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いつもの匂い

忙しなく動き回る午後の6時。
20時から家を出ないといけないというのに
のんびりしていたらいつも2時間あっという間。猫のご飯と共に自分と彼のご飯。

仕事に行くのは少し憂鬱だけれど
嫌という訳でもない。
決まった笑顔で決まったセリフ、
決まった挨拶で始まり終わる。
忙しい時もあればゆっくり出来る時もある。
プライベートに踏み込んだ相手は一人もいないけれど。

仕事のことを休みの日にも考える私は
疲れているのだろうか。
涙が滲むくらい苦痛だった過去よりも仕事の方がマシではあるが、少しばかり退屈で。
同じ時間を繰り返すことを私は求めていたはずなのに何故か退屈でため息が出る。

何不自由ないこの暮らしに、仕事に。
私は何が不満なのだろうか。

彼の優しさに甘えながら私はまた仕事の支度を忙しなく進めた。

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