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事業再生~再生可能企業の初期的見極め~

前回に引き続き事業再生関連の記事になります。

プロの再生請負人をもってしても、どんな企業でも再生できるわけではありません。もし、再生可能性がないと思ったらプロとして断らなければいけないこともあります。

本日は、対象企業が再生可能か、初期的に見極めるポイントを書きたいと思います。

①窮境要因は自社に起因するか

まずは赤字原因が外部環境によるものでなく、自社の戦略の不芳や、実行力不足に起因している方が、そこを直せばよいので改善可能が高い。(過去財務分析、社長インタビューで大体わかる)

流石に市場が縮小している中、短期的に改善させることは難しい。
衰退事業から業態転換で生き残った富士フィルム等の例もありますが、これは事前に危機を予測し、”健康体”の内に準備していたからできたことであり、すでに病気となった再生企業がいきなりトランスフォームすることは中々難しい(金も時間もないので)

また本視点の確認ポイントとしては、儲かっている競合がいるかも大切です。
競合もすべて赤字だと、事業自体が手詰まりとなっている可能性が高い。。

②コスト構造はどうなっているか

これはコストの大小ではなく、内部のコントロール可能コストがどれだけあるかという点である。

例えば、小売りのようにに仕入等の外部調達コストだけで原価率が75%~80%となると、自社でコントロール可能なコストは残りの20%弱のみである。
一方製造業だと、工場人員や、設備の減価償却費等の内部コストの原価に占める割合が高いと、打ち手が多く、効果も出やすい。

③債権者の構成はどうなっているか

再生のゴールは再生計画を策定し、銀行等の債権者に納得してもらい、支援してもらうことにある。そのため、債権者が少なく、債権者間の思考回路が同じ方が調整しやすい。債権者にメガバンク、地銀、政府系銀行、生命保険等が行動様式が微妙に違う金融機関が細かく散らばっていたり、社債等があると交渉が難航し、再生計画を作っても金融支援がまとまらないという可能性がある。

あとまれにあるのが、メインバンク不在のケース。この場合、音頭をとる債権者がおらず、対象企業に対してデットガバナンスが効かず、痛みを伴う施策を採用しにくくなる。

④組織・人事についてメスを入れれるか

これが一番大きいです。
再生企業のほとんどは当たり前のことができていないことに起因します。
これは、従業員の能力というより、頑張っている従業員が評価されなかったり、正しい戦略が社内政治等の不合理な理由で採用されなかったり、組織やカルチャーの問題によるも気持ちの面がほとんどです。

そのため、当たり前のことをやったらそれが認められ、結果が出る、評価されるということがイメージできないと、従業員の方はどうせやっても・・・となり、計画を作っても中々実行してくれません。

実際に再生においては、美しい戦略を作るより、計画策定プロセスを通じてキーとなる従業員の士気を高める/次世代リーダーを発掘することが実行につながり、成長のカギになると思います。

ちなみに、組織・人事で一番効果があるのが、次世代リーダーを年齢にかかわらず昇進させ、同時に老害となっている方の権力を奪う、やめていただくことです。

従業員の士気を高め、人事や組織を変えることにより、「あ、今回は会社も本気なんだ、今後こそ頑張てみるか」といかに思わせることが大事になります。

以上

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