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僕が彼女を駄目にするから / 映画『愛がなんだ』

※映画評じゃなく思ったことをつらつら書いただけなので悪しからず

2018.10.31
東京国際映画祭 コンペティション部門
今泉力哉監督作品『愛がなんだ / Just Only Love』観賞
公開は2019年春予定

アラサーののめり込む片想いが痛すぎるのは前提として、自己評価の低さ故に優しさと狡さと愛を越した執着とをないまぜにした絡み合いが、なんともぬるくて、苦しかった。
「彼が好き」を超え「彼になりたい」と願う彼女が最後に見せた姿に唖然としつつ、ある意味一貫してて羨ましくもなりました。

あらすじはこちらから
https://2018.tiff-jp.net/ja/lineup/film/31CMP09


あらすじに触れた時からこれは死ぬなと確信していて、それはかつての私にとってのまもちゃんが一瞬六本木で働いちゃったりしていたからで、だけど私がテルちゃんのようにならなかったのはのめり込むべきじゃないと解っていたから。幸せになれないって解ってたから。

弁える、ということを意識するようになったのは幾つのときからだろうか。それが正しく弁えられているのかは別にして。

今泉監督がQ&Aで仰っていたことはまさに耳が痛く、決定的に否定をされない限り、それどころか連絡が来て/返ってきてしまう限りは離れることができない。毎週末のように時間と顔と肌を合わせて身体の距離が心の距離と勘違いしそうになって、だけど常に他の影があるのも気づいてるし、なんならそれをあえて口にする、物分かりの良い振りをする。都合の良い女は、どうでも良い女。甘やかされるのは心地が良い。お互いに。

自己評価がとめどなく低いテルちゃんは、自分を愛したくて、愛した彼になりたいと思ったのかもしれない。最後の動作、彼女は何を考えていたんだろうか。彼は33歳になるどころか未来永劫、絶対にそんなことしないのにね。とはいえ案外、先回りして気遣う彼女には物言わぬ動物が合うのかもしれないけど。

しょうもない奴の話をしながら、そのしょうもない奴に執心する自分が一番しょうもないのだと思う瞬間は結構つらいのだけど、「悪者扱いされた彼女を駄目にしてるのは僕なんだ」と涙目で言う仲原くんにはもう息をのむしかなくて。彼を"しょうもなく"たらしめてるのって私だったのか、という衝撃。でも、自分が居なくなった所でそういう人の根本は変わらないから、逃げといえば逃げだし、逃げられたことは褒められて良いことだとも思う。また会えた時に関係性が必ず変わる。良い方向に、なのかは解らないけど。

好きな人たちが観たいと言っていて、憧れのひとが観に行くのも知っていて、しつこくページを更新し続けてチケットを取ったんだけど、もうその気持ちの入れ方がテルちゃんだなって笑いそうになった。テルちゃんの愛し方は"執着"という点ではヲタクっぽい。

たぶん"普通"の恋愛をしてきたひとには全然刺さらなくて、友人知人の反応を想像してみても、物凄く共感するか「凄いね〜」って引いちゃうか、どちらかな気がする。迷えるアラサー女子たちにめちゃくちゃ薦めようと思ってます。

岸井ゆきのさんと深川麻衣さんの好演が眩しく、若葉竜也さんもこの先もっと作品を観たいと思える演技で、成田凌さんは駄目男やらせたら本当に最高だなと…そして江口のりこさん最強説が私の中で無事に更新されました。笑 あのはちゃめちゃフリーダムだけどサバサバしてて憎めない感じ、人間的な魅力が駄々漏れてて素敵でした。

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