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企画脳

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著者プロフィール: 秋元康
作詞家。高校時代から放送作家として『ザ・ベストテン』など数々の番組構成を手がける。1983年以降、作詞家として、美空ひばり『川の流れのように』をはじめ、中島美嘉『WILL』、EXILE『EXIT』ほか、数々のヒット曲を生む。2008年11月、ジェロ『海雪』にて第41回日本作詩大賞受賞。1991年、松坂慶子・緒形拳主演『グッバイ・ママ』で映画監督デビュー。企画・原作の映画に『着信アリ』シリーズ、『伝染歌』など。2005年4月、京都造形芸術大学教授、2007年4月、同大学副学長。TV番組の企画構成、新聞・雑誌の連載など、多岐にわたり活躍中。アイドルユニット "AKB48"と"SKE48"の総合プロデューサーも務める。

今回は敏腕プロデューサーである秋元康さんの本です。
企画力で有名な秋元さんがどのようにアイデアを生み出しているかについて綴った本です。

本書の構成は以下のようになっていますが、今回は企画力に絞って紹介していきます。

第1章 企画・発想力をつける基礎体力術
第2章 抜群の切れ味を生む発想・企画術
第3章 「引き出し」と「裏切り」の企画術
第4章 相手に「YES」と言わせるプレゼンテーション術
第5章 感性と知性を磨きあげる勉強術
第6章 知的生活のための情報整理術
第7章 発想・企画のセンスを磨く恋愛術
第8章 信頼と人脈を広げる「つきあい」術
第9章 ツキを味方にする企画・発想術

本記事で扱っていくポイントは以下です。


1. 企画の基本

一番はじめに述べられているのは、自信を持てということです。企画とはそもそも正解のない仕事であり、企画する際に自分以外信じられるものがないのです。これはどの仕事にも当てはまることですね。
以下、企画の基本です。

企画はこだわり・思いつきから生まれる
どんな大きな企画でも、最初の種は小さな記憶やこだわり、気付きから生まれてくるもので、それを大きく育てているのです。ここでは、苺の季節に苺の香りのお茶を出すという例が出されています。

プロデューサーたれ
アーティスト的な観察眼ではなく、プロデューサー的な観察眼・状況判断が必要です。「求められているものは何か?」と考え、そこから何かを作ったり、指示を与えたりするのがプロデューサーです。アーティストは逆に自分が作りたいものを作るという視点なので、それが世の中にうけるかどうかという視点は入っていません。

専門性・得意分野を持つ
ビジネスマンの基本は人付き合いです。そして人付き合いは自分の専門性によって深度が異なります。自分の専門性は自分の興味の対象や得意分野で決まってきます。ここでは記憶に残る幕の内弁当はないと述べられていますが、薄く広くのタイプは印象に残らないですね。

負の要素を持つ
意外かもしれませんが、自分の苦手分野を持つということも大事です。どんなに素晴らしい企画でも、必ず負の部分は存在するので、あえてそれを言って得意分野を際立たせる方が重要です。

日常からはみ出す
日常のルーティンから外れるというのは基本です。喫茶店で知らないメニューを頼む、違う道を歩くなど、抜きん出るためには同じ日常のリズムからどうはみ出していくかということ非常に大事になります。

武器を探す
武器を探す=「自分なら何で勝てるかを知る」ということです。武器は笑顔が素敵かもしれませんし、我慢強い、裏切らないかもしれません。自分はどうすれば勝てるのかというのを自分自身の中に探すことが大切です。

2. 企画・発想術

そもそも発想には2つの方法があります。
1つは机上で考える発想で、もう1つは街に出てからの発想です。

机上で考える発想は「モグラ叩き」と述べられていて、「〇〇のための企画を作る」といったゴールがあり、上のプロデューサー的視点が使われます。

本著の中では、

人と違うところに種を蒔く
時代はケーキ
「あの」がつくもの
予定調和をくずす

と表現されています。一つずつ見ていくと、

人と違うところに種を蒔く
「歴史は繰り返す」という基本の下、どこに種を蒔くかというのを考慮します。当たり前ですが、流行ったものの後追いでは優れた発想にはならず、今流行っているもの、かつ、世の中には反動があるという知識・前提の上に、世の中に受けそうなものを先回りして作らなければならないということですね。

時代はケーキ
世の中で流行るもののベースは同じだということです。ケーキはたくさんの種類がありますが、基本的には三角の形、上にはデコレーション、下はスポンジケーキというベースの構造は共通しています。企画を考える際には、「デコレーション」と「スポンジ」はどう変化していくか?と考えるのが原点になります。

「あの」がつくもの
「あの」コギャルの神様、「あの」モノマネしてるニューハーフ、「あの」節約生活対決。
ヒットする時は必ず、一言で言える「あの」が付きます。逆に企画視点では、どうやって「あの」を作り出すかが大切なポイントです。秋元氏の場合は売る対象物を思い浮かべてから、「あの」を考えまわすそうです。

