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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 第33話 対外国資本編17

はじめに

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裏社長大河の悪魔版就職斡旋社 33話

 「こ・・・この・・・先が・・・こ・・・コネ・・・コネクティング・・・ルーム・・・だ。」
 ヘイマンはかろうじて言葉を紡ぐ。オレのローブローで睾丸があっちの世界に行ってしまったかのような衝撃だったらしい。しかたないだろう、聖奈に色目を使うってことはオレへの挑戦ってことだからな。
 マハルもすっかりビビってそういう話題は一切無視する。シークの数百倍怖かったと言っていたが、あれより怖いなんてことがあるのか。まぁ、いい。此処からが仕上げだ。エミレートファイナンス自体をぶっ潰すにはボスの存在を消すしかない。それも日本にいながらやるしかない、あっちに乗り込んで消せるわけねぇからな。確実に消される。ホームアンドアウェーのスポーツじゃねぇんだ。やるなら先手必勝だ。
 「ヘイマン、操作しろ。変な操作をしたらその場で殺す。玉殴り続けるからな。」
 なぜか内股気味になっているヘイマンを厳しく見守りながらだったが、ヘイマンは素直にコネクティングルームでモニターを起動して呼び出しを始める。当然ながらボスがそう簡単に出るわけもない。
 「無限にかけ続けろ、気が狂うくらいな。出るまで絶対にやめるんじゃねぇ。」
 1時間、2時間と時が過ぎていく。無限に続くコール音にも気が狂いそうになるがオレはやらなきゃいけねぇ。
 オレを轢き殺そうとし、会社をぶっ潰し焦土にして、田所を焼死させ、聖奈を略奪し肉奴隷にしようとした連中を許すわけにはいかねぇんだ。仲間はかろうじて無事だったが、債務者も全滅。運用していた物品や権利も多数が奪われたのに大人しく見逃してやる道理は何もねぇんだ。
 それにオレにとってはこれは想定内だった。これのおかげでむしろエミレートファイナンスをぶっ潰せるチャンスがどんどんデカくなってきている。ヤツらはタカを括っている、『たかが日本人がオレらを潰せるわけがない、エコノミックアニマルだが老人に支配され思考を廃棄した終わった国の住人』って認識だろうからな。窮鼠猫を噛む、追い込まれた狐はジャッカルより凶暴。色んな表現があるがな、弱者を舐めてたら痛い目に遭うぞってんだ。
 半日が経過した頃、やっと状況に変化が訪れた、そしてその時が来たのだった。オレと中山はフェイクだと本人たちに説明した上でマハルとヘイマンを脅すふりをしてモニター画像に映るようにした、実際に変なことが起こればその場で終わらせるつもりだがバレても困るからな。今回はボスの言葉をその場でヘイマンが訳してくれるから言葉に混乱しなくていいのも救いだ。
 「何だ、貴様ら。」
 「エミレートファイナンス日本支部ぶっ潰させてもらった。」
 「ふん、平和にだらけた危機感のない国だと思っていたが、骨のある奴もいたようだな。」
 「思い通りに行かなくて残念だったな。」
 「残念?その程度の造作もないことで我々が動揺するとでも?」
 「強がりは良くないぜ、『ボス』」
 「私は貴様らのボスではない。所詮は終わった国の金をもらうだけのつもりだ、遅かれ早かれな。」
 「聞いたぜ、大層な目的だな。」
 「大したことではない。我々は政府よりも金を持っている。中東とはそういう地域なのだ。」
 「で、金を奪おうとしたのにぶっ潰されて溜まったもんじゃねぇな。」
 「そうでもない、大した出費にもならん。その程度の金など10秒ほど待てば勝手に地面から湧いてくるわ。」
 「おうおう、オイルマネーってすげぇもんだな。だが、一つ聞きたい。オレをぶっ潰そうとした理由は何だ?」
 「大したことではない。私がまとめさせた日本人で最も性的な魅力に溢れる女のリストにお前の女が入っていたことだけだ。貴様ら程度の金に何の興味もないからな。」
 「聖奈が?」
 「我々の金があれば日本中の各地域、各繁華街に人員を配置して写真をまとめさせるのは造作でもない。」
 「悪趣味してんなぁ。」
 「終わっていく国、日本で繁殖活動をしても仕方がない。我々の子を宿して大量に産ませる。それには性的な魅力のある女、繁殖させる上で我々に値する女をリストアップする。当然の作業だ。」
 「それを世界各国で?」
 「当然だ、我々の元に来られることをありがたいと思うべきなのだ。終わりゆく国々で人間としての最も崇高な繁殖という役割を放棄した女を有効活用してやるだけだ。男は問題ない。我々の地域では優秀な男が1人いれば10人の女と子を成し続けるだけ。女の数、それも優秀な。美しくかつ妖艶な若い女が必要なのだ。」
 「随分と上から目線だな。」
 「当然だろう、我々の国と他の国々、日本も含めてな、終わりゆく先進国に払う敬意はない。速やかに人口を減らし衰退するべきだ。」
