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ライト兄弟 イノベーション・マインドの力 - 感想・引用

著者プロフィール: デヴィッド・マカルー
作家、歴史家。1933 年、ピッツバーグ生まれ。イェール大学卒業後、スポーツ ・イラストレイテッド誌、アメリカン・ヘリテージ誌で編集に携わる。Truman(1992)とJohn Adams( 2001)で二度のピュリツァー賞受賞。The Path Between the Seas(邦訳『海と海をつなぐ道- パナマ運河建設史』鈴木主税訳・フジ出版社)とMornings on Horseback で二度の全米図書賞受賞。2006 年には大統領自由勲章を授与された。

ライト兄弟 イノベーション・マインドの力 Kindle版

今回の記事は、「ライトフライヤー号」で有人動力飛行に初めて成功したライト兄弟の伝記です。

この記事では、本の要約をするのではなく、輪読会を行うにあたり、私が読んだ感想や本からの学び、一部引用を紹介するものです。輪読会用のメモなので、一般的な記事のようにきちんと整理されているわけではないのでご了承ください。

感想

  • 信念は非常に大事なのだなと考えさせられた本だった。

    • お金や環境、常識、サポートなど、いろいろな理由を述べる人はいるし、そういうサポートがあるからこそできるという人はいるが、何にもまして大事なのは意志なのだろうなと思った。

    • ライト兄弟は、飛行機械も自前で作ったし、財政的な支援を受けたわけではない。

    • それでも、できると信じて最終的にやり遂げたのはすごいなと思う。

    • 重力に反して空を飛ぶというのは、感覚的にも一番、難しそうと思う、直感に反する行為なので、すごいなと。

  • 技術・環境・マインドの発展・革新

    • リリアンタールが与えた影響は大きい。

      • これで空を飛ぶというのが、そこまで夢物語ではないのではないか?と人々が信じるようになったのだと思う。

    • 動力源としてエンジンが出てきているのも大きい。

    • 飛行船がすでに実用化されているのも大きい。

    • 空を動力源を使って自由に飛ぶというのは、本当に実現可能とは思えないが、上で述べた技術革新やマインドのアップデートによって、できるのではないか?と思えてくる。

    • アイデアはやっぱりConnecting dotsしているだけだなと思うし、それらの技術や事例がきちんとシェアされる世界というのは素晴らしいと思う。

  • ディスカッション・パートナーは大事。

    • 各自がベストを尽くすというのは大前提だが、違う視点や考え方、別のアイデアが組み合わさったAuf hevenすることによって、新しいもの・やり方というのが出てくる。

  • 習慣

    • この時代の人たちは日記を取るのが普通なのだろうか?

    • とてもマメにつけていたというのがわかる。

    • 振り返るという習慣は大事なんだろうな。

  • 成功した後の話

    • メディア対応はやっぱり大変なのだろうなと。

    • キャサリンは上手だったけど、兄弟はどちらもあまり。

    • 本業以外にメディア等の対応をしなければならないというのは、湯川先生を思い出した。

    • オーヴィルの遺産は現代価値で1000万ドル程度。

      • やはりお金が目的ではなかったんだろうなというのがわかる。

    • 「世界に永遠の平和をもたらすものをどうしても発明してみたかった。しかし、私たちはまちがっていた。(略) 私は誰よりも飛行機がもたらした破滅を嘆いているが、少なくとも自分が飛行機を発明したこと自体はまったく悔いていない。飛行機とはまさしく火のようなものなのだろう。火がもたらした恐ろしい破壊はことごとく恨むが、人類にとって火を使うことを見出したのは誠にすばらしいことであり、この発見を通じてわれわれは何千、何万という火の重要な使い道を学んだ。」

      • 火を発見したというのは良い表現。

  • アメリカン・スピリットを体現しているような人物。

    • 開拓者精神がすごい。

    • 愛国精神もあるなと思った。


引用

ウィルバーの集中力は激しく、いささか尋常ではないと感じる者もいたぐらいだ。本人は周囲から自分を切り離すことができたのである。

商売で成功する者とは、つねに自分の利益を念頭に置いた積極的な人間です(とウィルバーは書いている)。商売は形を変えた戦争にほかならず、その戦争において闘士は商売敵から相手の利益を奪いとるためにしのぎを削ると同時に、すでに自分が勝ち得たものを守り通さなくてはなりません。

飛翔する鳥の観察を通じて、鳥はもっと「決定的で効果的な方法で均衡を得て」おり、それは操縦者が体位を変えることで機の重心を調整するような方法ではないとウィルバーは確信していた。そして、鳥は翼の先端の角度で調整しているのではないか、そのために片方の翼の先端の角度をあげたり、もう一方の翼の角度を下げたりしているのではないかと考えるようになっていた。つまり鳥のバランスとは「体重を移動させるのではなく、空気に対する動的な反応を利用」することで制御されているのだ。

理想的なキャンバー、すなわち前縁から後縁までの望ましい曲面は、重力に反して翼に最大の揚力を与えられる。兄弟がこれほど手こずっているキャンバーの比率は一二対一、二人が基準にしたこの比率はリリエンタールの推奨値に基づいていた。その一方で昨年のグライダー1号で兄弟は二二対一のキャンバーを使っていた。

この返事に、では年間一万ドルの資金を提供しようという富豪がいたらどうだろうとシャヌートはもちかけ、アンドリュー・カーネギーとは面識があると書き添えた。「紹介状を書いてさしあげられるが 33」という申し出に、ウィルバーは差し障りなく断った。

エンジン以上に厄介な問題になっていたのがプロペラの開発である。「プロペラこそ、ウィルバーとオーヴィルが悪戦苦闘した一番の難問だったと思う。プロペラの開発について、兄弟はそれにふさわしい十分な評価を得ていない」とテイラーは後年発言している。

オーヴィルの証言に残るように、飛行は「きわめて不安定だった」。上昇したかと思えば下降して、ふたたび上に向かっている。乗り手を振り落とそうと跳ねる野生の子馬のようにフライヤー号は急上昇と急降下を繰り返すと、片方の翼が砂地に触れた。飛行距離は一二〇フィート(三六・六メートル)、フットボールの競技場の半分にも満たなかった。飛行時間は約一二秒だった。

ウィルバー・ライトとオーヴィル・ライトは、独自に製作した機械で人間は空を飛べる事実を明らかにした。その事実に世界はまだ気づいていないとしても、二人は確かにやり遂げていたのだ。

オーヴィルは、巨大な爆撃がもたらした第二次世界大戦の禍々しい死と破壊を見届けるまで生き永らえたが、生前に受けたインタビューで、自分と兄ウィルバーの思いを必死になって伝えようとしたことが何度かあった。

世界に永遠の平和をもたらすものをどうしても発明してみたかった。しかし、私たちはまちがっていた。(略) 私は誰よりも飛行機がもたらした破滅を嘆いているが、少なくとも自分が飛行機を発明したこと自体はまったく悔いていない。飛行機とはまさしく火のようなものなのだろう。火がもたらした恐ろしい破壊はことごとく恨むが、人類にとって火を使うことを見出したのは誠にすばらしいことであり、この発見を通じてわれわれは何千、何万という火の重要な使い道を学んだ。

投じた労働に対する一番の配当はいつも変わらず、これまで以上に実力がつくことよりも、さらに深く知りたいと思うようになることでもたらされた。

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