見出し画像

さくっとブルーズギターの歴史 其の四

イギリスの侵略

1964年にビートルズやアニマルズ、ローリングストーンズ、ザ・フーなどイギリス産バンドがアメリカへ進出、次々に成功を収めていきます。この出来事はBritish Invasion(イギリスの侵略)と呼ばれました。

この時アニマルズのチャス・チャンドラーは当時まだ無名だったJimi Hendrix(ジミヘンドリクス)のことを知り、「今イギリスに来ればすぐヒーローになれるよ!」と渡英を促します。ちなみに、チャス・チャンドラーがジミの存在を知ったのはキース・リチャーズの恋人だったリンダ・キースからの情報だったのは映画JIMI 栄光への軌跡でも描かれている有名な話

最初は迷ったジミでしたが「アメリカにいてもどうせ売れないし、いいや行っちゃおう!」ってことでイギリスへ渡るやいなや、聴衆は目の前で未知のギタープレイを見せるジミに圧倒され、エリック・クラプトンジェフ・ベックなど当時すでに凄腕と言われたギタリスト達から賞賛を浴びるなどして一気にスターダムへ駆けあがっていくのです。

ちなみに漏れなくこの時代に日本でもエレキブームが来ます。そのきっかけとなったバンドがザ・ベンチャーズですね。音楽好きなら一度は耳にしたことがあるはずのテケテケサウンドという言葉は、ベンチャーズのPipe Lineという曲の中でエレキギターによって表現されている奏法のことを呼びます。妖怪のことを指しているワケじゃないのでお間違えのないよう。

多種多様なロックの誕生

僕が彦摩呂だったらうわあ、音楽の宝石箱や~とつい口に出てしまう60年代の音楽事情。

1960年代後半からロックミュージックは世界の至る所で認知されていき、それぞれの人種や文化、地域の特色などを取り入れ、あらゆる場所で自由な形態を成して、数多くのジャンルが生み出されていきます。

その名でも取り分け有名なジャンルを挙げてみます。

ヒッピームーブメントやカウンターカルチャーをきっかけに生まれたサイケデリックロック。プロテスト精神を孕むロックと視覚的なアート要素を含んでいるのが特徴でジミ・ヘンドリクス、グレイトフル・デッド、ジェファーソン・エアプレインなどが有名。ビートルズローリング・ストーンズ、ピンクフロイド、他にも多数のバンドがここにジャンル分けされる時期があるほど影響を及ぼしました。

従来の音楽とは一線を課した非常に前衛的、革新的なロックとして評価の高いプログレッシブ・ロック。どちらかというとクラシック音楽の要素が強く、ブルーズ感はさほど感じ得ない曲が大半ですが、ロック全盛期に現れた時代背景やエレキギターを用いたバンドスタイルという点を見れば、少なからずブルーズのルーツは継承していると言っていいでしょう。大半が5分以上の長尺でなおかつ複雑に構成された楽曲が多く、高い演奏技術も特徴。世に知られているバンドの数も非常に多いのですが、キング・クリムゾン、ピンク・フロイド、 イエス、ジェネシス、エマーソン・レイク&パーマー(EL&P)が特に有名。

この2つはフォークミュージックやブルーズロックから派生していった、多々あるロックミュージックの中でもかなり異質のものだったのではないかと感じています。

その裏で黒人起源の純粋なブルーズミュージックは変わらず存在していたわけですが、時代の流れに取り残されていました。しかしそのルーツを強く引き継いで、新たなブルーズロックとして進化したジャンルもあります。(ちなみにイギリスでは60年代後半に純粋なブルーズが一般的に流行したそうな)

ピュアなブルーズミュージックを基盤にカントリーやブギーの要素を取り入れたサウンドが特徴的なサザンロックや、前述と同じ要素を用いながらエレキギターの音を激しく歪ませることで、よりラウド感を強調したハードロックは正統的なブルーズロックからの派生ジャンルという位置づけになります。この辺りはまた後ほど詳しく取り上げてみたいと思います。

ロックミュージックは60年代前半のブルーズロック誕生を皮切りに様々なスタイルへ派生していきました。文化や芸術的要素だけに留まらず、不満や欲求、喜怒哀楽など本能的部分も含め惜しみなく表現されていったことで似て非なるロックが次々に生まれた時代だったのです。

また、LPレコードやテープレコーダーが一般的に普及し始めたことでより多くの音楽をより多くの人へ届けられるようになった頃でもあります。これもポピュラー音楽の発展における大きなきっかけのひとつでした。

その時代にもし僕が彦摩呂として生きていたら音楽のIT革命や~って言ってしまっていたことでしょう。

ビートルズのブルーズ

少しだけビートルズの話をさせてください。ビートルズもアルバム毎に作風が異なる時期があるのですが、それも解散までの5年ほどが特に顕著で、ファンやリスナーからは初期~中期~後期と分別されています。

現在もビートルズの話題となると、大抵「どのアルバムが一番か論争」なるものが起こるのですが、こういった議論はそれぞれの好みが出るのでなかなか面白いです。

ちなみに僕の推しメン(アルバム)はサイケデリック・ロック(ポップと言われることも)に分類される時期と言われているリボルバー(1966年)ですかね。曲単体で言うとアルバムがバラバラになりますが。

ビートルズのブルーズといえば、ホワイトアルバム(1968年)に収録されているYer Bluesが印象的です。この曲はエピソードも含めて個人的にお気に入りのひとつ。

この曲のエピソードはなかなか面白いので、解説しているサイトの記事を貼らせていただきます。

ビートルズの中でもジョージ・ハリスン派だった僕も、年を重ねるにつれジョン・レノンええな。となっていくのでした...

其の五へ続く…


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?