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(遊)ど~げん 代表あそび人 田中博亮さん

着物が普段着の “あそび人” 田中博亮(ど~げん)さんにお話を伺いました。

プロフィール
出身地 東京都立川市
現在の職業および活動 着物が普段着の”あそび人”を生業としています。「人生を楽しく遊ぶ・あそび(余裕・ゆとり)を持つ」をモットーに、毎日あそんでいます♪ 楽しい事をしながら どうやって生きていくかを常に考えています♪
座右の銘 好きなモノの中にヒントがある

「あそび人とは?」

記者 まず ”あそび人”とは何か教えてください。

田中博亮さん(以下、ど~げん) 僕の中では「自分の好きなことをやる人」があそび人なんですが、それには2つの意味合いがあると考えています。ひとつは「楽しく遊ぶ」ことで、もうひとつは「余裕・ゆとり」を持つことです。楽しく遊ぶことはもちろんですが、今の世の中って無駄を省いて効率のみで動くようになってきているので、心に余裕とか、ゆとりのない人が増えてきているように感じるんです。

記者 あそび人を生業にしているとのことですが?

ど~げん 生業といっても特に決まったことをしているわけではなく、面白そうなことをしているだけなんです。だから生活は不安定です(笑)。

記者 ”ど~げん”というあだ名の由来は?

ど~げん 曹洞宗の開祖である道元禅師から来ています。小学生のときにクラスメイトに顔が似てると言われたのがきっかけなんですが、本名よりもそっちの方が覚えてもらいやすいので使っています。でも僕は道元さんのことはぜんぜん詳しくないですし、あそび人とは何の繋がりもないんですけどね(笑)。

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「着物が僕に合わせてくれる」

記者 着物がお好きなんですよね?

ど~げん はい。着物は普段着でして、ほぼ毎日着ています。今では着物好きがこうじて、着物のイベントを定期的にやっています。

記者 どんなイベントなんですか?

ど~げん ”きものば”という着物の楽しさを伝える会を月1回やっています。僕が着物を着はじめたころ、何も知らなかったので、詳しい人を呼んで教えてもらおうと思って企画したのがはじまりなんです。お金を払って誰かに教わるよりも、お金をいただきながら、どうにか教われないかと考えたんですね(笑)。

記者 着物(和服)と洋服の一番の違いは何だと思いますか?

ど~げん 見た目はもちろん違いますけど、その他には、縫製の違いがありますね。洋服は立体縫製なので、立体のマネキンに布を巻いて、それに沿わせて縫っていきます。なので、人が着ていなくても服としては完成しているんですね。でも着物の場合は平面縫製なので、布を繋ぎ合わせて縫っているだけで、縫いあがった時点ではまだ完成ではなく、人が着てはじめて完成するんです。

なので洋服はサイズによって、着れる人と着れない人が出てきます。実は洋服って、人が洋服を選ぶのではなくて、洋服側が着る人を選んでいるんですよ。体の大きな人は、Sサイズの洋服には選ばれないということなんです。着物の場合は、まだ服が完成していないので、体が大きい人であれば、着物がその大きさに合わせてくれるんです。

服に選ばれるのが洋服なら、着物は着る人に合わせてくれる。そこが和服と洋服の一番の違いだと思っています。

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「楽しいことだけをしてみよう」

記者 あそび人になろうと思ったきっかけは?

ど~げん 20代の頃は、普通に会社員として働いていましたが、僕は根が真面目なので、一生懸命やり過ぎちゃうんですよね。休みもなく、24時間仕事のことだけを考えるようになって、それで体を壊して辞めちゃうんです。その後、30歳のときに離婚をして、今まで自分の人生にあったものが全部なくなったことがあったんです。家族がいなくなり、仕事も辞めて、友達もいなくなって、その時に「自分はなんで生きてるんだろう」って考えたんです。4年くらいもんもんと考えました。それで人間は、時間的にも肉体的にも精神的にも金銭的にもそうですけど「あそび」という余裕がないと駄目になるんだということがわかったんです。

思い起こせば、今までの人生、楽しいことをやっていたときが一番充実していました。どうやら僕の人生には「楽しい」が必要なんだとわかり、じゃあ、楽しいことだけをしてみよう。「楽しい=あそび人」かなと思い、はじめたのがきっかけなんです。それからあそび人を名乗るようになって、今度はあそび人って何だろうって考えはじめるんですよ。

記者 すごいちゃんとしてますよね(笑)

ど~げん 真面目なんですよ(笑)。でもそうやって考えているうちに、僕の中のあそび人像がはっきりしてきたんです。

今では、色んな人たちに、あそび人になれとは言わないけど、少しでも「余裕・あそび」を持つという考え方をしてほしいとは思っています。例えば、お酒なんかはわかりやすいですね。自分の限界を知らないでどんどん飲むと限界を超えてしまって記憶をなくしたり、失敗したりする。限界を知っていれば自分で調整できるじゃないですか、そこがあそびの部分だと思うんですよね。

記者 限界の中にいたら限界には気づかないけど、限界の外にいたら調整できますもんね。

ど~げん そうですそうです。「余裕・あそび」を持つということは、全体をみれているということだと思います。

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「地域活動が僕のベース」

記者 あそび人として一番楽しいと思うことは?