予定調和をくずす
勝てる企画は、どう裏切っていくかが常に大事です。誰もが考えるような企画からは新しいものは生まれません。「セーラー服」ならおそらくこう来るだろうと予想される時、どれだけ違うモグラを出していけるかが発想して面白く、勝てる発想術です。

次に街に出てからの発想です。
こちらは普段の生活の中で、自分のフィルターを通して、どれだけ面白いものをインプットし、蓄積しておけるかに関してです。

そもそも、街の中にはたくさんのものがあり、その中から面白いものに気づくかどうかが一番の鍵です。そのためには、意識的に街を観察する、興味を持つ、見てみるといったように行動に移していかねければなりません。同じ街を歩くにしても、その景色をどれだけ目に入れられるか、面白いものに気づいて蓄積していけるかが、発想の豊かさにつながります。その蓄積したものを組み合わせていくというのが企画というわけです。

秋元氏の例では、「アメリカになぜガムシロップがないのか?」「ニューヨークの工事現場の塀にはなぜ穴が空いているのか」「ニューヨークのミュージカルでは開演の合図をシャンデリアの点灯で合図する」「ネギはそもそも万能なのになぜ万能とついているのか」といった例が紹介されています。

僕の理解した中では、ヒットする企画というのは時代の流れにあっていて、根本が優れており、キャッチーであるという要件を満たしています。
「時代がこうなる」という読みの下に、先回りしてリリースする感覚です。
時代の流れを読むというのは、マーケティング的&プロデューサー的視点です。上の「人と違うところに種を蒔く」「時代はケーキ」というのが当てはまります。

根本が優れているというのは、面白いものを作るということですね。時代が違っても、ヒットするものは根本が共通しています。これを秋元氏はカルピスの原液と表現していますね。これは人々の蓄積してきた面白いものの組み合わせによって生まれます。

キャッチーというのもセールス的・プロデューサー的視点です。時代のニーズに合うような対象物を人々の心に刺さるようなキャッチフレーズで売り込むことでヒットにつながります。

3. 勉強・情報整理術

ヒットする企画はユニークな価値ある情報から生まれます。

では、そもそも価値ある情報とはどういう情報のことを言うのでしょうか。
秋元氏によると、価値ある情報は「混沌としている整理できない、自分だけが面白いと思っている情報のこと」です。誰もが知っている情報は知識であり、価値はありません。

これを言語化すると、整理はされていないけれど、何か自分の面白いフィルターに引っかかって頭の中に蓄積されている情報となるでしょう。

これは先ほどの「万能ネギ」や「ニューヨークの工事現場の塀の穴」と言ったものです。

企画はこのような無数の、自分の面白いフィルターに引っかかった情報の組み合わせでできるものなのです。

では、このような状態をどのように作り出すことができるのでしょうか?
以下がポイントです。

専門・得意分野を持つ
勉強と身構えない
他人が捨てた情報に目を向ける
独断と偏見を意識する
整理できない情報こそ重要
ツールに踊らされない
時代の最先端にいる必要はない
何を捨てるかを考える


専門・得意分野を持つ
上でも出てきましたが、勉強の方向性と深度が重要です。ある分野に詳しければ、他の人に教えてあげることもでき、武器を作ることができます。

勉強と身構えない
勉強すると身構えるのではなく、普段の生活の中でアンテナを高く張っておき、吸収していく姿勢が重要です。勉強と身構えて、他の人と同じ情報を仕入れていても、それは知識に過ぎず、価値はありません。

他人が捨てた情報に目を向ける
逆にどんな情報を自分は持てば良いのかについてですが、他人が捨てた情報の中で、自分なりの読み方で面白いと思うものです。ここでも情報は整理する必要はなく、自分なりの解釈で面白いと思うものをピックアップすることで、アイデアが出やすい脳の状態にすることができます。

独断と偏見を意識する
上の項目とも重複しますが、情報は自分なりの読み方・面白いと思うものをピックアップするのが重要です。同じものを見ても、そこからどういう気付きを得るか、どういうフィルターをかけるかは完全に自分の独断と偏見によって良いのです。

整理できない情報こそ重要
これはなかなか理解が難しいかもしれませんが、価値ある情報は自分が面白いと思って頭に蓄積したもので、それは混沌としたまま「原石」として頭に蓄積されます。それが企画立案やアイデア出しの時に、何かの引っ掛かりで出てくるのです。その整理されていない情報をどう磨いていくかは、その人の感性によるところです。

ツールに踊らされない
カルピスの原液にも似ていますが、重要なのはツールではなく、面白いものを作るということです。ツールが面白いものを作るわけではないですね。

時代の最先端にいる必要はない
何か最先端の情報を取得していないと競争に関わる仕事の人以外、情報の最先端にいる必要はありません。情報の最先端には熱があり、それは人々を惑わせます。大事なのはそのねつに踊らされず、根本的に何が大事なのかを見極めることです。

何を捨てるかを考える
一番上の専門・得意分野を持つと表裏一体ですね。全てに詳しくということはありません。専門分野を持つために何かを捨てるという表現の方が正しいかもしれませんね。

オリジナル記事はこちらからご覧ください。
企画脳

また、この本のトップハイライトは以下のリンクよりご覧ください。

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