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歯科研修医が就職先を探す上で考えるべきたった一つのこと

就職どうする!?

そんな会話が、研修医の控室で聞こえてくる今日このごろ。

研修医の皆さんは、就職するか、大学病院に進学するか、悩んでいることだろうと思います。

こんにちは、けーしーです

大学院に進学するべきか、あるいは就職して臨床医としてキャリアを積んでいくかは過去の記事にも述べたとおりなので、まだ未読の方は読んでみてください。

当然、この記事にたどり着いたあなたは、就職を前提としていると思います。

それを書く僕も、もちろん研修医終了後は就職したし、過去に書いた記事の通り、歯科医師免許を持った以上は大学院に行かなければいけない特別な理由がなければ迷わず就職すべきだと思っています。 

臨床家として成功する?

臨床家としての成功は、人それぞれの価値観によって違うと思うし、歯科医師でいる限りゴールがないということが目標設定をする段階で難しくしています。

だたそれでも僕は、臨床家として成功する、という確固たる信念があったおかげで、僕は3年目で一度分院長の話をもらい、さらに4年目で実際分院長に就任しました。

そのへんの小さい医院をチェーンで展開している小さな医院ではなく、地域で最も大きな法人の、分院とはいえチェア7台を所有する比較的大型の分院です。

もちろんそれが成功とはまだ言えないですが、今の環境・状況が、歯科医師としてのキャリアアップになるのは明らかでしょう。

それもこれも、今振り返ってみると、研修医のときに就職先をどうするかを丁寧に考えていたからだと感じています。

周りとは違った視点で就職先を考えていた僕は、結果として研修医の同期たちよりも良い環境で歯科医師をやっているといえるでしょう。

その考え方は、特に変わったものではないですが、研修医のときに気づけるかでだいぶ違うと考えます。

今回はそれを共有できたらと思います。
(この記事は限定公開を予定しています)

では、どこを就職先にするべきか。

と入っても、どこに就職するか、それは正直二の次の発想です。

どこに就職したって成功する人は成功するし、

伸びない人はとことん伸びない。 

伸びない人は、勤務先の環境が悪いと判断し、次の就職先を探す。

そしてまた同じ結果へ。

最終的に行き着くのは、運が悪い、と愚痴ること。

だいたいそういう悪循環に入ってしまう。

こういう結果になってしまう人は、大概、就職と大学院進学を悩んでいた人に多い。

さらに言うと、大学院卒業後にすぐ就職した人もこんな結果になっている人をよく見る。

もちろん、就職先選びは大事です。

いきあたりばったりで決めるべきものではない。

ただ、就職先選びは最重要点ではない

もちろん就職先選びも、給料がいい、とか教育制度がしっかりしている、とか、機材が、診療体制が、診療雰囲気が、などいろいろあると思います。

最重要点ではないけれど、研修医が就職先を考える上で大事なことでもあるので、それぞれ記していこうと思います。

給料は多いに越したことはない

給料は、初任給でも高めの設定をしている医院を探しましょう。

給料は大事です。自分の投資の原資です。

お金が無ければ始まりません

月の給料の2%〜6%の間で、自分に投資できることができなければ、
例えば本を買う、例えばセミナーに行くなどありますが、それさえ叶わなければそこに就職する意味はないです。

例外として、その道の権威であったり、スタディグループの中核のメンバーの先生であれば、安月給でも働く意味はあります。

ただ、そういった先生の下で働くことはとても競争率が高く難しい。

であれば、自分に投資できる環境に進んだほうがまだ選択の幅が広がります。

給料はあったほうがいいに決まっている。

そこまで給料が高くなくてもよい、しっかりと学べる環境があれば、

などと考えている時点で、そもそも社会人として終わっている。

給料に妥協はないです。

教育環境の有無で判断するな?

