さくっとブルーズギターの歴史 其の二
ロックンロールの誕生
1950年代に黒人ミュージシャンによってブルーズがアメリカ各都市に広まり始めた背景で絶大な人気を得ていたのがロックンロールです。日本人にロックンロールといえば誰?と聴くと、きっと今の世代の方は首を傾げてしまうでしょう。浮かんだとしてもElvis Presley(エルヴィス・プレスリー)の名前がやっと出てくるくらいかもしれません。
ブルーズと比較するとやはり白人比率が高いのは否めませんが、元々は黒人音楽であるブルーズやゴスペル、R&B(リズムアンドブルーズ)などと白人音楽のC&W(カントリーアンドウエスタン)やブルーグラスなどが融合して産まれたジャンル。もちろん黒人ミュージシャンもその名を歴史に刻んでいます。
ロックンロールの創生者と言われる人物
ロックギターの産みの親と言われるChuck Berry
ピアノをかき鳴らして高らかに歌うLittle Richard(2020年5月9日逝去。R.I.P)
特徴的な歌い方でリズミカルに音を遊ぶFats Domino
望まぬ影響が強すぎるものは抑え込まれる
黒いロックンロール(黒人のロックンロール)はいずれも今までにない独特なスタイルとド派手なパフォーマンスで聴衆を惹きつけました。特にティーンエイジャーからの支持が多かったと言われています。若者にとっては肌の色が違えどカッコよければそれが正義でしょうから納得です。
黒人起源の要素を多く含んだ音楽が白人に受け入られ陽の目を浴びたことは、深刻な人種問題を孕んだ時代において歴史が動いた瞬間だったとも言えるでしょう。
ほどなくして1961年にBob Dylan、Beach Boysがデビュー。いずれも50年代ロックンロールに影響を受けていたため、初期の曲を聴くとそのエピソードを肌身に感じられます。個人的にはボブディランもビーチボーイズも初期の曲がドンズバでハマります。でもそれは時代背景を知っていながら曲を聴くとつい感傷的になってしまうってのもあります。
そして1962年、イギリスでThe Beatlesがデビューします。
Eddie CochranのTwenty Flight Rockは、ビートルズのポール・マッカートニーがジョン・レノンに初めて会ったときに歌って聴かせた曲と言われてます。
音楽×エンターテイメントとして今までにないジャンルを確立し、人気を博したロックンロールでしたが、黒人ルーツの音楽がアメリカに蔓延ることを危惧したレイシストの手によって半ば計画的に衰退させられていきます。(真意は定かではないってことにしてるらしいけど、主要ミュージシャンのほとんどが数年の間に失踪・事故死・逮捕などで姿を消していてもう明らかにおかしい)
また、次第に明るみになったビジネスライクな面が聴衆の嫌悪を誘ったのもあったり、あんなに楽しくて愉快なロックンロールが燃え盛って消えゆくまでわずか数年足らずでした!えーん!なんでや!
ブルーズ、海を渡る
さて、その頃ブルーズはというと海を渡っていました。これまで作られてきた数多くのブルーズのレコードをイギリスが輸入したのをきっかけに白人の若者の間でブルーズブームが巻き起こります。
そしてブルーズはイギリスのミュージシャンの音楽感によって新しいものへ様変わりしていきます。黒人音楽であったブルーズに西欧音楽・民俗音楽の旋律や構成を交えた結果、泥臭くパワフルでありながらも、叙情的で繊細さも兼ね備えた音楽へと変貌を遂げるのです。
新しさを際立たせる大きな要素が、当時イギリスで爆発的な人気を博したエレキギターの存在でした。従来の模倣に留まらず、極めて音楽に寄り添う演奏を実践していった結果、卓越した技術を持つギタリストがフィーチャーされるきっかけとなり得たわけです。
Eric Clapton
Peter Green
Keith Richards
時は1960年代。場所はイギリス。このシチュエーションでブルーズロックという新しい音楽が誕生したことになります。こりゃたまらんぜよ。
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