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エンディングプランを持った患者さんとの別れ

人は必ず最期を迎える。

そして、
人の最期を家族でも友人でもないのに関わらせてもらっていることは決して当たり前じゃない。

どんな最期を過ごすか
人それぞれ。
もちろん不慮の事故で突然のお別れとなること、急変で救えなかった命との別れもある。

いろんな方の最期に関わらせてもらってきた中でも、特に印象的だった患者さんの最期の時間を紹介したい。

病気を抱え入院してきたBさん。
延命治療は希望しないと、自分でエンディングプランをもってるBさん。
我慢強く、穏やかなBさん。
そんなBさんのたった1つの希望は

〝亡くなった旦那さんの命日に
      自分も天国に旅立つこと〟

旦那さんの命日は数日後。

ご家族もBさんの希望はご存知。
よって、ご家族を始め私たちもBさんとのお別れまでのカウントダウンが開始される。

1日1日、あと○日と
ご自分でカウントダウンをされている。
私はそのBさんの希望命日の前日に夜勤で担当させてもらった。
いつもと変わらず穏やかに
今までの日々、関わってきた人への感謝などを口にされ、私は静かに聞いていた。

こんなBさんのように穏やかで
できるだけ人に迷惑もかけず
色んなことに感謝できる人生を送りたいなーと感じながら。

私は夜勤を明けたらBさんに会えないかもしれないんだと思うと、お話を聞きながら涙が流れた。

私にとっても大事な時間。
だけど、Bさんにとっては残された僅かなもっともっと大事な時間。
そんな時間に関わらせてもらっている。
感謝しかなかった。

Bさんからなかなか離れられずにいると、
Bさんは私にこう言った。

「みんな優しくて、病院がこんなに良いところだと思わなかった。あんたと出会えて、あんたに最期みてもらえて本当に幸せだった。これからもたくさんの人を救ってあげて。あんたを待ってる人は私の他にもたくさんいるから、早く行きなさい。ありがとうね。」

Bさんの言葉でどれだけ救われたか。

私は自分の死が近づく中でこんなに人を気遣いできるのだろうか。

患者さんの最後に関わらせてもらっていることに改めて感謝をした。

そんなBさんは
惜しくも希望する日に最期を迎えられず、
みているこちらは辛かった。
エンディングプランを持ちつつも叶わないこともある。
最期の時間を患者さんらしく、少しでも穏やかに過ごせるようにお手伝いしたい。

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