教育環境を充実させているところが増えています。

そりゃそうよ。

今の大学教育で歯医者になっても何もできないのは、当の本人が一番わかっているんだから、そこを満足させればどんな研修医でもやってくる。

こっちサイドからしたら、教育システムを構築しているのは当たり前。

当たり前のことを判断材料にしたらいいわけないですね。

で、じゃあ教育環境が整ってて、給料が良ければいいじゃない!となったら、上記のような悪循環に陥っただめな歯科医になる。

あなた方にわたる給料、そして教育は、医院からしたら投資です。

投資したからには回収しなければならない。

医院はそう思っていることを、言われなくても知っておくべきです。

これまでの大学や、安月給で研修医をしていた人は親からの援助がある人もいたでしょう。

そこには親だから当然お金を出してくれたわけです。

でも雇う側からしたら、あなた方に無償で教育を施すわけがないんです。

教育を受けたからには、それを最大限に活かさなければならない。

売上という目に見えた形で結果を出さないと行けない。

もちろんそれはすぐにではなくてよいです。

時間がかかるのも医院はわかっている

そういう長期的に成長させようと医院は考えているわけです。

いや、そこまで考えて教育システムを構築している医院を見極めましょう

うちではこういうことが学べますよ、こんな道具・機材を使用して診療してますよ、で終わる医院は地雷の可能性ありです。

僕らはこういう教育システムがあります。
もちろんこういう道具や機材を使用し、新卒でもスキルアップができるような教育をします。
診療時間に講義やセミナーがあります。
そういった中で成長してください。

その結果として、最終的にこのような歯科医になりましょう、というところまで提示してくれるところを探しましょう。

研修医に目先の利益やメリットだけを提示するのではなく、そのさきにどのような道があるのかまで、おぼろげながらでも提案できるところを見つけてください。

明確なものでなくてよい

どう成長するかは、結局医院ではなく自分です。

医院も、あなたが実際どういう先生なのかは働いてもらわないとわからない。

そこにがっちりとしたレールはできるはずは無いんです。

でも、医院と先生の方向性が同じであれば、大きくぶれる事はないはずです。

ちなみに僕のところでは、具体的にこの売上が出せればどこでも十分にやっていける、という話までしています。

繰り返しですが、教育システムを作っているのは当たり前です。

そこには医院の思惑が当然ある

その思惑が理解できなければ、大学院に進学してモラトリアムを謳歌してください。

臨床に出る価値も意味もない。

マイクロあります!CTあります!

これもあって当然になってきている。

10年くらい前に、新三種の神器なんて言われてマイクロ・CT・CAD/CAMが言われましたが、だいぶ歯科医院に浸透しているのではないかな。

CAD/CAMを入れている医院はまだ少ないと思いますが。

なので、これを押している医院は地雷です。

当然ありますよ、とさらっとしている医院のほうが断然いい。

今や設備を充実させるのはそこまで大変な世の中ではなくなっています。

CAD/CAMを通り越して、例えばIOS(インターオーラルスキャナ)は300万円でお釣りがきます。

そもそも今就職活動されている人は、設備押しで募集している医院なんて逆に見つけられないかもしれないですが。

診療の現場はビジネスの場である

知人のつてで、とか、部活の先輩のよしみで、給料は普通だけど知っている人がいるから、などで就職先を選んではいけません。

仕事は仕事です。ビジネスです。そこに感情を持ち込むと、後でしんどい思いをします。

遠慮、これは自分の成長を妨げる要因の一つでもあります。

ビジネスである限り、お互いがwin-winでなければならない。

家族でないのだから、何事も遠慮せずにいきたい。

やりたい事、提案、質問、その他もろもろは、遠慮せずに話せる環境を選びたいですね。



いやでも、知ってる人の方が、遠慮せずになんでも相談できるんじゃないの?
フランクに話ができると思うけど。



そうでしょうね。
最初はね
でもその内に先生方は、こんな事いちいち言うほどでもないか、とか、迷惑かけてはいけないな、とか考えていくのでしょう。

そして先生を雇った院長も、まぁ、部活の後輩だし、あまり強く言わなくてもいいか、とか、あるいは、大学の時はこうだったし、あいつはきっとその内やってくれる、とか期待をしていく。