ど~げん あそび人としては、楽しい・楽しくないの判断をする前のもっと純粋な子どもの感覚に近いですね。面白そうという好奇心が先立っている状態です。それともう一つ、僕は、楽しんでいる人たちを見るのが楽しいんです。だから僕が主催するイベントも参加してる人たちが楽しんでいる姿をいつも想像しながら企画をしています。

記者 その背景を聴かせてください。

ど~げん そのベースにあるのは、小学生の頃から20歳過ぎまで続けていた地域活動があります。地域の子供会のようなもので、例えば、クリスマス会とか、夏になると2泊3日でキャンプに行ったりします。自分たちで薪を割って、ご飯をつくって、食べて片付けもして、遊ぶ時間があって、その活動がすごく楽しかったので、そればっかりやっていました。

そこでは、年上のリーダーと呼ばれる人たちが中心になって、キャンプファイヤーとかハイキングとか、参加者を楽しませる企画を立てるんですが、それがめちゃめちゃ楽しかったんです。すごい大変でしたけどね。子どもが何人くらいいて、どういうスタッフがいて、誰をどこに配置して、どういう風に参加者を動かしてとか、全部シミュレーションして2〜3ヶ月でつくるんです。

高校生の時は、どうにかしてこの活動でお金を稼げないかと考えていました。仕事にしたいくらい楽しかったんです。

記者 考えたり企画したりつくることが好きなんですか?

ど~げん 好きですね。子どもたちがどうやったら楽しんでくれるのかを一番にいつも企画を考えていました。

例えば、キャンプに行くと1日目の夜と2日目の夜とではレクリエーションが変わるんですね。2日目の夜はキャンプファイヤーとか思い出づくりになるんですが、1日目の夜はまだ初日でもあるのでナイトゲームといって、夜の施設の中でやるアクティビティになるんです。それでスタッフは大体どっちを担当するのかわかれることになるんですが、やっぱりみんなキャンプファイヤーをやりたがるんですよ。メインですからね。でもキャンプファイヤーって2日目だし、もうある程度の流れができてしまっているので、僕はあんまり面白いと思わなかったんです。それに比べてナイトゲームはゼロから自分たちで考えられるので、僕はいつもそっちを担当していました。

それとキャンプって野外活動なので、晴れたときのプログラムと雨が降ったときのプログラムの両方をつくるんですよ。それで大体、雨が降ったときのプログラムはやらないことが多いんですが、用意をする段階で、去年やっていないからといって、手っ取り早く、去年のプログラムをそのまま持ってくる人が多いんです。僕はそれがすごく嫌でした。去年と今年では参加する子どもやスタッフも違うので、出来あがるものも当然違うものになるはずなんですよ。人、場所、時間、季節など、その時のあらゆる要素をみて最適なものをつくりたい。その時に出来るベストを尽くしたいんです。

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「他人軸から自分軸へ」

記者 あそび人になる前と、なった後ではどんなあり方の変化がありましたか?

ど~げん 前はどちらかというと流される感じだったんですよね。でも自分であそび人として楽しんでいこうと決めてからは、自分で切り拓くというか、自分で選んで進むようになったのが、多分一番の変化ですね。他人軸から自分軸にあり方が変わったということです。

記者 では、ど~げんさんが仰る「楽しい」とは、自分で選択できるということなんですね?

ど~げん そうですね。ある意味マイペースでいたいんだと思います。

記者 これからの夢やビジョンは?

ど~げん それがないんですよね(苦笑)。出来ればいいなと思っていることはありますけど、それは夢というよりも、やりたいことのひとつなのでね。強いて言えば、あそび人としての生き方を続けることになりますかね。今の最高の状態(あそび人でいられること)をどんどん繋げていくことで自然に変化していくんだろうっていう感覚です。最高の状態を目指しているわけじゃないんですよね。

実は、あそび人を名乗ろうと思ったきっかけのひとつにドラクエがあるんです。ドラクエの職業には遊び人というのがあって、それが少しヒントになっているんです。遊び人は戦闘には参加せず、自分の好き勝手なことをするのが役割なんです。だから戦闘に参加すると遊び人ではなくなるんです。夢やビジョンがないのはそれと似ています。ドラクエは読み取ってみるとすごく深い世界なんですよ。

記者 なるほど、ご自身の中であり方を洗練することによって、行くところにまで行くというか、中途半端な夢やビジョンではなく、もっと深いものを求められているんだろうなと思いました。本日はありがとうございました。

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【編集後記】
今回、インタビューの記者を担当した、見並、石塚、田中(カメラ)です。

あそび人という軽い言葉のイメージとは裏腹に、インタビュー中は、ど〜げんさんの “あそび” に対する深い追求と哲学を感じることが出来ました。全てを見渡せる “余裕・ゆとり” を持つことが、AI時代を生きる我々にとって必要なあり方の変化だと思いました。ど~げんさん貴重なお話をありがとうございました。

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