見出し画像

ラジオとマンガ、「想像のメディア」の親和性

ラジオは「想像のメディア」とよく言われます。
その通りで、知っているアーティストや芸能人がパーソナリティでも、その日にどんな気持ちで、どんな状況で喋るのか知りたい。姿を知らないパーソナリティであれば、どんな人が喋っているのか気になる。

今は番組単位でSNSを活用しているので、全く姿が分からないということはありません。TwitterやYouTubeなどの活用で、音声以外に映像も加わるという時も出てきました。
それでも、基本的には音声のみで楽しむメディアだからこそ、その日の格好や、テンションとか。喋ったり、笑ったりするところを想像しながら聴くのが楽しくて、大きな魅力の一つです。

自分は、マンガも想像のメディアのひとつだなと思っています。姿や情景は絵があるし、喋っている言葉は字で見える。それでも、フルカラーのマンガでなければ、どんな色味なのかなとか、動きがついたらどうなるのかなとか。
アニメ化するとしたらどんな声になるんだろうとか、果ては作者はどんな人なのかとか。作品やストーリー以外の部分を想像したくなる、そんなメディアじゃないでしょうか。

そんなことを言い出すと、大抵全部が想像のメディアなんじゃないかと言われそうですが。基本的に、明らかに欠けている(という言い方でいいのかわからないですが)部分があると、その部分を想像したくなるのかもしれません。
それを強く感じるのがラジオだったり、自分にとってはマンガもそうなのかもしれないです。

つい最近、読み終えたマンガがありました。
『茶トラのやっちゃん』という作品です。

とても面白く、可愛い。癒やされる作品でした。
と同時に、作者の類さんはどんな方なのだろうと。Twitterには猫のやっちゃんやちーちゃんの姿は載るのですが、類さんは載らないので、イラストから想像するだけでした。

そんな類さんがラジオに出演されるというので、そのラジオを聴いてみました。
「simple style -オヒルノオト-」という番組です。

イラストからは、可愛らしい、ちょっとおっとりした感じの声を勝手に想像していたのですが。
第一声を聴いて、ハキハキした声に驚き。「はっ、こんな声の方なんだ・・・・・・!」と、(あくまで自分の中の)ギャップにちょっと嬉しくなったり。
トークの内容は、マンガのことを中心に、類さんの生活の変化や、猫と暮らす際のアドバイス等でした。

トークの合間にかかった曲が、倉橋ヨエコさんの「アンドーナツ」という曲で。これを番組側が選曲しているのだったら、よくマンガ読んでるなとちょっと感激していたのですが(マンガにそういう場面が出てきます)。
これについては類さんからのリクエストだそうで。

改めて歌詞を確認してみたのですが、やっちゃんやちーちゃんと生活している中で重なる箇所があるのだろうなと。
そういうところからも、やっちゃん・ちーちゃんのことを好きな気持ちが垣間見られる、素敵な放送でした。


ラジオやマンガは、もちろん放送自体・作品自体がとても面白い。それに加えて、「どうなんだろうな」と同時に考える余地が多い。それが「想像のメディア」の良さなのだと思います。

何とかしてもっと知りたいなと思う部分もある。けれど、想像しながら楽しみ続けたい気持ちもある。自分だけですかね・・・・・・、そういうややこしい、ちょっと面倒くさいくらいの気持ちを持っているのは。

だからこうやって、マンガの作者さんがラジオに出てくれるのは、ものすごく嬉しいです。ラジオとマンガが大好きというのが根底にはあるのですが、好きなものへの解像度が上がる感じ。輪郭が濃くなると言うか。でも想像しながら楽しむ部分は残っていて。親和性が絶妙だなと思っているんです。

ラジオとマンガ、想像するメディア同士のミックス、大好きだな。と、放送を聴いて改めて感じました。

(「simple style -オヒルノオト-」は全国ネットの放送です)




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?