わずに済む。
 「中山、近くに行って反対側も頼む。」
 「はい。」
 パンっパンっ!
 「アアアアアアアアアアァァァァァァ!!」
 これで、動ける兵士は2人。中山によって4本の脚が使用不能になったわけだ。撃ち抜かれた2人は大声をあげながら悶えている。
 オレに殴られた兵士と立ちすくんでいる兵士の2人だけになった。打たれてるのを間近で見た兵士は降伏のポーズを中山に見せた。中山は近くに行って伏せるように説明した。もちろん両手を挙げさせたまま。武器を持っていたら困るからな、中山がボディチェックや必要事項をして対応する。
 その間、オレは目の前の奴と対峙する。殴られたあとの出来事でスキがある。もう一度顔に右のパンチをオレは渾身の力で捩じ込む。奴もオレを殴り返してきた。オレは再度パンチをねじ込む。今度は左だ。兵士の割にはその辺のチンピラのような大振りだ、当たれば痛むが避けることも容易い。近接戦闘のパンチというものは正確に数を打ち込むことが勝利への近道だ。人間の急所を把握した上でな。人間の弱点は中央線部に多い、鼻、喉、鳩尾、股間、脊椎。やや右側に肝臓、左側に心臓がある程度だ。光り物があれば血管を切るんだが、オレにはそういう勝ち方ではない、求められている勝ち方がある。
 チンピラもどきの兵士の大振りは掠ることはあれど勝敗を決するような一撃にはならない、オレは一撃単位では倒れなくとも効果的なパンチを継続的にねじ込んでいく。
 「これなら勝てそうだ。」
 そう、思った時だった。そう思ってしまったのがオレの油断だ。油断は敵にチャンスをもたらす。基本という基本をオレも怠った。足首をガシッと握られたのだ、さっき中山に両足を撃ち抜かれたうちの1人がオレに接近していて足首を掴んだのだ。
 「しまった。」
 そう思ったのも束の間、相手の大振りが完璧にオレの顔を捉えてしまった。脳が揺れる、顎関節が軋む、視界が歪む。口腔内には鉄分の味が広がる、一気に形勢が入れ替わりかねない。そんな一撃を喰らってしまった。
 「大河さん!」
 オレの思いを汲んでなるべく手を出さないでいてくれた中山もこれを目の当たりにしては動かざるを得ない。だがな、オレの最大の武器っていうのは反骨心と聖奈にしか折られたことのねぇ心の肝っ玉のデカさだ。こんな修羅場をくぐってきたのは一度や二度じゃねぇ。
 中山は察しのいい奴だ、足元に転がる2匹を剥がしにかかる。えげつないもんだぜ、頭を上から地面に叩きつけるように蹴り付けやがる。頭を蹴ったゴスって鈍い音の後に固い地面で頭が跳ね返るガンっていう音が繰り返されるんだ。中山は殺そうと思えばオレより早く効率的にコイツらを処理することが出来るのにオレを立てようとしてくれるんだ。だから、コイツらが『死なないように』調整してくれてる。
 オレはクラクラとしてる頭を気合い入れて叩き戻した、頭痛がするがこれは打撲の痛み。致命的な何かじゃねぇ、オレは目の前のやつに渾身の蹴りを見舞うが外れてしまう、そしてバランスを崩して転倒してしまった。
 バキィ!
 そこに今度は奴の硬いシューズだ。一発で顔がへしゃげちまう。鼻血がシャワーのように噴き出してきやがった。追い討ちで拳や蹴りの連打が降ってくる。オレは亀のスタイルで耐える。相手が疲れたタイミングで脱出して体制を立て直した。
 「大河さん、大丈夫ですか?」
 「あぁ、このくらいは何百回と味わって生きてきた。」
 「出血で酸欠になりがちです、お気をつけて。」
 「わりぃな、スマートに出来ねぇんだ、お前ならサクッと終わるのによ。」
 そう、聖奈救出は時間との勝負だったが、こうなった今はただの私怨だ。時間を気にする必要はねぇ。
 「こっちの3人は準備しておきますから、大河さんはヤツを頼みますよ。」
 中山に任された1人くらいはオレがしっかり相手してやる。オレは気合を入れ直して兵士の1人と立ち向かった。そして再度拳を振り上げると奴もケンカはバカじゃねぇから避けようとする。それをオレは待って反対の左から拳を喉元にねじ込む。
 「ガアアァ!」
 何語を話そうと人類である限り弱点は一緒だ。喉をやられた奴さんは動きが一気に悪くなった。こうなればオレの正確性重視の連打でも事足りる。
 「おらぁぁぁ!!」
 兵士が倒れた後もマウントポジションからオレはそいつに拳の雨を降らせ続けた肉が弾け、骨が軋み、歯が飛ぶ。数分もすると相手が全く動かなくなってきた。
 オレは勝利した。後の3人も地面で悶えている。中山に地面で倒れ続けていたマハルを叩き起こしてもらう。
 「オゥ・・・何が・・。」
 「仕事の時間だ、寝てると殺すぞ。」
 オレも中山も殺気立ってる。お昼寝明けのマハルからは刺激的に見えただろうな。
 「わぁお・・・ソルジャーズ全滅・・・!」
 「こっから話聞きたいから訳せ。」
 オレは全員に問いかける、もっともオレが殴った奴は答えられないかもしれないがな。
