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ターゲット顧客の効用から始める【商品コンセプトのつくり方】

ビジネスのリスクを減らして、大きく成長させるためには、小さく始めて大きく育てる方法が有効です。

そのために2段階の目標を設定します。

  • 第1段階の目標:小さな市場でシェアトップになる

  • 第2段階の目標:大きな市場でシェアトップになる

2つの目標を達成する方法は異なります。それぞれの目標に対して効果的な方法があります。

この記事では、第1段階の目標(小さな市場でシェアトップになる)を達成するための方法を解説します。

第1段階の目標を達成するための方法

次の手順で行います。

  1. ターゲット顧客を設定する

  2. ターゲット顧客へのコンセプトモデルをつくる

2つの手順を順に解説します。

ターゲット顧客の設定

ドラッカーの『イノベーションと企業家精神』では、イノベーションを成功させる条件として、次の点があげられています。(参考文献1)

  • 大がかりではなく、小さくスタートする

  • 限定された市場を対象とする小さな事業としてスタートする

「限定された市場を対象とする」とするためには、市場を細分化(マーケット・セグメンテーション)する必要があります。

そのためにターゲット顧客(狙う顧客)を設定します。つまり、ビジネスの対象を絞り込みます。

ターゲット顧客へのコンセプトモデル

次に、ターゲット顧客に対する商品コンセプトをつくります。

具体的には、次のようなコンセプトモデルをつくります。

図1.コンセプトモデル

コンセプトモデルとは、概念(コンセプト)を表すためのモデルです。これからつくろうとする製品のイメージ見える化することができます。

ターゲット顧客に対して、「どのような機能を用いて、どのような効用を提供するか」を図で示します。

コンセプトモデルをつくることで、これから開発しようとする製品の「ターゲット顧客・機能・効用」一目でわかり、開発メンバーや関連部署の方々に共有してもらいやすくなります。

次にコンセプトモデルのつくり方を解説します。

コンセプトモデルのつくりかた

ここでは、次のような仮想の例を使います。

  • コンセプトモデルの作成者:自社のフィルター技術を使った製品(空気清浄機)を開発したいと考えている事業者

まずターゲット顧客を設定します。ここでは、次のように設定します。

  • ターゲット顧客:(一般家庭での)部屋のほこり花粉などを気にする人々

図2.ターゲット顧客の設定

次にターゲット顧客に向けて、どのような効用を提供するかを考えます。

ここでは、空気中のほこりや花粉などを取り除いて、きれいにした安全な空間という効用を提供することにします。

図3.効用の設定

次にシステムを設定します。システムは空気清浄機にします。

図4.システムの設定

最後にシステムの主要機能対象物を設定します。

「安全な空間」という効用を提供するために「どの対象物に、どのような機能を働かせるか」を考えます。

ここでは、「部屋の空気をきれいにする」ことで「安全な空間」を提供することを考えます。

その場合は、次の図のように主要機能と対象物を設定することができます。

図5.主要機能と対象物を設定
  • 主要機能:きれいにする

  • 対象物:部屋の空気

以上で「コンセプトモデルの作り方」の解説は終了です。次のようなコンセプトモデルを作成しました。

図6.作成したコンセプトモデル

最後に、作成したコンセプトモデルを検証してみましょう。

コンセプトモデルを検証する

コンセプトモデルの効用が「ターゲット顧客を満足させることができるか」を考えます。

ターゲット顧客の観点で、提供される効用に対して次の質問の答えを考えます。

  • 自分が顧客なら、その効用に満足するか?

  • お金を払っても、その効用が必要か?

答えがYESなら、コンセプトモデルのターゲット顧客の上側に「満足」と記入します。

図7.ターゲット顧客の満足

上図のように、効用がターゲット顧客を満足させることができれば、その顧客から代金を支払ってもらうことができます。

図7.ターゲット顧客の満足と代金

ターゲット顧客の満足度が高ければ、口コミやSNSを通じて市場シェアの拡大が期待できます。

第1段階の目標は「小さな市場でシェアトップになる」です。この目標を達成するためには、顧客の満足度をより高める必要があります。

シェアトップになるためには、ライバルとの競争に勝つことも必要です。そのためにはライバル製品に対する優位性をつくり出すことが必要です。

この点については、別の記事で解説します。

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参考文献

  1. P.F.ドラッカー『イノベーションと企業家精神【エッセンシャル版】』の「第11章 イノベーションの原理」

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