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事業再生プロジェクトの進め方

今日は事業再生の実際のプロジェクトのおおまかな進め方を書きたいと思います。

【再生PJの検討ステップ】
①基礎分析(前回きじの再生の初期的見極めに加え、いわゆる3C分析)
②窮境要因の分析・特定
③実力値の提示
④目指すべき姿の検討
⑤目指すべき姿実現のための施策検討
⑥クライアント企業と施策の内容のブラッシュアップ
⑦アクションプランの策定
⑧債権者の合意取り付け
⑨モニタリング・実効支援

以降、それぞれの簡単なポイントについて記載したいと思います。

①基礎分析

前回記事参照
https://note.com/kdr3/n/naf64f6db7b2c

②窮境要因の分析、特定

再生企業は課題が多い。ただ、それぞれの課題に対して個別に施策を検討しても、表面的な解決にしかならなかったり、焼け石に水だったりする。

そのためまず、「なぜこの企業は赤字に陥ったのか?その根本的な原因は何か」を検討し、根っこから改善策を打つ必要がある。

クライアント企業に課題を聞くと、現象課題(表面的に見えている課題)は多く答えていただける。その後、その現象課題を引き起こしている根源課題は何か?を社内で構造化して考え、特定していく。

③実力値の提示

ここが再生計画のかなりのポイントになる。財務DDの言葉を借りると「正常収益力」という言葉に近いのだが、このまま成り行きでいったらどんな収益力、財務状態になるかを提示する。

ここでは会社のいわゆる努力目標や希望的観測を入れず、このまま行くとこうなってしまうという絵姿を関係者と共有することにより、健全な危機意識を醸成する。

④目指すべき姿の検討

次に会社としてどのような将来像を目指すかを検討する。
まずは5年後、10年後の会社をイメージし、そこにつながる形で直近3か年の取り組みを検討する。

再生企業の場合は、金融機関が支援可能となる水準(自己資本比率や債務償還年数等)を見定め、その水準が短期的な財務目標にはなる

⑤目指すべき姿実現のための施策検討

③で実力値を、④で目指す姿を検討した後、③と④のギャップを埋めるための施策を検討することになる。

正直施策については、目指す姿からの逆算と、現状からの施策の積み上げがオーバーラップする点が多々あるが、基本的には現状から目標を定め、それを達成するための取り組みが施策という理解している

⑥クライアント企業と施策の内容のブラッシュアップ

施策について、効果額はいくらか、いつその効果が発現するかの精緻化を行う。絵にかいたモチにならないよう、現実的な数字・スケジュールを見定めていくと同時に今後のモニタリングに備え、事後検証ができるようしっかり分析することが必要である。

また、施策を実行するために投資等が必要な場合や、資産の除却・売却が必要な場合等BSのインパクトも考慮する。
※例)工場のラインを変えて、生産性を上げる施策等の場合、移設費や機械の処分損等が発生する

⑦アクションプランの策定

⑥で施策の効果額を確定させたら、それを実現するするための行動計画(アアクションプラン)を策定する。
これは具体的に誰が、いつまでに、何をするのかをかなり具体的に落とし込んでいく。ここを抽象的にしてしまうと、中々実行につながらない。

⑧債権者の合意取り付け

①~⑦を体系化するといわゆる事業再生計画になるので、本計画を説明しながら、債権者へ金融支援の合意を取り付けていく。

※金融支援とは、今後の継続融資(与信維持)、リスケ、DES、債権カット、構造改革資金の追加融資等になる。

⑨モニタリング・実行支援

⑧まではいわゆる再生計画策定支援プロジェクトであり、その後クライアントから要望があればモニタリング・実行支援を行っていく。

この実行支援については、面接等で質問される中でも、勘違いしている人がおおいので、別の記事でしっかり書きたいと思います。

以上

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