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言の葉を喰らい吐き出して私は私になっていく

本を読まなくなったと恥じるのは、かつて散々読んでいたから。ここにすこしだけ書いています。

「言葉にする」という作業を繰り返しながら、この根底にあるのは何なのだろうとふと思う。私の書き方の下敷きになっているもの。

その言葉の多くは恐らく、歌詞に影響されている。旧くはアイドルに楽曲を提供していた作詞家さんたち、そして徐々に邦楽ロックバンドへ触手を伸ばし、音楽に乗せる言葉としての歌詞を愛するようになっていった。決められた範囲内での表現。時には英語や他の言語にも変換しながら、美しい可能性を探る。小説を読んでいると、情景描写が得意じゃないなと自覚する。そのくせ心情を様々な表現に替えられるのは、やっぱり歌詞のおかげかもしれない。


一方で、いつか、と思いながら行きそびれている場所がある。

公益財団法人松竹大谷図書館は、松竹株式会社の創立者の一人・故大谷竹次郎(1877~1969)が昭和30年(1955)に文化勲章を受章したのを記念して、昭和31年(1956)に設立した、演劇と映画の専門図書館です。
長年にわたり演劇・映画事業にたずさわってきた松竹株式会社が、収集・所蔵してきた資料を広く一般に公開し、研究者や愛好家の利用に供して、芸術文化の振興と、社会文化の向上発展に寄与することを目的として設立されました。

普段なかなかお目にかかれない映画の脚本や演劇の台本が読めるらしく、ずっと気になりつつ足を運びそびれている。耳でしか捉えられない台詞、表には出てこないト書きの情報を、目から取り入れ反芻してみたい。

例えば今年の1月には『新作歌舞伎 風の谷のナウシカ』の台本が、4月には映画『一度死んでみた』の台本が資料として加わっている。毎月の入荷はHP上の「ニューズレター」で確認できる。落ち着いたら、一度訪れてみたい。


単語は知性、使える表現が自分をあらわす。ことばがひとをつくる。喰らっては吐き出して、私という人間を、人生を、より鮮やかに彩りたいと思っている。そうやって私は私になっていくのだ。

この感覚が漫画『アクタージュ』とすこし重なる気がしたことは、また別の機会に。

#一度は行きたいあの場所


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