後輩の先生も、期待に応えないと、もっと頑張らないと、と考えていく。


これは院長側の考え方ですが、そもそも研修医あがりの一年目に期待をかけてはいけないんです。

いけないというより、期待するのが無駄な事なのです。

ただ、ではそういう知人のつての医院ではなく、給料が高水準で、教育環境がある職場ではどうかというと、もちろんあなた方に期待をします。

それは、近々こうなってほしい、という直近の期待ではなく、長期的な目線での期待です。

先程述べたように、みなさんには教育を通して投資をしています

当然それは、先生にほかの人よりも大きく成長してほしいという思い、つまり期待がある。

でもその期待はこちらからの投資という形ですでにあなた方にメリットがあるものです。

あなた方は、そこでは当然期待に応える義務がありますが、それはそう難しいものではないです。

だって教育環境がいいから。
自己投資も可能だから。

そういう医院を探しましょう。

医院の雰囲気に良いも悪いもない

良い雰囲気ってどんなもの?

みんなが和気あいあいとしてて、明るい雰囲気ですか?

そんなものは当然です。

ただ、和気あいあいと、私語や雑談が多いというのは紙一重です。

どこからかスタッフ同士の笑い声が聞こえる…
そんな医院って良いのでしょうか?

逆に、誰もが淡々と仕事をし、物静かな空気で…などがいい環境、あるいは悪い環境でしょうか。

仲が良さそう、とか、暗い雰囲気とか、そういう視点で医院は選ぶべきではないです。

先に述べたように、職場はビジネスの場です。

そこに感情は必要ありません。
粛々と仕事をしているのが望ましい。

明るい対応は、患者に対しておこなわれている。
淡々としていても、患者に対しては誠実に対応している。まるでコンシェルジュの様に。

スタッフ間ではなく、対患者の接し方がどうか

見るべきはそこです。

医院の雰囲気を、スタッフの様子と混同しないようにしてください。

上記のように、まずは医院の選び方をお伝えしましたが、これは全て、本題の

研修医が就職先を探す上で考えるべきたったひとつの事

ではないのです。
では何か…
…それは

数年後に来る転職のタイミングでどうするか、つまり


通過点としての最初の場所に何を求めるか


これに尽きるでしょう。

僕たち歯科医師の多くは転職を経験します。

それはスキルアップとしての転職であったり、あるいは独立であったり。

多くの研修医は、先々のことを全く考えません

4年制の大学を卒業した普通のサラリーマンじゃあるまいし

一生その場所で働き続けるわけがないんです。

それを無意識に知っているはずなのに、近い将来必ず突き当たるターニングポイントなのに、そこを考えない。

自分の歯科医師人生始まっているのに、
なんで直近のことも考えないの?

勤務医として、臨床家としてスタートして、だいたい3〜4年で転職を考えます。

3年ってあっという間です。

1年目で一通り保険ができて、2年目で自費の補綴治療をつつ、歯周外科を含めた全顎治療をかじりはじめ、3年目でインプラント矯正の勉強を始める…

なんとなくでやっていってたら、とてもじゃないけど時間がないです。

全顎的な治療・咬合再構成の症例なんて悠長にやっていたら終わらないです。

そいうところも含めて、自分はこの最初の就職で何を求めているのか、どこまでスキルを身につけるのか、次のステップは何なのかを、それこそ漠然とでもいいので考えておかなければならない。

求人を見て、ここはこんなことやっている、こんな給料だ、こんな設備がある、見学したらいい雰囲気だった。

そんなものは、一時の目安でしかない。

それらを元手に自分をどうするか、自分がどうなりたいかを考えないといけない。

就職先を探すということは、漠然と求人にある情報を受動的に捉えて決めるものではありません。

歯科医師としてのあり方を自分に問うところが就職活動のスタートです。


以上、僕の経験を踏まえた研修医の皆さんへの助言でした。

いかがでしたでしょうか。

思ってたのと違う、と思われたかもしれませんが、でも僕はこの考え方で失敗しませんでした。

そして大学の後輩ではなく、たまたま知り合った縁もゆかりもない歯科大学の研修医にこの考え方を話したときに、後々就職したあと大変感謝された経験から、皆さんにお伝えしようと思いました。

もしよろしければコメントやメッセージなどで感想いただけると幸いです。

読んでいただき、ありがとうございました。

臨床経験5年の歯科医師です。研修医や若手歯科医師に向けて、何か伝えられることは無いかと日々自分を省みながら発信していきます。