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中国生活で感じたこと♯17(コロナの現況)

今日は私の住んでいる中国について、備忘がてら現況をまとめてみます。

1.全人代の開催の決定

5月22日に全人代の開催が決まりました。全人代とは全国人民代表大会の略で、年一回、約10日間行われる会議で、日本でいえば国会にあたります。中国の憲法上、最高の国家権力機関と定められています。各地域や軍の代表など、約3千人が集まる非常に大規模な会議で、中国において最も重要なイベントの一つです(映画スターウォーズ内で、ジャージャービンクスの部族など、色とりどりの衣装を身にまとった各惑星や地域の代表が集まる会議がありますが、あれも全人代がモデルになっていると聞いたことがあります)。

元々3月に開催される予定でしたが、コロナの影響で延期されており、収束したといえる段階になったら開催されるといわれていました。当初は4月中に開催されるのでは?と予想されていましたが、最終的に5月に決まりました。なお全人代が開催される北京は、首都であることもあり、他の地域よりも厳重な防疫対策が打たれ、国際フライトの受け入れも早々に停止されました。
この会議が一つの区切りとして、何らかのメッセージが発せられるのではないかと思います。

2.新規感染者の大半は中国外からの帰国者

中国は他の国と同様に、事実上の鎖国政策が取られており、入国できるのは帰国する中国人、外交官などに限定されています(それにより、4月の人事異動のタイミングで、日系企業の駐在員が赴任できない事態も発生しています)。毎日新規感染者に関する情報(国籍、渡航先など)が公開されていますが、その大半が海外からの帰国者、特にアメリカ、イギリス、ロシアからの帰国者に感染者数が多い状況です。中国は世界各地に100万人以上の留学生を派出しており、彼、彼女らの帰国も多いようです(日本では海外から帰国する日本人に対しても、渡航を制限しろ、という声がありますが、それは中国でもやっていません)。

上記の帰国者(輸入症例)以外では、香港に隣接している広州、ロシアとの国境付近にある黒龍江省およびハルビンでは感染例が確認され、問題になっています。ハルビンでは5月2日から一部形態の飲食店の営業が停止など、すこし緊迫した雰囲気があります。

3.街中の状況

私が住んでいる上海は、おおよそ平時の雰囲気にもどりつつあります。ただし、マスクを付けないで歩いている人は皆無ですし、食事中以外は室内でも基本的にマスクは付けっぱなしです。

また駅に入る際、店舗、ビルに入る際は確実に検温されますし、「健康アプリ」と呼ばれる、直近数週間に湖北省等の特定地域への出入りがないことなどを証明するアプリの提示が求められます(中国では、身分証番号、電話番号により個人が管理されており、公共交通機関に乗った場合、その記録が残るのです。韓国のように位置情報をフル活用しているという話はあまり聞こえてきませんが、何らかの形で使用しているかも知れません)。

この連休中、繁華街エリアも賑わっていましたし、観光地も盛り上がっているようです。それでも以前に比べれば混雑していないという印象を受けました。日本もこういったステップを踏んで徐々に平時に戻っていくのでしょう。

残念ながら閉店してしまった飲食店はちらほらあります。家賃が高いビルに入っているレストランで閉店してしまった店をたびたび見かけますし、またミシュランで取り上げられるなど、外国人客に人気があった有名店(HAKKASAN)なども閉じてしまいました。GDPにも表れていましたが、少なからず爪あとを残しています。

4.上海市のコロナ対策

基本的には、早期発見、早期隔離に重点を置いています。これは台湾、韓国も同様でしたが、一旦広がると抑え込むのが難しいため、PCR検査を実施せずとも、可能性がある人は隔離をするというのが基本戦略です。

また是非はともかくとして、24時間体制でPCR検査が行われています。日本では、確度を上げるために、CT検査などを実施したうえで、その必要性を検討したうえでPCR検査をやっているとのことですが、上海でもCT検査とPCR検査を併用しています。

クラスター対策と追跡調査の徹底。いかに早期に発見して、隔離するかという戦略に基づき、濃厚接触者探しを含め、徹底しています。上海では、この追跡調査に2,000人を投入しているというニュースがありました(この状況では夜のお店に遊びに行き、感染経路不明となることはありません)。

例えば中国では10万円の現金支給はありませんし、中国が優れていることばかりではありません(支給となったら数日で完了できそうですが)。政府の持つ権限が異なるため、日本ではマネをすることが困難なことばかりですし、国民として許容できないことも多いでしょう。それでも「自粛」を要請し、同調圧力で抑え込むやり方にも限界があるように思えてなりません。生きていくために働かなくてはならない状況に追い込まれたときに、開店している同業者を見たら、「自分も開店しないと損だ」または「抜け駆けをしやがって」という負の感情が生まれるに違いありません。そうなると自粛の取組自体が、なし崩し的に終わってしまうか、社会的な分断が生むことに繋がりかねないと思います。もう少し何とかならないものか…と思ってしまいます。

中国、韓国の取り組みについて、感情面で受け入れられない部分もあるかも知れませんが、良いものは良いとして認め、取り入れることも必要だよね、と思ったりします。

少しずつではありますが、確実に平時に戻りつつあります。それでも、省をまたぐ移動の回復は限定的です。私自身出張は、自社都合、顧客都合によりかなり制限されています。これらが今後もと通りになっていくのか、あるいは、この期間に定着したオンラインでの面談スタイルが定着していくのか等、行動変容があるのか、見極めていきたいと思っています。

ではでは。





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