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第1回公認心理師試験 問6

皆さん!
こんにちは。
京都コムニタスの吉山です。
今日は、引き続き、問6です!

第1回公認心理師試験の問6!

 記憶の系列位置効果に関する出題です。ブループリントのキーワードでは、

⑦知覚及び認知 「短期記憶」

が該当します。
 系列位置効果とは、一定の順序で与えられた情報の系列位置(つまり、並び順番です)によって、情報の貯蔵、及び検索のされやすさが異なることを指します。
 例えば、口頭で「手紙、学校、絵画、ウサギ、電球、カバン、時計、椅子・・・・電話、窓、森林、扇風機」と20個の単語を順番に言われて、思い出した順番に答える場合、正しく答えられる単語として多かったのが、
はじめの方に提示された単語(ここでは手紙や学校など)と、
終わりの方に提示された単語(ここで森林、扇風機など)
の再生率が高かったというのが系列位置効果の研究です。

では、問題を見てみましょう!


問6 記憶の実験によって示される系列位置効果について、正しいものを1つ選べ。
① 初頭効果は、学習直後に遅延を置くと消失する。
② 系列再生法を用いた記憶の実験によって示されるものである。
③ 新近効果は、長期記憶に転送された情報の量を反映したものである。
④ 学習段階で単語の呈示時間を長くすると、リスト中間部の再生率は低下する。
⑤ 系列位置ごとの再生率を折れ線グラフとして表した系列位置曲線は、U字型になる。


答えと解説をみてみましょう!

このように文章にして尋ねられると、

「ん?どれが正しい?」

と迷いますね。ただ、しっかり、系列位置効果の基本的な情報を知っておけば解答できる問題です。

正答⑤
①誤り。リストの提示後10~30秒程度のインターバルを挿入し(この間は簡単な計算作業が課される)、その後に再生を求めると、系列位置曲線に影響が生じます。リストの初頭部、及び中央部の再生率は影響を受けないが、終末部の再生率は低下し、新近効果が消失してしまうのです。つまり、初頭効果は誤りで、新近効果が正しいということになります
②誤り。系列位置効果を示す実験に自由再生法の実験があります。自由再生法とは、例えば、「時計、電車、新聞…」というように、10~15語ぐらいの簡単な単語を1語ずつ一定の速度で提示し、提示された単語を思い出した順に再生させる方法で、先程書いた方法ですね。一方で、この系列再生法は、提示された順番に答える方法になります。
③誤り。新近効果は、長期記憶に転送された情報の量を反映したものではなく、短期記憶に貯蔵された情報の中で、リストの終末部の再生率が高くなることを指します。
④誤り。選択肢⑤の解説を見てください。
⑤正しい。これは、初頭効果と新近効果が見られるため、はじめと終わりの再生数が多くなり、中間部の再生数は少なくなるので、U字型の折れ線グラフとして表すことができます。

図.系列位置効果(森敏昭ほか:グラフィック認知心理学 p.19 サイエンス社 による)

覚えておこう!ワンポイント!

 系列位置効果については、この問題の選択肢からどこが間違っているか、何が正しい情報化を学んでおくことで、ある程度、覚えておくべき情報はおさえられますので、解説のところを繰り返し読んで、初頭効果や新近効果などの用語とともに覚えておきましょう。