 「過激だねぇ、さすが過激派が蔓延る地域だ。考え方も過激だな。」
 「平和ボケしたお前らには刺激的だろうな。別に我々にとっては日本だからと言って特別な対応はしていない、世界各国同じように振る舞っている。」
 「へぇ、世界中から女を集めてるっていうのはどの地域からだよ、記念に見せてくれよ。」
 「ふん、貴様らに見せる筋合いはないが、まぁいい。おい。」
 ボスって男の一声がかかると後ろから人が出てくるわ出てくるわ。それも絶世の美人を集めましたっていうようなメンツばかり。人種も国籍も違いそうだ。悪趣味だとは言わねぇがいい趣味とは言えねぇな。
 「どうだ、壮観だろう。このアメリカからの女ステーシーは22歳にして私の子どもを4年で3人産んだ優秀な女だ。ブロンドの髪も脚も長く顔も美しかろう?こっちのヴァネッサはイタリアからの女だ、25にして私の子どもを2人産み、今3人目を孕っている。コイツは張、台湾の女だ。19だが、美しいだろう。これから繁殖に貢献してもらう。コレはアイジャ。アゼルバイジャンの女だ。」
 近場にいた女をとりあえず紹介していく。『ボス』っていう立場と権力は相当なもんだな、コレだけの女が反旗を翻せば男1人には勝てそうなものだが。そうした瞬間に殺されるようになってるんだろうな。
 「へぇ、大したもんだ、世界中から本当に集めてやがる。どうやってそんな数を?」
 「それはお前の妻と一緒だ。簡単なものだ、夫婦なら片方を処理すればいいだけだ。つがいの片割れが死んだらもう片方が寄り添うだろう、その時に連れて来ればいいだけだ。」
 「オレと同じだねぇ。」
 「そして、お前らの本当の目的は何だ、私と雑談することではあるまい?」
 「へぇ、気付くもんだな。」
 「当たり前だろう。」
 「オレたちの目的はシンプルな話だ。お前らがオレたちに手を出さないって言葉をもらうためだよ。数の暴力じゃ勝ち目がねぇ、金でも勝ち目がねぇ、なら頭だ。コイツらの命と引き換えに安全を担保してもらおうじゃねぇか。」
 「・・・。」
 「どうした?」
 「・・・ク・・・クハハハハ!」
 「?」
 「何を言い出すかと思えば!私がそんな虫どもの命などを気にしてるとでも思ったか?頭を撃ち抜こうが、心臓を刺そうが、毒ガスを吸わせようが槍で目を貫こうが好きにするといい。サムライスピリットならハラキリでも構わん。」
 「同志が死ぬのを悲しまないのか?」
 「そんなわけなかろう、私がそんな虫ケラの命を気にしていたら今頃殺されている、私にとって大切なのは私と、この女どもだけだ。家族だ。娘、息子数えきれないほど産まれた愛すべき子どもだ。あとはどうなったって構わん。」
 「へ、同志愛とか民族愛とかは関係ねぇんだな。」
 「我が一族に仇為す者、それ即ち全てが敵だ。西洋東洋先進国貧困国後進国関係ない、我々が思ったこと理念に反するものは全て敵だ。」
 「なるほどな。じゃあ、お前らには敵意を出したオレたちももちろん敵ってわけだ。」
 「当たり前だ、平和ボケした日本だからわざわざ即座に対応することもない。お前らは必ず殺して私の前に死体を曝け出してもらう。」
 「あぁ、そうかい。やっぱりアンタは馬鹿だ。」
 「あぁ?」
 「バカだって言ってんだよ。」
 「悪口暴言で私が理性を失うとでも思っていたのか?」
 「んなこたぁない、お前がバカだっていうのはオレがコレだけ無駄にくっちゃべって時間を作った理由ってのを考えてねぇからだよ。お前から殺されたくなかったら顔も拝まずさっさととんずらかましてるわ。」
 「・・・どういう意味だ?」
 「そのねぇ頭で考えるんだな。」
 ヘイマンが小声でオレに尋ねる。
 「勝算はあるのか・・・あんなバカにしていたら即座に殺されるぞ・・・一体全体どういうつもりなんだ。皆目見当がつかない!」
 「タマは復活したのか?」
 「復活する事を諦めた。」
 「そうか、勝算しかねぇ。むしろコレだけ時間を繋いだオレたちの完全なる勝利だ。」
 「全く意味がわからない・・・。」
 マハルも首を縦に振る。
 「まぁ、見てろ。あっちのボスがない頭で考えてるがな。世界をバカにする奴は世界に滅ぼされるってことだ。」
 奴さん側の部屋が騒々しくなった、女たちは即座に部屋の外に出されて幹部と思しき連中がボスに報告をしている、ボスは明確に顔色が変わってきた。
 「貴様らか?」
 「ご名答。オレたちさ。お前を破滅に追い込むにはオレたちがダメなら。世界を使おうってわけだ。ヘイマン、テレビの音声を出せるようにしてくれよな。どうせなら英語の放送がいいだろう。奴さんもオレたちも少しはわかるだろうからな。」
 さぁ、エミレートファイナンスグループよ。破滅の足音が世界から聞こえてくるぞ。心して聞いてくれよ。お前らの心に響くだろうレクイエムってやつをオレたちが奏でてやるからな。

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