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寿命を意識するお年頃

人生5度目の年女、今年還暦。
今までも、年齢の節目節目でそれなりの感慨があった気がするけど、圧倒的に違います。それは、寿命を意識すること。死がそう遠くない未来に訪れることのリアル。
とは言っても、傍目には淡々と暢気に生きてるようにしか見えないだろうけどね。
心の揺れは自分以外誰も知らない。人ってつくづく一人ひとりが完全無欠の孤独。
「人生はあっという間、後悔しないように」などと若い人に説く気はない。若いときは自分の寿命なんて考えないし(考えないで!)、誰でもそんな意識と関係なく、そのときどきの最善を生きている。悔いが残って我慢ならないときは、いつからだって何らかの軌道修正をはかっていくだろうし。
人生にある無数の選択には複雑な要素が絡み合う。様々なリスクや自分の性格や回りの状況や…各々まったく違う、一人ひとりの人生。
そして皆、やがては必ず、死ぬ。
小学生の頃、夜、布団のなかで死を考えてしまい怖かった…そういう経験者多いと思うけど、還暦でまた、あのときの気分がやってくるんですよ。どんなに、これまでの数十年で、知性や哲学的考えが身に付いたところで、死はやっぱり怖いです。
でも…生きていくのも大変だしな。適度なところで生が終わりになるのは、生きられる希望でもあるんだろうな…と考えるのはやはり年の功。
今の時代、高齢者といえば経済的な心配がつきものになった。「年とってから、足りるかなとお金数える生活はしたくないねえ」…とある60代の方の声。私たちが身近で見てきた高齢者とは、まったく違った生活にこれからなっていくんだろうな。死ぬまで働け自助努力で頑張れ、の圧力を思うと、ため息でるけどきっとどうにかなる…と信じて、死ぬまで生きるしかない。
さて、今年から始まる私の60代の10年、何をするか。たぶん健康に動ける最後となるであろう、貴重な10年。“時間を持っている”って贅沢だったんだ、と年を取るとしみじみわかる。若いときに戻りたくはないけれども。
「若いころは体は自由だけど心が不自由、年を取ると心は自由だけど体が不自由」by樹村みのりの菜の花シリーズの漫画より。ほんと、名言です。
年を取ると心が自由になるのは真実。その点は安心して、と若者に伝えたい。
自分が存在する重みとかけがえのなさ…をこんなにずっしり感じるのは、生まれて初めてのこと。こういう“初めて”が、死ぬまでまだまだたくさんあるんだろうな。

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