 「聖奈の腕を折った奴はコイツで合ってるか?」
 「『はい』だそうです。」
 「コイツみたいになりたい?」
 「『絶対になりたくない、ヘルノー』だそうです。」
 「正直に答えてくれよ。脇腹を蹴ったのは誰だ?」
 「『アイツだ、アイツだ』みんな答えが違うですね。」
 「いいんだ、マハル、しっかりと訳したんだろう?」
 「はい。」
 「聖奈にションベンを引っ掛けたのは?」
 「これも同じです、アイツがコイツ、コイツがアイツ、です」
 「聖奈で抜いた奴は?」
 「これもです・・・。」
 「聖奈の胸とケツを触ったのは?」
 「これは全員だそうです。」
 「よし、分かった。まずは、脚を撃たれて出血が多いお前だ。中山も手伝ってくれ。おっと、その前にだ。」
 オレは服に中に持っていた光り物を取り出す。
 「お前は反抗しなかったから、武士の情けで楽に逝かしてやる。」
 その光り物を投降して腹這いで寝そべる兵士の首に背後から一気に振り下ろした。瞬く間におびただしい出血がシャワーのように溢れ出る。介錯とまでは出来ないが、片方の頸動脈を切断するには十分だ。投降兵は身悶えしながら床でのたうち回っていたがそのうち動かなくなった。次に出血量の多い方に兵士だ。
 「お前を最初にしたのは、出血多量で逝かれると困るからだ、大丈夫だ、みんな同じ目に遭う。」
 オレはそいつに優しく声を掛けると片腕を取ってテコの原理を使って肘付近に圧力をかけていく。徐々に可動域の限界、そして骨格構造の限界にまで達すると銃創の兵士はうめき声を出す。
 「オレの妻が世話になったよ、お前らに関節をもう一個プレゼントしてやる。」
 バギバギバギッ!
 折った。それも関節部付近から激しく。鋭利になった骨折端が筋繊維や靭帯、神経に血管まで損傷させただろう。
 「動くかどうか見てみようか。」
 オレは相手の肘を文字通り360度角方向に動かす。
 「ガアアアアアァ!!」
 「ウルセェ!!」
 骨折の痛みで叫び出す男の顔に全力で拳を見舞う。そこからは体力を消費するが一気に顔が変形するまで殴り続ける。
 「女の胸とけつをアザになるまで揉んだんなら幸せだったろう、顔なんていらないよな。」
 その様子を唖然と見ていたマハルに中山が声を掛ける。
 「お前らは間違った相手に喧嘩売ってたんだ。世界には喧嘩を売っちゃいけない人類ってのがいる。日本だったらヤクザでもねぇ、政治家でもねぇ、総理大臣でもねぇ。大河さんなんだよ。」
 「あの・・・私も・・・。」
 「死ぬんじゃない?利用価値がなくなったら。」
 「ノーノー!ノー!」
 「それはオレとお前が決めることじゃないから。大河さんの言うこと聞いておけばもしかするともしかするかもよ。期待はしないことだな。」
 「・・・イエス・・・。」
 2人が会話をしている最中、ついに出血が多かった兵士の身体から力がスーッと抜けた。
 「よし次。」
 案の定怯えているもう一人の銃創兵士は出血も少ないのでまだ元気だった。オレは出血している脚部を蹴り上げ踏みつけ、膝の皿がずれるように蹴った、そして同じように上腕骨をへし折り、全身にあざを刻んで、聖奈の尻と胸の代償に顔を原形がわからなくなるまで丁寧に造形する。この兵士も全ての処理が終わった時には動かなくなっていた。
 最後にオレがと戦闘を繰り広げた相手も既に力無く横たわっていたが、平等に上腕骨をへし折っておいた。
 「どうした、マハル。えらい汗の量がすごいな。」
 「いえ・・・あの、暑いですね!」
 「殴ってたオレの方があちぃよ。」
 「おっしゃる通りです!」
 「コイツどうしたんだ?」
 「さぁ、死にたくないんじゃないですか?大河さんの『悪魔と呼ばれる理由』を目の当たりにして。」
 「あ、最後に忘れてた。」
 「どうしたんですか、大河さん。」
 オレはチャックを開けて動かなくなった連中にオレの腎臓こしおろしたての液体を噴射した。
 「忘れててよ。これ。」
 「きちんと返すんですね、大河流ですね。」
 「抜くのは無理だからな・・・。」
 「それは無理です、禁欲190日目でも無理です。」
 「だよなぁ。で、マハルどうした?」
 「(ズボンから出てたのが超大物でしたけど)何でもないです、お手洗いこっちです。」
 「お、助かった。あと、この後、ボスの通信できる部屋に案内してくれ。」
 「リアリィ!?今なら大河さん、エスケープはイージーですけど!?」
 「まだ、やることがあるだろうよ、本丸を落とさなきゃ。」
 「でも、ボスは中東に・・・。」
 「消す方法はいくらでもあるってんだ、それとも・・・マハルもさっきの人たちみたいになる?」
 「ご案内しまーす!ちょっと移動先はファーラウェーです!」
 聖奈の救出の終わった、あとはボスってヤツを抹消するだけの話だ。

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