最近の記事

草木染めと霊性

「草木染め」と聞いてどういう印象を覚えるだろうか。 個人的には「草木から色を抽出し布に浸して染めるやり方である」とか、「色の耐久性は低いが何となくエコなイメージがある」とかぼやーっとした印象しかもっていなかったし、草木染めは一般的に趣味か、何か伝統的な工房で行われている製法であって、あまり関りがなく、一部工業化された「草木染め」もちらほら見受けられるが、何か「商業化されたエコロジー」のイメージが強く、特に興味は持っていなかった。 私は現在ヨーロッパで草木染めのアトリエに通

    • ロゴスと感覚

      ヘルマン・ヘッセの本を最近何年かぶりに何冊か読む機会があった。 「デミアン」「クヌルプ」「知と愛」「荒野のおおかみ」と読んだ後に、ふと頭に浮かんできたのが「ロゴス(言葉、論理)」と「感覚」という二つのテーマだった。 ロゴスで凝り固まった人物が若く美しい感性で満たされた人物に出会うことにより、その凝り固まった世界の殻を破ることができ絶望から救われるような構図があれば、感覚、感性に長けた人物とロゴスに長けた人物が相互に助け合い存在することもある。 ヘッセ自身の中に両方の性質が

      • 虹色の魚と黄金の花の木ー内向性の豊饒

        ブログを始めたら絶対に書き残しておきたいと思っていたおとぎ話がある。 それは「虹色の魚と黄金の花をもつ木」という南半球に浮かぶニューヘブリディーズ諸島に伝わるおとぎ話だ。 これはMARIE-CLAIRE DOLGHIN-LOYERというフランスのユング派学者が 「LES CONCEPTS JUNGIENS (ユング派のコンセプト)」(未邦訳)という本の中で心理学的解説とともに紹介している。 このお話には、内向的性格からいかに自己の開眼や内的豊饒へ向かうかに関してとても興味

        • 傷ついたヒーラー

          最近パンダの赤ちゃんを見たことがきっかけで一つの思考の旅をした。 最初は無邪気な子パンダが飼育員さんやお母さんパンダにじゃれついている動画を心温まる気持ちで見ていた。 すると、ある時突然自分の中に思考の波が訪れた。 それはある子パンダが無邪気に母親のパンダにくっつきじゃれついている様子だったが、それはその子パンダが母親に会える最後の日の様子を収めたものだった。 つまり次の日からその子パンダは母親パンダに会うことはできず、自立を促される。 調べてみると、野生のパンダは1歳

        草木染めと霊性

          資本主義の精神分析

          私は社会に対する"人見知り"歴が長い。 私の中の「社会」のイメージは最初から何か「怖い」もので、これまで、できるだけそれから身を守るようにビクビクと怯えながら生きてきた。 しかし、内気さに磨きをかけ、自身の内的世界に徹底的に関わっていくと、逆に内側にこもる生き方の限界に辿りつく。 ここ最近ようやく私も、今までずっと対峙することを避けてきた圧倒的で不可解な存在であるこの自分が置かれている社会システムについて無関心ではいられない心持ちになり、たまたま見つけたこの本をまず手始めに

          資本主義の精神分析